大猫山



大猫平のとりつき(1800m付近)から(2003年6月21日撮影)

所在地上市町
馬場島登山口 アプローチ上市町より車で50分
登山口標高965m
標   高2055m
標高差単純1090m 累積1100m
沿面距離2900m
登山日2003年6月21日
天 候
同行者高木、秋元、中林
参考コースタイム該当なし
コースタイム登山口(3時間)大猫平(45分)頂上(2時間40分)登山口

 中林が大猫山へ行こうと話を持ちかけてきた。名前だけは聞いていたがよく知らない山だ。高木、秋元にも声をかけ、久しぶりにパーティーを組む事になった。
 このところ単独登山が続いていたので楽しみだった。梅雨の中休みというかなんというかこの日だけは晴れていた。
 6時に上市町役場で待ち合わせ、1台の車に乗り合わせ、馬場島へ向かう。


ブナクラ谷の取水口
この左側に登山口がある

登山口にある岩にペンキで描かれた案内
 
 登山口の駐車場にはすでに数台が停まっていた。取水口の堰堤のハシゴを登っていく人が見える。身支度を終え、7時丁度登山口に取りつく。先に駐車場にいた1人の男性が後からついてくる。
 いきなりの急登と聞いていたがその通りだった。登山道は急な斜面を真っ直ぐに登っている。ボランティアで作られた道だという。贅沢は言えない。
 始めの30分はゆっくり歩く事にする。が、途中で先頭に立った高木は先行しては皆を待っている。待っている間にすす竹を採ったりしている。


逆行に煙る小窓尾根
 

途中にある岩場をいったん下る
 
 大猫山は急登で、道もよくないと聞いていたのでストックの代わりにピッケルを持ってきた。取りあえずリュックに縛り付けている。
 足だけでなく両手も使うような急登にはストックはかえってじゃまになるような気がする。途中からピッケルを使って見たが、岩や木の根に引っかけたり、手の中で滑らせて、瞬時にストックに変えたりと意外に使い勝手がいい。
 1300m辺りでギンリョウソウ(ユウレイソウ)の群落に出会う。所々に張ってあるロープも途中で固定されずに長い場会は頼りすぎると危険だ。ロープに頼らない両手両足での三点確保が大事だと思う。


松尾平と早月尾根、奥にクズバ山
 

剣岳、三ノ窓、小窓、大窓、手前に赤谷尾根
 
 1400mのピークからいったん下る。ここから標高で70mほど急な斜面を登るとなだらかになる。300m程で又、急登となる。
 9時45分、なだらかな雪原に出る。この1800m地点から右に90度コースを変え1850m地点までの約500mが大猫平だ。ここで剱から大日の景色を楽しみながら小休憩とする。
 ここから頂上までは、わずかな踏み跡と雪渓が交互に現れる。氷状の雪渓はピッケルでステップを刻みながら登る。雪渓の切れた場所では、オオバキスミレ、ツマトリソウなどが出迎えてくれた。


剣岳にかかる傘雲
 

大猫平でくつろぐ秋元と中林
 
 途中でビールを冷やすための4人分の雪をナイロン袋に詰める。雪渓がなだらかになったと思ったところで突然稜線に出た。目の前の釜谷山が見事だ。下界から見る釜谷山ではない。
 毛勝はその釜谷の陰になって頂上部分がわずかに見えるだけだ。その稜線は左に伸び、大明神山へと続いている。右側に見える猫又山はいくつかのピークを従えて頂上がはっきりしない。
 猫又山は余裕があれば行ってみようと思っていたがとんでもない距離だった。せっかくナイロン袋に詰めた雪だったが頂上付近は雪が豊富なようなので捨てる。


剣岳本峰と池谷雪渓
 

大猫平を行く秋元と中林
 
 10時45分、頂上と思われる所に立つ。赤いペナントがあり、大猫山、2055mと書いてあった。間違いないようだ。
 肝心の剣岳はそこに立った途端に雲の中に消えてしまった。それともかろうじて間に合ったと言うべきだろうか?すぐに缶ビールを冷やす。6畳ほどの盛り上がった草原以外は雪がびっしりと残っている。その小さな空き地で乾杯して昼食。
 仲間と食事をするときはストーブ持ってきた方がよかった。水とパンだけでは味気ない。ガスが広がり、北方に見えていた釜谷山や猫又山も見えなくなった。


大猫山頂上から見る釜谷山(左)と猫又山(右)
 

大猫山頂上のペナント
2055mと書かれていた
 後から来た男性は少し離れた場所で昼食を摂り、しばらくして降りていった。昨年に続き2回目だそうだ。
 12時30分、頂上を後にする。大猫平までのいくつかの雪渓が堅くて急で、足で滑り降りる気はしなかった。こういう場所ではストックよりピッケルのほうが安全なようだ。我流だが大分使い方が分かってきた。習うより慣れろかもしれない。


猫又山へ続く尾根と猫又山
 

食後の高木、秋元、中林
 
 大猫平から下は急斜面を真っ直ぐ降りる格好になり危険な場所が沢山ある。危険な場所じゃなかったが、見事一回転してしまった。
 登山道を歩いていて一回転したのは初めてだった。左手にすす竹を10本程、右手にピッケルを握っていた。木の根の多いところで、しゃがんだ弾みに前のめりになった。足を前に出そうとしたが木の根にひっかかり出なかった。
 顔から突っ込むかわりに自分から一回転したのだが額と肩を強く打ってしまった。
 後から分かったのだが、左膝の内側にもアザが出来ていた。ピッケルは放り投げてしまったが、すす竹はしっかり握っていた。自分の欲の深さに、やや複雑な気持ちだった。


大猫平への雪渓を下る二人
 

500m程の長さがある大猫平
途中で段差があり、やや曲がっている

 両手両足の全てを使いながら降りる。分かりにくい道で何回か間違えそうになる。川のせせらぎの音が大きくなり、登山口が近い事を教えてくれる。それにつれ、気温も高くなってくる。
 15時10分、登山口に到着。赤谷山に向かったと言う登山者が二人いた。道が分からなくて帰ってきたらしい。赤谷山へ向かったのは二人だけだったそうだ。他の人は山菜採りと、渓流釣りが目的だったようだ。
 ブナクラ谷は比較的安全だったようだ。7月に入ったら赤谷山に行ってみようと思った。