祖父岳



林道の合流地点(460m)から撮影(2003年2月15日撮影)

標 高831.6m
所在地婦負郡八尾町
西松瀬
(裏ルート)
アプローチ八尾町より野積川を上り魚の公園手前の橋のたもと
所要時間八尾町より30分
単純標高差550m(登山口285m) 累積600m
登山日2003年2月15日
天 候快晴
同行者秋元、中林
参考コースタイム無し
コースタイム西松瀬(132分)748mピーク(33分)頂上(120分)西松瀬

 雪山に登るようになってから暖めていたコースを実行する日が来た。祖父岳の裏ルートだ。残雪期に谷折から入るのはよくあるようだが、2月にはあまり聞かない。
 東側から登ると言うのもまだ聞いた事がない。バリエーションルートとして面白いと思った。
 地図を見ると野積川から入る方が距離は短い。だが東側の斜面は崖になっていて危険。北東の尾根はなんとか登れそうに見えるがかなり急だ。
 南側の尾根は夏道より等高線が広い。尾根への取り付きもコースを南に振ればさらに等高線の広い斜面だ。取り付きから途中までは林道を利用すれば距離は3Km程で標高差は550mだ。
 単独では心配なので会社の仲間2人を誘った。戸田峰で敗退した秋元とキラズ山で敗退した中林だ。2人とも嫌な予感がしていた事だろう。


西松瀬の民家の前に駐車
後で分かったのだがバスの回転場だったようだ

身支度を整える二人
 
 8時に家の近くの広場に集合。昨夜は氷点下で車の窓ガラスには厚い氷がはっていた。コンビニ経由で野積川を上り西松瀬まで行く。
 魚の公園への橋のたもとに1軒の家がある。その家の横の広場に車を停め、身支度をする。家の前から出ている林道が左へ行っている。確かこの林道は上で合流しているはずだが、真っ直ぐ谷沿いに上がれないかその家に聞きに行った。
 この家の主人とは30年ほど前、看板屋にいた頃、数ヶ月一緒に働いた事がある。その後お互いに会社を辞めて、彼はインドに行き、私は今の会社に入った。
 後年、偶然再会したとき、実家なのか買ったのかは分からないが彼はこの一軒家に住んでいた。


途中にあった民家(人が住んでいた)
 

林道合流点からの祖父岳
 
 初めに出てきた奥さんはここからは祖父岳には登れないと言っていたが、後から出てきた彼は親切に山道を教えてくれた。「帰りに寄ってくれ」とも。
 9時10分、予定より10分遅れで標高285m地点を出発。雪はクラスト状態が弱く、一番体重の重い秋元はかなり踏み抜いて、歩きにくそうだった。
 歩き初めてすぐの高さ2m以上ある橋が怖かった。橋の上に50cm程も積もった雪の幅がかんじきの幅ぐらいしかなく、ここが一番危険な場所だったかもしれない。


絶好調の中林
 

絶不調の秋元
 
 30分程歩いたところで前方に民家が見える。山奥の廃屋だと思って近づいて見るとうっすらと雪の積もったコンクリートの道路に出た。
 タイヤの跡まである。事前の下調べの不備を皆に謝る。だが部落もここまでのようだ。この後は林道らしき道を上り続ける。
 2人組らしいグループが2〜3日前に歩いたようだ。かんじきの跡があり、歩幅は合わないが、ないよりはましだった。
 やがて西松瀬から左に伸びていた林道との合流点に出る。道はここから右(北)と左(南)へ分かれているので祖父岳の南側のピークに向かって真っ直ぐ(西)杉林に入る。高度計は460mを指していた。


ピークからの下り
 

真っ白なお鏡餅のような頂上
 
 気温が上がってきていて腐った雪が歩きにくい。雪もろともかんじきが滑り落ちる。所々雪に埋もれた小枝の間を踏み抜き、かんじきが小枝に引っ掛かって抜けなかったりする。途中600m地点で林道を横切る。左へ走っていた林道が戻ってきているようだ。
 さらに杉林の中を登る。何故かこんな山にも電線が走っている。その電線をくぐって(首を曲げないと電線に触ってしまうくらい低かった)最後の急斜面を登り切ってみると、いきなりの748mピークだった。
 予定ではもう少し南よりの尾根に出る予定だったが杉林で方向が狂ったようだ。11時22分だった。


遠くに見えるのは牛岳
 

首からのタオルが...
 
 大休止後、12時、748mピークを出発。頂上は目の前だ。ピークからコルへの下りが緊張した。稜線に大きな岩が連続していてコース取りが難しい。一歩間違えば10数メートル下へ転落する。
 東側は崖になっているので西側の斜面を行く。雑木も少なく、いったん滑りだしたら木にぶつかるまで止まりそうもない。下りきった尾根も幅1mほどの細尾根で右側が雪庇のようなので注意して左側を歩く。


コルから見た祖父岳と遠くに富山平野
 

コル付近の細尾根
 
 700mのコルから831mの頂上まで、もう危険なところはない。最後の急登130mを登り切るだけだ。12時33分頂上に立つ。まん丸な頂上は真っ白で何の足跡もない。
 夏道の方にも足跡の痕跡すらない。まったく3人だけの世界だ。帰り際、この雪面に小便でイニシャルを書く。記念撮影してきたがうまく書けなかったので非公開。(うまく書けてても公開するなって?)
 恒例の乾杯に続き昼食。中林の持ってきたおでんが美味しかった。
 頂上の積雪量は分からなかったが、2本あった標柱は全く見えなかった。2m以上はあると思われる。東側には立山連峰が見え、西には牛岳、高峯、金剛堂山が見える。
 遠くには人形山から大笠山だろうか?真っ白な山が見える。富山平野も一望だ。細長く南北に延びた呉羽山丘陵が富山の大平野を東西に分けている。
 その呉羽山丘陵が文化まで分けてしまったのは興味深い。味付けは呉西が関西風で呉東が関東風、商売上手は呉西、結婚式が派手なのは等々...


転倒しながらも楽しく降る
 

仲間と頂上にて
 
 頂上でゆっくり時間を取り14時25分下山開始。748mピークの登りが危険なのでコルから沢を下る案も出されたが却下。こんな急な沢には必ず滝があるはずだ。ブッシュが少なく滑落の心配もある。
 幸い748mピークへの登りは下りよりも楽だった。滑ったり転んだりしながら駐車地点まで下る。16時25分だった。
 下山途中、山仕事をしているおじいさんに出会った。電線の保守をしている北電の人間に間違われる。祖父岳に上ってきたと言うと「へーーっ」と絶句していた。だが感心していたと言うよりは、ただあきれていただけのようだった。