奥大日岳



七福園から(2003年8月16日撮影)

所在地立山町
称名滝登山口 アプローチ立山駅より車で15分
登山口標高973m
標   高2606m
標高差単純1633m 累積(+)1775m 累積(−)161m
沿面距離9.4Km
登山日2003年8月16日
天 候晴のち曇り
同行者単独
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
称名滝駐車場(30分)称名滝登山口(3時間)大日平山荘(2時間30分)大日小屋(2時間)奥大日岳(1時間55分)大日小屋(1時間45分)大日平山荘(2時間)称名滝登山口(20分)駐車場
参考コースタイム
 とやま山歩き(シーエーピー)
称名滝駐車場(15分)称名滝登山口(1時間40分)大日平山荘(2時間)大日小屋(15分)大日岳(3時間)駐車場
参考コースタイム
 富山県の山(山と渓谷社)
称名滝駐車場(15分)称名滝登山口(2時間)大日平山荘(2時間30分)大日小屋(1時間55分)奥大日岳(1時間30分)新室堂乗越(1時間)室堂
コースタイム称名滝駐車場(12分)称名滝登山口(1時間25分)大日平山荘<休憩19分>(1時間26分)大日小屋<昼食34分>(1時間25分)奥大日岳<休憩11分>(1時間)大日小屋<休憩12分>(1時間5分)大日平山荘<休憩14分>(50分)称名滝登山口(13分)駐車場

大日岳に行こうと思ったのは前日だった。お盆のメジャーな山は何処も人でいっぱいだろうと、マイナーな山を選んだ。大日岳がマイナーだとは思わないが称名滝から上がるコースは何故か空いているような気がしたからだ。
 5時過ぎに家を出て、いつものようにコンビニ経由で現地入り。称名滝へのゲイトは6時開門だが、ちょっと遅れで通過。称名滝の駐車場に着いてみると、もう20台ぐらい停まっていた。
 だが、ほとんどが前日から入山しているようで人はあまり見かけない。6時14分、身支度をして1Kmほどのアスファルトの車道を歩く。


称名滝からの登山口
 

大日平山荘
 
 6時26分、登山口に到着。大日岳登山口と書いてある木柱が立っているだけの登山口だった。一歩足を踏み込むと突然、登山ムードになる。アスファルトの車道を歩いていてもアプローチとしか思えない。あまり人が入っていないようで両側の草が露をうっていてズボンが濡れる。
 10分ほど歩いた頃に若者が後ろからやってきた。しばらく一緒に歩くが速そうなので先に行ってもらう。その後又若者が1人やって来る。しばらく一緒に歩くがペースが違うようで置いて行かれる。
 これがオーバーペースだったようで、一気にバテる。今日は朝から大失敗だ。登山歴の未熟さが出てしまったようだ。
 奥大日岳は遠い。ペースを作り直して挑むしかない。ここで休んでしまうと筋肉内に溜まった乳酸が抜けない。休まず、ゆっくりと筋肉をほぐしながら歩く。いつもよりゆっくり、いつもより小幅で、重い足を前に出す。
 こんな時に両ストックが役にたつ。足の力をカバーして両腕の力で登る。雪山のラッセルで覚えたテクニックだが、疲れた時はいつも役にたっている。
 辛抱しながら登っていると突然細い稜線に出た。牛ノ首コルだろう。向こうは雑穀谷の支流、ザクロ谷のようだ。風も吹き抜けて涼しい。ここで気持ち的にも持ち直す。


大日平山荘にあったモニュメント
 

休憩室に下がっていたサウンドバッグ
 
 稜線の急登を登る。危険を伴う程の急登はそれなりに慎重に登るので辛いと言う事はない。やがて大日平に出たようで、すす竹の中のなだらかな木道が続く。
 何カ所かシーソー状態になっていて、対向者がいる時は気を付けないといけないと思った。中高年はいきなり目の前の木道が持ち上がったらつまずいて転倒してしまうだろう。
 大日平山荘が見えてきた。弥陀ヶ原ホテルに勤務していた頃には弥陀ヶ原高原からよく見ていた小屋だが、実際に目の前にするのは初めてだった。
 7時51分、小屋の前に立つ。何故かは解らないが室堂周辺の山小屋とは違ったムードが漂っている。これが本来の山小屋なんだろう。


外観とは違い、中はきれいだった
 

メニューの下の本日の予約人員0名が
なんとも言えなかった

 小休止して、水分補給する。外観とは違って中はきれいだった。本日の予約0名という案内板が可愛かった。
 不動滝へ35mという看板があるのでカメラを持って行ってみる。旧立山登山道の獅子が鼻コースは一ノ谷を超えて行く。その一ノ谷を川沿いに下るとすっぱりと切れて称名川の上の廊下に落ちている。それが不動滝だ。
 これも弥陀ヶ原ホテル勤務時代に時々(チェックイン前の暇なときに)サボって見に行った事がある。上から覗いた滝は屋根から雨が落ちていくような感じだった。
 その滝を今、20数年ぶりに対岸から見ている。不思議な巡り合わせのようなものを感じた。


