白木峰



金剛堂山(前金剛)より撮影(2003年3月2日)

標 高1596m
所在地婦負郡八尾町 岐阜県宮川村
庵谷登山口 アプローチ八尾町から大長谷杉ケ平から21世紀の森への林道入口
所要時間八尾町から50分
標高差単純1,040m 累積1,350m(帰りの仁王山への150mを加算)
沿面距離往路4486m 復路4380m 合計8860m
登山日2003年3月15日
天 候曇り時々雪
同行者中林
参考コースタイム
富山山歩き(シーエーピー)
無し
参考コースタイム
富山県の山(山と渓谷社)
無し
コースタイム杉ケ平(86分)900m地点(120分)仁王山(100分)白木峰頂上(65分)仁王山(100分)杉ケ平

 2週間前、栃谷から3時間半をかけて金剛堂山に登った。その時、最初に目に飛び込んできたのが、真っ白に輝く白木峰だった。次の山は洞山と思っていたのが、山から帰った数日後には白木峰に変わっていた。
 地図を調べてみると長い林道歩きである。林道歩きはキラズ山や笹津山で懲りている。出来れば高度を稼げるコースを選びたい。林道歩きが一番少ない尾根筋を探すと最初のヘアピンカーブからの尾根になる。
 この尾根は仁王山へと続いている。仁王山から白木峰へは、いったん150m程降ることになるが、林道を歩くよりはましだと思った。


21世紀の森への入口(555m)
 

900m地点への登り(最初の急登)
 
 朝6時半、家の近くの広場で中林と落ち合い、コンビニ経由で大長谷をめざす。曇天だったが雨でも決行と思っていたのでよしとしよう。
 中林は細蔵山に登る予定だったが天候が悪そうなのでこちらに合流。彼は最近「剱の展望台」というサイトを立ちあげた。細蔵山からの剱の写真を撮りたかったらしいが、今日の天候では無理と判断したらしい。
 1人では心細かったが心強い相棒が加わった。今日のような天候ではなおさらだった。


900m地点にあった休憩小屋
 

頂上が見えないのが不安
 
 除雪状況を確かめるために今回は念を入れて2ケ所に電話を入れてある。その大長谷杉ケ平で車を停め、身支度をする。
 登山口からは山の全貌は見えない。不安と期待が心を交差する。高校時代の夏、確かこのあたりから登ったはずだが記憶がない。たとえ記憶が蘇ったとしても、今は冬、役にはたたない。
 7時40分、555m地点から林道にとりつく。ここにも数日前のスキーの跡がありイヤな予感がした。雪の状態は表面クラストのモナカ雪で歩きにくい。
 ヘアピン地点は崖になっているので、そのまま伸びている道を50m程行ったところから尾根にとりつく。スキー跡はそのまま林道をたどってキャンプ場の方へ消えていた。
 いきなりの急登。900m地点までのブナと楢の林をひたすら登る。


ゲレンデのような広い尾根(1300m付近から)
 

スキーを持ってくるべきだった(下山途中)
 
 9時5分、900m地点へ出てみて驚いた。仁王山への登山道はないはずなのに休憩小屋のようなものがあり、スキー跡もある。
 後で分かったのだが、「21世紀の森」キャンプ場の施設の中のひとつだった。ここからは斜面もややなだらかになりスキー跡をたどって高度をかせぐ。スキー跡は4〜5人のパーティーのようだ。
 頂上付近がガスに隠れているのが気になる。1050m地点から仁王山の頂上まではスキー場のゲレンデのようになっている。「1人だったらスキーを持ってきていたのに...」と思いながら歩く。
 時々雪が舞い降りる尾根をガスの中へと入っていく。


仁王山頂上(1516m)での中林
 

稜線に現れた白木峰山荘の屋根
 
 11時10分、ややバテ気味になりながら仁王山(1516m)に到着。一瞬ガスがとぎれ、戸田峰へ続くと思われる尾根が見える。スキーの跡はここまでだった。
 11時20分、小休止後、景色が見えないまま地図とコンパスを便りに白木峰へのコルと思われる方向に向かう。帰りの登りの事を考えて小幅のトレースを残す。
 11時33分、150m下のコル(1360m)に到着。ここから白木峰山荘までは所々に急登を織り交ぜながら、だらだらと登っている。かんじきにくっつく雪が漬物石のように重い。
 途中、クレパスを踏み抜きそうになる。バテていて、なかなか抜け出せなかった。はい上がって覗いてみると深さは3m以上はありそうだった。キャラメル一個をほおばって少し楽になる。


