猫又山



剣岳頂上から雲海に浮かぶ毛勝三山(2003年9月7日撮影)

所在地富山県魚津市、立山町、宇奈月町
ブナクラ谷登山口 アプローチ上市町より車で50分、ブナクラ谷取水口
登山口標高955m
標   高2378m
標高差単純1423m
沿面距離片道5.5Km
地 図カシミール ←クリック
登山日2003年10月5日
天 候晴れ後曇り
同行者田子、燒リ、秋元、中林
コースタイムブナクラ谷登山口(2時間35分)ブナクラ峠(2時間)猫又山頂上<休憩1時間30分>(1時間30分)ブナクラ峠(2時間)ブナクラ谷登山口  合計9時間30分(休憩含む)


朝焼けに映える鱗雲と剣岳の黒いシルエット
(中林君撮影)

ブナクラ谷の取水口 この日はすぐ横の排水路
からの水は出ていなかった

 久しぶりの会社の仲間との山行きだった。気のあった連中との山行きは単独とは又、違った楽しみがある。今回は田子氏と初めていっしょに登る事になった。同じフロアで働いているのにスケジュールの関係などで、なかなか一緒に登る事が出来なかった。彼は学生時代にワンゲルでならした男である。色々教えてもらえると楽しみであった。


ブナクラ谷右岸の樹林帯を行く
 

ブナクラ峠手前のゴーロ地帯
 
 朝、5時半に上市の集合場所に集まり、コンビニ経由で馬場島を目指す。朝焼けに映える鱗雲と剣岳の黒いシルエットとのコントラストが気分を盛り上げる。白萩川の工事現場を通っていた道は以前の旧道に戻っていた。ブナクラ谷の取水口にはすでに10台ぐらいの車が停まっている。缶コーラを5本、網に入れて谷に冷やす。下山後に喉を潤すためである。6時30分、身支度を終え、堰堤(960m)に取り付く。ハシゴの横からの放水は止まっていた。ハシゴと石垣との間隔が狭くて登りにくいハシゴだった。


ブナクラ峠のお地蔵さん
 

ブナクラ峠から猫又への急斜面
 
 ブナクラ谷の右岸を少し上った所で小ブナクラ谷を渡る。水量はたいしたことはない。その先100mほどで大ブナクラ谷に出会う。小ブナクラ谷より水量は多いが徒渉の心配はなかった。その先は樹林帯が続く。旧登山道が崩壊しているのか、40m程の直登を交えた高巻きとなる。その後は水平道に近く、ウオーミングアップには最適だ。やがてブナクラ谷左又(?)に入ってから傾斜は徐々にきつくなり峠近くではジグザグ道となる。峠の下は直径1m前後の石のゴーロとなっていた。ここでも休憩を取り、ブナクラ峠でも休憩を取る。グループ登山はどうしても休憩が多くなる。


後立山連峰、旭岳、白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳
一週間前に縦走した峰々

北側から眺めた剣岳、手前は赤谷尾根
 

 9時5分、ブナクラ峠(1745m)に到着。後立山連峰が目の前に広がる。右に五龍岳、唐松岳、その左は頂上がガスに隠されてよく分からない。天狗の頭から鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳と続くはずだが、はっきりしない。先週登ったばかりの山なのに情けない。左を見上げると猫又山の登りがかなりの急登で迫る。右の赤谷山の方はなだらかだ。猫又山に比べ、赤谷山の方が人気があるのはそのせいかもしれない。もっとも、赤谷山の方が剣岳に近いと言う理由もあるが...足元には石のお地蔵さんが西の方角を向いて立っていた。


頂上手前のカール(?)
 

