大品山



美女平から(2003年4月7日撮影)

所在地富山県大山町
立山山麓家族旅行村登山口 アプローチ富山市内より車で1時間
登山口標高552m
標   高1404m
標高差単純852m 累積登り1040m 累積降り1040m
沿面距離10.5Km
地 図カシミール ←クリック
登山日2003年10月26日
天 候曇り
同行者単独
コースタイム立山山麓家族旅行村(44分)龍神の滝(50分)瀬戸蔵山(30分)大品山<休憩50分>(24分)瀬戸蔵山(24分)ゴンドラ山頂駅(56分)立山山麓家族旅行村 合計4時間30分<休憩50分含む>


 ゴンドラの始発時間を30間違えて9時だと思った事。ゴンドラが運休している事を知らなかった事。登山口を粟巣野スキー場だと思っていた事などが重なって、出発が遅れてしまった。始発時間より30分遅れた9時に出札口に行くと人の気配がない。張り紙がしてあり「10月14日から29日まで点検のため運休します」と書いてある。急遽、粟巣野スキー場に行き、瀬戸蔵谷の登り口を探すが見つからない。立山山麓家族村からも道が出ていた事を思い出して戻る。ようやく登山口を見つけたのが9時40分だった。
 この時点で鍬崎山をあきらめ、大品山に変更する。

 林道を1Km程歩くと登山道は林道をはずれ左下に分岐している。標識も立っている。せっかくかせいだ標高を落とすのは残念だが林道を真っ直ぐ行くのは危険だ。50m程降りると瀬戸蔵谷に出る。谷沿いに上がっていくと「百間なめ」の休憩所があり、3人の女性が休憩していた。展望もきかず、日も射さない寂しい場所だ。そこから400m程で「龍神の滝」の展望台に出る。「りゅうじんのたき」ではなく「たつがみのたき」と呼ぶらしい。そこにも夫婦らしい人がいたが、この先は急登らしいから引き返すと言っていた。滝の両側の紅葉がきれいだ。直径10cm程の丸太で土留めされた階段が続く。確かに小柄な女性にはきつい階段かもしれない。

 一個所大きな金属のハシゴがあった。長さは10m以上ありそうだった。 真川側の尾根の中腹に山小屋のようなものが見える。白い壁に三角屋根のおしゃれな建物のように見える。これが別荘なら最高なのだがどうも北電のサージタンクのようだ。昔、高校時代に猿倉山で藪こぎの末にたどり着いた山小屋にピアノが置いてあった。誰かの別荘のような山小屋だった。今、思い出してみても夢の中の出来事だったような気さえする。 ファンタスチックな山小屋だった。

 その急登で3人のパーティーを追い越す。瀬戸蔵山頂上に近づくと、上からにぎやかな声が聞こえて来る。 頂上に出てみると高校生が20名ぐらいいた。足跡もなかったのに何処から来たのだろうか? 鍬崎山は見えなかったが、雲間に弥陀ヶ原が広がる。座る場所もなく、そのまま大品山を目指す。左側が切れ落ちた稜線の道だ。上から走ってくる高校生1人とすれ違う。大品山から下りてきたようだ。

弥陀ヶ原高原と左に大日岳、右に天狗山、中央奥に奥大日岳が見える。
 観光客で賑わった立山も、もうしばらくすると人々を寄せ付けない真っ白な世界へと変わり、神々のもとへと帰っていくのだろう。


 すっかり葉の落ちたブナの林も又、味わいがある。見通しがよいので、灰色の肌の樹木が遠くまで見渡せる。落ち葉を踏みしめながらの里山歩きは1人にかぎると思った。
 名残雪ならぬ名残紅葉とでも言おうか、所々に残っているモミジの紅葉が最後の命を燃やす炎のように鮮烈だった。



 大品山頂上(2404m)
 
葉を落とし冬を待つ木々達の間で1人
音のない世界に身を横たえていると
俗世界で垢にまみれたこんな自分でも
自然と一体となれるような気がする

鳥の鳴き声が体の内から聞こえ
遙かな風の流れが見え
魂が自然の中にとけ込んで広がっていく

自然は全てのものを飲み込んで浄化する
やさしさを持っているのだろう
全てを許す悠久の時間を持っているのだろう
この一瞬の世界に時間が止まる


 11時34分、大品山頂上(1404m)に立つ。途中からガスがわき、大日岳も鍬崎山も見えない。100m先の大品山広場に行ってみるが、大きな焚き火跡があるだけだ。4月に来たときに倒れかかっていたトイレは直されていた。頂上のベンチに戻って昼食とする。テーブルの上に雪が残っていて飲み物や果物を冷やすのに都合がよかった。
 音のない世界で1人たたずんでいると、がらにもなくセンチメンタルな気分にさせられる。秋と言う季節がそうさせるのだろうか?


 運転休止中のゴンドラ山頂駅
       リフト降場
トレイルのない大空を舞う者達は空間の旅人だ山ヤとの接点はあるのだろうか?

 50分の休憩後、12時24分、大品山を後にする。鍬崎山往復には時間が足りない。12時48分、瀬戸蔵山に戻る。同じ道を歩きたくないのでゴンドラ駅の方へ向かう。13時12分、運転休止中のゴンドラ駅に到着する。林道沿いに降りていくとパラグライダーを広げている人がいた。歩いて登ったそうだ。その道を教えてもらう。ゲレンデの中央を走っているブルドーザー用の道だった。草刈が終わっていたから歩けたが、そうでなかったら歩けるような道ではないだろう。14時8分、ゴンドラ乗り場に帰り着く。
 中途半端な山行きだった。ゴンドラの運転休止を事前に知っていたら、もっと早く出かけていたのに...

       ゴンドラ乗り場付近



 ゴンドラの駐車場は恋人達がそれぞれの時間を過ごしていた。30年前の自分を思い出してみる。繰り返せないのが人生であり、だからこそ一度しかない人生が面白いのだろう。