白 山



剣が峰、白山小池巡り途中から(2003年10月11日撮影)

標 高2702m
所在地石川県白峰村 岐阜県白川村
別当出会い アプローチ鶴喜町から手取川を上り、市ノ瀬へ
所要時間金沢市から車で1時間40分程
単純標高差1450m
登山日2003年10月11日〜12日
天 候曇り(11日) 雨後曇り(12日)
同行者山の神
コースタイム【1日目】別当出合登山口(2時間22分)殿が池避難小屋(1時間)黒鉾岩(26分)白山室堂(42分)頂上<お池巡り>(1時間20分)室堂
【2日目】室堂(50分)南竜ガ馬場分岐点(25分)甚野助避難小屋(1時間)中飯場(37分)別当出合登山口

わが家の山の神は7月後半に忽然と山に目覚め、立山、富士山、御嶽山を1週間で登ってしまった。そして、せっかくだから日本三霊山に登りたいと言う。どの山をもって日本三霊山と言うのかは諸説あってはっきりしない。青森県の恐山が入るという説もあるが、山岳信仰という観点からはややニュアンスが違うような気がする。前出の三山に白山を加えれば間違いないようである。山の神の白山に登りたいと言う訴えに「日帰りならいい」とか「誰か仲間を捜して行って来い」とか言っていたが、とうとう10月になり、山小屋の終了時期が来てしまった。いつも快く(?)山へ送り出してくれるので、たまの家族サービスと思い、1泊で白山に行く事にした。 営業終了の4日前である。
  
10月最終の3連休は交通規制により、別当出合までのマイカーの乗り入れが禁止されていた。市ノ瀬にある駐車場に車を停める。川原を利用した駐車場で舗装されていないが、きれいに整地されている。数百台は停められそうだった。市ノ瀬のバス停(825m)からは臨時バスが出ている。大人1人片道で400円だった。バスの外で車掌から乗車券を買う。首からつるした黒い鞄が懐かしい。神岡の山の中を走っていた濃飛バスを思い出す。バスに乗り込んで待つ事十数分。満席になった頃出発した。京都からの団体さんが乗り込んでいるようだ。京都弁が前後左右を飛び交っていた。
  
15分ほどで別当出合(1260m)に着く。別当出合には市ノ瀬にある永井旅館の出店「別当茶屋」があり、登山者のためにオニギリや飲み物を売っている。 素朴な感じがいい。
  


観光新道の難所、急登の階段
 

見晴らしがいいのが観光新道の名前の由来のようだ

中間点にある仙人窟
別当出合←3Km 3Km→室堂


  殿ヶ池避難小屋。手前が殿ヶ池
観光新道は昔の加賀禅定道の途中から別当出合へ抜ける道を作ってから、そう呼ばれるようになったようだ。やや無理があるようで、最後の登りは沢沿いの急登である。階段がつけられているが下りはかなり辛そうだ。周遊コースを組むときは登りで利用した方がいいと思う。
10時、我々は迷わず観光新道を選ぶ。京都からの団体さんは砂防新道を登っていったようだ。いったん登り切ってしまえば尾根沿いの見晴らしのいい道が続く。左には白山釈迦岳、右には別山、そして越前の山並みが後方へと続く。この見晴らしの良さが観光新道の名前の由来なのだろう。室堂までのほぼ中間地点にあるのが仙人窟と呼ばれる岩門である。
  
いったん下った後の急登を登り切った所に殿ヶ池避難小屋がある。12時25分、サンドイッチとオレンジで軽い朝食をとる。この後はやや右にトラバース気味に黒鉾岩へとつめる。途中に蛇塚と言われる石を積んだ塚がある。昔、言う事を聞かなかった蛇1000匹をこの塚に埋めたと言う伝説がある。13時25分、黒鉾岩(2325m)に到着。黒鉾岩の横には登山道の改修用の骨材が積まれていた。観光名所だという認識はないようだ。なだらかな弥陀ヶ原の後、五葉坂を直登して、13時50分、白山室堂小屋(2450m)に到着する。3時間50分で登り切った事になる。このスピードなら日帰り可能なのだが、体力が続かないらしい。
  黒鉾岩も資材置き場になっていた

白山室堂小屋の向こうに越前の山並みが続く。右の方に見える山が荒島岳のようだが他はよく分からない。遠くには伊吹山も見えるらしい。こうして見ると白山室堂は要塞のような山小屋だ。
  