雪に埋もれた白木峰山荘(2階部分)
 

頂上(1596m)の標識
 
 1500m付近から雪庇を警戒して稜線から少し離れて歩く。ガスがさらに濃くなり、視界が効かなくなる。すぐ横にあるはずの稜線が2m先なのか3m先なのかも分からない。
 下っているのが右への斜面を下っているのか1548mピークを過ぎたからなのかも分からない。中林以外全く何も見えないホワイトアウトの状態で、ストックで雪面の傾きを確かめながら歩く。
 12時40分、突然、稜線の上に白木峰山荘の屋根が現れ、ほっとする。上手に稜線から4m程下を歩いていたようだった。
 白木峰山荘は周りを雪庇に囲まれた穴の中にあり、2階の窓から出入り出来るぐらいの積雪だった。


頂上の看板と後ろに石版
 

頂上での記念撮影
 
 行き着くかどうか分からなかったが、とにかくコンパスを頼りに頂上を目指す。途中から、かんじきの爪がかろうじて雪面を捕らえる程のアイスバーンに近い状態になる。
 足跡が風で吹き飛ばされる心配もあったがブッシュが所々に見えるので帰り道は迷わないと判断。そのブッシュの配置を頭の中にたたき込む。
 だがガスがもっと濃くなったら小屋に戻るのに手間取っただろう。とにかく上に向かえば頂上に出るはずと、登り続ける。右手に杭のようなものが見えた。頂上の標識だった。


白木峰山荘(1530m)を出発
 

1360mコルへ下る中林 踏み跡が頼り
 
 13時、白木峰頂上(1596m)に立つ。登り初めから5時間20分、時間的にはほぼ予定通りだったが、体力は予想以上に限界に近かった。
 頂上の看板や石版が顔を出しており、積雪は30〜40cm程だと思われる。風が強いので記念写真を撮った後、小屋にもどり、風のない小屋の前で昼食とする。
 缶ビールを忘れた中林とビールを分けて乾杯! おにぎりを忘れても缶ビールを忘れるようなヘマはしない。持っていく食料の優先順位には個人差があるようだ。


帰りの仁王山への登り返し
 

この右奥に金剛堂山が見えるはず
 
 14時17分、小屋を後にする。15時17分、コルから最後の辛い150mを登りきって仁王山に到着。降りるときに小幅に歩いたトレースに助けられる。
 仁王山からの下りはトレースを無視して駆け下りた。1300m付近から視界が戻る。眼下に広がる広尾根に改めてスキーを持って来なこなかった事を悔やむ。(持って来たなら3.5Kg荷物が増えるのだが...)
 16時15分、900m地点に到着。そこからはスキーの跡をたどってみようと言うことになった。そのスキーの跡は南側の尾根を下り、さらに二つに分かれている尾根の間の広い沢を下っている。
 途中でもう1軒、休憩小屋を見かける。下りきった所がキャンプ場のアスレチックスのある広場だった。次回はここから登ろうと思った。すぐ下を走っている林道を横切り、真下に見える車のデポ地へのショートカット。


途中で見かけた二つ目の休憩小屋
 

アスレチック場にあった休憩小屋
 
 17時、車に戻る。今日は(今日も)バテた。山登りがエスカレートしていく。年も考えず、体力の限界を探るような山行きを楽しんでいる。「今日は体力勝負!」と思っていたが、それを引き出すのが気力だとも思った。
 「登山は気力勝負!」こういう性格の持ち主が遭難するタイプかもしれない。と、帰りの車の中で思った。
 翌16日の朝からの好天に当日の天候を恨んだが、ホワイトアウトの中の白木峰頂上の看板も滅多に見られるものじゃないと無理矢理納得させる。午後からの雨がさらに納得度を高めてくれた。