30年近い前の黒部五郎岳のカールを思い出す
 
 猫又山への急登を登るとすぐに鞍部に出る。振り返ると剣岳がその威容を誇っている。その上に走る飛行機雲が天候の悪化を予感させる。ここから見る五龍岳も馬の背のような奥行きを誇り、圧巻だ。鹿島槍の双耳峰も姿を現し出す。地図では分からなかったが尾根道は狭く、両側が切り立って落ち込んでいる。立ち枯れの青森とど松が紅葉と相まって美しい。小さな下りをいくつか織り交ぜながら登り切ると広い沢状の草原に出た。いまだに新緑のような草の緑と白い石のコントラストが美しい。季節を忘れたかのようにミヤマリンドウが咲き乱れる。何処かで見たような風景だと思った。白い石は、すり鉢状の沢の下部に貯まっている。小さいがこの地形はカールのようだ。南向きのカールなんて聞いた事はないが、形はカールだ。何処で見た風景かを帰り道で思い出した。それは30年近い前に歩いた黒部五郎岳のカールだった。


赤谷山と剣岳、飛行機雲が天候の悪化を予感
させる
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頂上直下の草原地帯
 

 猫又カール(?)を越えると草原地帯に出る。右にトラバース気味に道は続く。10時58分、最後に左に曲がるとあっけなく猫又山頂上(2378m)だった。狭い頂上には先客が1人いて一眼レフカメラを構えている。剣岳はガスに隠れてしまい、時々頭を出すだけだ。春に登った大猫山の頂上部もガスの中に消えている。だが下方と北方はよく見える。北の方向には釜谷山と毛勝山が真近に見える。そして足元に広がる猫又谷が囁いてくる。その誘惑が残雪期の猫又谷をイメージさせる。だが1人では恐い。スキーの出来る方、誰かいっしょに登りませんか


猫又山頂上の標識、後は左が釜谷山で右が
毛勝山

頂上での記念撮影
左から池原、燒リ、中林、秋元、田子(敬称略)

 風が強いので、記念写真を撮った後、少し下ったところで食事タイムとする。先ほどの先客はテントのデポ位置を頂上近くに移動しているようだった。赤谷山にも、もう1張りデポしてあるそうだ。いつもは長靴なのに、たまに登山靴を履いたら足首が痛いなどとも言っていた。滑川から来たというこの人は何者だろう? この辺りを自分の庭にしているかのようだ。食事はバラエティーに富み、焼き魚に鍋焼きうどん。勿論カップ麺とオニギリは定番だ。そしてデザートはオレンジと巨峰。そろそろおでんも美味しい季節になってくる。1時間半の休憩後、12時35分、帰路につく。


楽しい昼食タイム、単独登山では味わえない
ものが沢山...
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時々顔を出す剣岳に思わずシャッターを押す
 
 猫又カールを下り、細尾根を下り、14時5分、ブナクラ峠に降り立つ。ここまで降りると後立山の裾野が見えた。イワナ釣りの人達だろうか、折尾谷の方へ踏み後がある。小休止後、ブナクラ谷を下る。同じ道を歩くのはつまらないが、このコースではしょうがない。春先に赤谷尾根からの底雪崩で登山道がやられたと聞いていたがその影響は感じられなかった。5月1日に中山から見た雪崩跡は確かに大きなものだった。残雪期と無雪期では歩くコースが違うのかもしれない。16時、取水口に到着する。


猫又山カール(?)の下り
 

ブナクラ峠への下り、意外と細尾根だった
 
 朝、車があった所は車はなくなり、車がなかった所に車がある。猫又山で見かけたのは我々以外に2組2人だけだった。ほとんどの人が赤谷山か大猫山へ登ったようだ。猫又山から剣岳は時々見えたが、赤谷山や大猫山はガスの中だった。赤谷山から降りてきた人に聞いてみたが、山は全く見えなかったそうだ。皆で、猫又山を選んだ幸運を喜びあう。冷やしておいた缶コーラが美味しかった。


ホームページ「風吹く場所まで」を主催している
中林さん

取水口に到着 上空は厚い雲に覆われていた
清流に冷やしておいたコーラが美味しかった