笠ヶ岳



笠ヶ岳山荘手前から 鞍部に笠ヶ岳山荘が見える(2003年9月14日撮影)

所在地岐阜県上宝村
新穂高登山口 アプローチ神岡町から車で40分中尾温泉口から
登山口標高980m
標   高2898m
標高差単純1918m 累積(+)2140m 累積(−)2140m
沿面距離21Km
登山日2003年9月14日
天 候曇り時々晴
同行者単独
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
中尾温泉登山口(40分)新穂高温泉(1時間)笠新道登山口(4時間20分)杓子平(1時間20分)尾根分岐点(1時間10分)笠ヶ岳(2時間)雷鳥岩(3時間50分)中尾温泉登山口  合計14時間20分
参考コースタイム
岐阜県の山(山と渓谷社)
中尾温泉登山口(40分)新穂高温泉(1時間10分)笠新道登山口(4時間20分)杓子平(1時間30分)尾根分岐点(1時間25分)笠ヶ岳(1時間30分)クリヤの頭(2時間30分)錫杖沢出合(1時間35分)中尾温泉登山口  合計14時間40分
コースタイム槍見温泉登山口(34分)新穂高温泉(55分)笠新道登山口(2時間28分)杓子平(1時間)尾根分岐点(1時間)笠ヶ岳山荘<休憩15分>(10分)笠ヶ岳<休憩10分>(1時間8分)雷鳥岩(2時間54分)槍見温泉登山口  合計10時間50分


槍見温泉入口の路上に車を停める
ややフライングぎみで帰るまで心配だった
ここから先は一般車乗り入れ禁止
この左側にホテルニューホタカがある

 呉東地区の各山々から眺められる特徴のある山、笠ヶ岳。婦負の方角から見ると北東に延びる尾根のこぶが見えるが立山方面からはきれいな円錐形の山に見える。そのせいか一ノ越に登った登山者からは時々富士山に間違われることもあるようだ。岐阜県上宝村に位置する山だが開山は富山県大山町出身の播隆上人。新田次郎氏の小説「槍ヶ岳開山」にも出てくる人だ。焼岳や西穂高岳に登ったときはガスに隠れて見えなかった。見えなかった分だけ憧れが強くなり、是非登ってみたいと思っていた山だった。


笠新道取り付き
この横にホースによる水場がある

笠新道の途中から見えた西穂高岳、間ノ岳、 天狗岩

 朝3時40分、八尾を出発。国道41号線に出て神岡に向かい、神岡から国道471号線に入り新穂高を目指す。今年はもう何度となく走った道だ。新穂高温泉へ2400mほど手前にある中尾温泉入口の駐車場を予定していたがすでに満車だった。対岸に戻り、槍見温泉入口に空きスペースを見つけ車を停める。すでに身支度を終えている人と挨拶を交わす。クリヤ谷から笠ヶ岳を目指すと言っていた。後でどこかですれ違うだろう。5時24分、槍見温泉入口(980m)からアスファルトの道を歩く。車が横を追い越していく。車の走る道をリュックを背負って歩くのは初めてで妙な感じだった。


杓子平、ここから稜線に向かって直登となる
 

稜線を越えて20m程降ったところにある分岐点
右へ行くと抜戸岳、左へ行くと笠ヶ岳

 新穂高温泉手前の川原にある登山者用の駐車場も満車のようだ。300台ぐらいは停まりそうかと思われる川原に空場所を求めて何台もの車がうろうろしている。5時58分、新穂高温泉到着。橋を渡り、道は右岸へと変わる。村営の駐車場は半分以上が空いていた。ホテルニューホタカから先は一般車の乗り入れが禁止されている。林道は大きく2回ターンした後、左岸を川に沿って奥へと続いている。この林道は笠ヶ岳だけでなく、双六岳を経由して黒部五郎や鷲羽岳へ続いているメインルートだ。前にも後にも登山者が続く。橋を渡り、しばらく行ったところに笠新道の登山口があった。入口には水場があり、黒いホースから水が出ていた。一口、口に含んで登山口(1355m)に取り付く。6時53分だった。


笠ヶ岳への登山道
 

抜戸岩の間に笠ヶ岳山荘が見える
 
 急登と聞いていたがそれほどでもなかった。だが大小の石が露出した道で、歩きやすいとは言えない。林道歩きで体が温まっていたので、順調にとばす。やさしい方が多く、追い付くと皆、すぐに道を開けてくれる。「ありがとうございます」と言いながら思わず走ってしまう。途中、懐かしい人に出会う。道端で休んでいる人の顔を見ると6月に北ノ俣岳でいっしょに歩いた川上さんだった。岐阜県大野郡久々野町の方である。テント歩きが専門でこの日も笠ヶ岳でテントを張るらしい。しばらく話をしながらいっしょに歩いたが荷物の差が大きく、先に行く事にしてお別れした。


笠ヶ岳山荘入り口
 

笠ヶ岳山荘表側
 
 2300mあたりで40人の団体とすれ違う。ガイドが皆に道を開けるように言ったが、40人もの人の列を駆け上がるのは辛いので、先に降りてもらった。団体が通り過ぎる間に水分補給とアンパンでエネルギー補給をする。その先でもう一団体と遭遇する。昨日は笠ヶ岳山荘はいっぱいだったそうで、100人の定員のところに200人が泊まったと言っていた。