   白山比v神社奥宮
  チェクイン後、部屋に案内されて寝床を指定される。部屋にはすでに3組5人がいた。14時30分、ナップザックに雨具とカメラを入れて頂上を目指す。山の神は疲れているのか、ゆっくりと登っている。それでも40分後に頂上に立つ。白山比v神社奥宮に参拝。右から御嶽山、乗鞍岳、穂高連峰、そして立山連峰が見える。これで富士山が見えれば日本4霊山のそろい踏みだ。風が強いので雨具を着てお池巡りへと向かう。御前ヶ峰の下りは翌週予定している燕岳のような風景だった。


 白山頂上から北側への登山道
油ヶ池は干上がっていた。紺屋ヶ池も7月よりは水位が低い。少し登って降ると翠ヶ池だ。さらに左に回り込み、降ると血ノ池に出る。真ん中正面に見えるのが剣ヶ峰。
 
  血ノ池と剣が峰

4時半に小屋に戻ってきてそのままロビーで食事を待つ。食券には「あなたの食事時間は5時〜5時20分」と書かれている。お酒の時間が...
↑クリック ロビーで待つ間に富山から持参の昆布締めをつまみにして熱燗で一杯やった。食堂では4時40分スタートの人達が食事をしている。


5時少し前に食堂へ入るようにアナウンスがあった。熱燗と缶ビールを抱えて慌てて食堂へ入る。食事のメニューは昨年と変わらないような気がしたが、覚えているわけではない。昆布締めを持ってきてよかった。窓際に座り外の風景を見ながら食事をしていると夕日が沈み夕焼けが広がる。自然の演出に勝るものはない。
する事もなく6時に寝てしまい、8時過ぎに目を覚ます。歯ぎしりの音がうるさくて目が覚めたようだ。いびきをかいている人もいる。寝れそうもなく売店へ缶ビールを買いに行くが、閉まっていた。おまけに雨が降っている。バッファリンを睡眠薬代わりに飲んで、ようやく10時過ぎに寝る事が出来たようだ。

4時過ぎに目を覚ます。雨が降っていて、ガスもかかっているようだ。最悪。皆が動き出すまでジッとしていたが我慢できず朝食の食券を持ってロビーに行く。朝食は6時からだが5時45分頃から皆、並び出す。夕食よりさらに質素な朝食の後、早々と下山する事にした。山の神と別行動で別山経由で市ノ瀬まで降りる計画を立てていたが、この雨とガスでは気が乗らない。予定変更でいっしょに降りる事にした。


弥陀ヶ原を行くエコーライン

南竜ヶ馬場との分岐点

所々に置いてある骨材


 甚之助避難小屋      中飯場水場所
雨の中、五葉坂を降りる。降りきったところで左に折れ、エコーラインを選ぶ。弥陀ヶ原の中をきれいな木道が続く。やがて右へトラバース気味に高度を下げ、ジグザグの道となる。南竜ヶ馬場との分岐点に出るが、砂防新道への道は登りとなっている。標識を見ないで降りていったのだろう、戻ってきて不思議そうに標識を見ている2人がいた。少しのぼった後は又ジグザグの道で高度を下げる。黒鉾岩との分岐点にヘルメット姿の作業員が休憩していた。毎日歩いて通勤(?)しているのだろうか? 雨が上がってきたので雨具を脱ぐ。このあたりから登山者がどんどん上がって来る。「こんにちは」の挨拶に「おはようございます」と返す。慌てて「おはようございます」と帰ってくるのが可笑しい。
甚之助小屋の前では登山者と下山者が入り交じって休憩していた。男子トイレから出てきた女性を冷やかしているグループもいて、和やかだ。 ガスの下に出たようで、雨に洗われた紅葉が鮮やかに広がる。ひたすら標高を下げ、砂防用の林道を横切るとすぐに中飯場の水場に出る。もう水は止められていた。中飯場を過ぎれば別当出会いは近い。吊り橋が見えてきて、休憩所の屋根も見えてくる。吊り橋を渡った後のわずかな登りがきつい。やはりそれなりに疲れているのだろう。山の神の「白山に行きたい」と言う希望を叶えてあげたので、この後しばらくは堂々と山に行けるだろう。
 砂防新道最後の(最初の)吊り橋