大日平からの登り
遠くに見える鞍部に大日小屋がある

 
大日小屋入り口

8時10分、大日岳を目指す。朝方のバテは、それなりに解消出来たようだが、それでもいつもより足が重い。
 しばらくは平らな木道が続くが、小川を超えてしばらく行くと登りとなる。先は長いので何も考えず歩く。余裕が出て来たのか、このあたりから花が見えだした。
 途中何度か小川を横切る。冷たくて美味しい水だった。最後の水場と書いてあったが、今日は水を沢山持ってきているので、そのまま歩く。大日小屋には泡の出る冷たい水も売っているはずだ。
 鍬崎山に雲がかかってきて、薬師岳にも雲が広がっている。まだ9時だと言うのにイヤな予感がする。大日小屋が見えて来たところで、雲が一気に広がり、小屋さえ見えなくなってしまった。
 まだ上空には青空が見えているので、慌ててピッチを上げる。稜線に出ると剣岳が間近だ。白馬岳や朝日岳も見える。左には赤谷山や猫又山、毛勝に大明神も見える。間に合った。だが、この後ガスの中に消え、2度と見る事は出来なかった。


小屋の横に建っているプレハブには
布団がびっしりと敷かれていた

大日小屋全景
 

 9時36分、大日小屋に到着。小屋の前には数組のパーティーがいて賑やかだ。小屋の横に建っているプレハブの中にはびっしりと布団が敷いてあった。
 時間は早いがお腹が空いていたので昼食とする。コンビニで買ってきた500mlの缶ビールとソーセージが美味しい。おにぎりも2個、しっかり食べて10時10分、奥大日岳を目指す。
 すぐに2500mの看板があった。その先が七福園だろうか、奇岩が並び、花が沢山咲いている。写真を撮り、家に帰って数えてみると86枚もあった。花の種類は46種でそのうち2種類は名前が分からない。


猫又山とブナクラ峠
 

赤谷山、赤ハゲ、白ハゲ、小窓尾根
遠くは朝日岳、清水岳、雪倉岳、白馬旭、白馬岳

 一瞬のガスの晴れ間に見えた奥大日岳に目眩がしそうだった。想像より遠く、高い。朝方のバテが弱気を誘い、思わず足を止めてしまう。
 が、ここで引き返すようじゃ、早月尾根にも笠ヶ岳にも行けない。気を取り直して奥大日を目指す。ハシゴが架かっている岩場の急登に息が上がるが最後の踏ん張りだ。
 人の声を頭上に聞きながらピークを回り込み、11時35分、奥大日岳に立つ。頂上はいつもあっけない。


剣岳と遠くに白馬槍ヶ岳
 

弥陀ヶ原高原と弥陀ヶ原ホテル、立山荘
左から越中沢岳、赤牛岳、水晶岳、祖父岳

 頂上は人でいっぱいで、頂上の標識の写真を撮るのに手間取った。「曇男」になったようで今日も視界はよくない。「雨男」よりはいいとしよう。
 11時46分、頂上を出発。室堂へ抜けた方が早いと思ったが、早月尾根にも笠ケ岳にもバスやケーブルはない、と心に言い聞かせる。所々渋滞に巻き込まれながら3個所の登り返しの末、12時46分、大日小屋に到着。喉の渇きに缶ビールを1本(500円)買う。
 12時58分、大日小屋出発。


弥陀ヶ原高原の天狗の鼻付近
 

七福園とその奥に奥大日岳
 
 小屋の下のコルが大日岳への分岐点になっている。往復1Kmだ。リュックをデポして往復しようと思ったがカメラの入れ物がない。そんな事を理由に諦めたのもバテが原因だったようだ。
 悔やしいが大日岳は来春のコット谷からの登山用にとっておこう。14時3分、大日平小屋到着。小休止後14時17分、小屋を出発。痛みが出てきた膝をかばいながらも石川県から来たという人と一緒に快調に下る。
 15時7分、登山口に到着。大日平山荘から50分だった。アスファルトの道路に立つと一気に別世界になる。称名滝見物の観光客がごった返し、汗にまみれた我々が異邦人のようだ。変なものを見るような視線を感じつつ駐車場まで歩いた。
 短い時間だったが白山の話、立山の話などして別れた。又、どこかの山で会える事を祈って...


七福園と奥大日岳の奥のガスの中に剣岳
 

奥大日岳の右に瞬間、雄山が見えた
 
 <翌日>  久しぶりの筋肉痛で階段の上り下りが辛かった。やはり登り初めの無酸素運動が筋肉内に乳酸を残したようだ。
 本に書いてあるように、糖分の燃焼から脂肪分の燃焼へゆっくりバトンタッチする事。標高差や距離などから自分の歩きのペースを組み立てる事。人のペースに惑わされてはいけない事などを学んだ。
 翌日に筋肉痛が出たというのは体がまだ若い証拠だと自分を慰める。いい経験となった奥大日岳登山だった。


奥大日岳の標識
 

登山道を降りて称名滝の遊歩道
 
 <この日見た花>
イワイチョウ、イワツメクサ、ウサギギク、ウメバチソウ、オトギリソウ、オドリコソウ、オニシモツケ、オヤマリンドウ、オンタデ、 カライトソウ、カラマツソウ、カンチコウゾリナ、キオン、キヌガサソウ、クルマユリ、クロトウヒレン、ゴゼンタチバナ、コバイケイソウ、コバノコゴメグサ、 シシウド、シナノキンバイ、シモツケソウ、 タテヤマワタスゲ、チングルマ、トリカブト、 ナナカマド、ニガナ、ニッコウキスゲ、 ハクサンアザミ、ハクサンイチゲ、ハクサンフウロ、ベニバナイチゴ、 マツムシソウ、マルバダケフキ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマコウゾリナ、ミヤマセンキュウ、ミヤマリンドウ、モミジカラマツ、 ヤマハハコ、ヤマブキショウマ、ヨツバシオガマ、