笠ヶ岳山荘玄関内
 

フロント兼売店
 
 9時21分、小尾根に出る。高度計は2470mを指している。目の前に広がるのが杓子平のようだ。ここからなだらかな斜面をトラバース気味に北に向かう。コバイケイソウの紅葉(黄葉)が美しい。大きな岩稜の下で道は右に曲がり直登となる。ここが最後のふんばり所のようだ。10時20分、稜線(2720m)に出る。稜線を越えて15m程降ったところに分岐点があった。右に曲がれば抜戸岳、左に曲がれば笠ヶ岳である。ガスがかかっていて抜戸岳は見えなかった。


山頂の看板
 

山頂の祠
 
 登山道は稜線の北側を巻きながら、少しずつ下って行く。ガスが少しずつ退いてきて、北側に双六川の支流、打込谷が見えてくる。振り返ると抜戸岳も頭を出している。だが北からの風で稜線の南側はガスがかかり何も見えない。しばらく行くと稜線上に妙なものが見えてくる。近づいてみると道の両側に黒い大きな岩が門のように立っていた。地図に書いてある抜戸岩だろう。岩の間から笠ヶ岳山荘が見える。なだらかな道を徐々に標高を上げていくとテント場に出た。近くに水場もあるようだ。ここから大きな岩がごろごろしているやや急な道となる。11時20分、笠ヶ岳山荘に到着する。さっそく缶ビールを買おうとすると又、両手が痺れだした。今回は頭じゃなくみぞおちの辺りが痺れている。この痺れは缶ビールと何か関係があるのだろうか?


相変わらず登山者らしくない(頂上にて)
 

左側が笠ヶ岳南西尾根で手前が登山道がある尾根 この向こう側に笠ヶ岳がある

 小屋の裏でゴミを焼却している方に色々教えていただいた。西の方に見える道路は国道471号線らしい。その上の方に見える白く光ったものは天文台だという。晴れていればさらに奥に高山の「真光さん」の寺院が光って見えるとも言っていた。15分の休憩後、11時35分、笠ヶ岳山荘を出発。11時45分、笠ヶ岳頂上に立つ。小屋から頂上までは10分だ。ガスで南側から東側の視界が悪いのが残念。11時53分、早々に頂上を後にする。


雷鳥岩(だと思う)
ここで大休止16分、ビールで乾杯

沢山なっていたベニバナイチゴ 一度に沢山ほおばると口の中がとてもジューシーになる

 クリヤ谷の登山道はマイナーなコースのようで登山者は少ない。距離もあり、標高差もあるので、皆バテ気味である。すれ違った登山者は皆、あとどのくらいかと聞いてくる。道にはベニバナイチゴの実が沢山なっている。まとめてほおばると口の中が生のイチゴジュースでいっぱいになる。朝、槍見温泉の入口で会った人が登ってきた。単独かと思っていたらご夫婦だった。奥さんのほうもイチゴでお腹がいっぱいだと言っていた。シャクナゲの木も多く、開花期に歩けばきれいだろう。やがて変わった形の岩が見えてくる。雷鳥岩(2435m)のようだ。13時4分、ここで小休止する。富山から持って来た缶ビールで乾杯。凍らせたアクエリアスのパックのおかげで冷たくて美味しい。16分の休憩後、13時20分、下山開始。


クリヤ谷から見た奥穂高
 

クリヤ谷から見た焼岳
 
 下るにつれガスが晴れてきて焼岳が見えてくる。新穂高ロープウエイも見える。左に雲の間から頂上を覗かせているのは奥穂高のようだ。笹原が終わると樹林帯に入り、沢に出会う。クリヤ谷登山道の最後の水場のようだ。途中で数回、沢を渡るが増水した時は徒渉になりそうだ。突然、右上に錫杖岳が見えるのに気づいた。逆光で真っ黒に見える。沢はやがて大きな岩がごろごろしている谷となる。登山道の名前にもなっているクリヤ谷だ。登山道は左岸を走り、水平道とジグザグを繰り返しながら標高を下げて行く。右岸に渡る最後の横断場所で、谷幅は10m近くなっていた。ロープが張ってあったが増水時はかなり危険だろう。ここで顔を洗い、槍見温泉まで一気に駆け下りた。16時14分だった。


クリヤ谷の清流
 

左側の電話ボックスみたいなものの手前がクリヤ谷登山道入口 右の建物が槍見温泉

 同じ道を往復するのではなく、縦走と言うか、周遊と言うか、全く違った道を歩いて帰るのは楽しいものだ。往復登山は同じ景色を2回見て同じ道を2回歩く。帰りの道が長く感じられるのも、そのせいかもしれない。この笠ヶ岳のコースはお気に入りのコースになりそうだ。帰りの車の中で次回はクリヤ谷から登る事を誓った。ホテルニューホタカ近くに自転車をデポしておけば帰りに快適なサイクリングが出来る。うん、いいアイデアだ。