燕 岳



燕岳 燕山荘方向から(2003年10月19日撮影)

所在地長野県 大町市、穂高町
中房温泉登山口 アプローチ松本市より中房温泉まで車で1時間
登山口標高1455m
標   高2763m
標高差単純1308m 累積1410m
沿面距離14Km
登山日2003年10月19日
天 候快晴
同行者秋元、中林
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
中房温泉(3時間)合戦小屋(1時間10分)燕山荘(30分)燕岳(25分)燕山荘(50分)合戦小屋(2時間)中房登山口
参考コースタイム
長野県の山(山と渓谷社)
中房温泉(3時間)合戦小屋(1時間)燕山荘(30分)燕岳(20分)燕山荘(40分)合戦小屋(2時間)中房登山口
コースタイム中房温泉(2時間16分)合戦小屋(54分)燕山荘(26分)燕岳<休憩44分>(33分)燕山荘<休憩1時間27分>(31分)合戦小屋(1時間35分)中房登山口


 笠ヶ岳に誘った秋元、中林と都合がつかず、しきり直して出かけたのが燕岳だった。朝、3時半に大沢野の集合場所に集まる。41号線を南下して神岡から471号線に入り、安房トンネルを目指す。3日前に奥穂高岳へと走った道だ。 この道は今年はよく走った。天蓋山、北ノ俣岳、焼岳、西穂高岳、笠ヶ岳、奥穂高岳、そして今回の燕岳。安房トンネルを越え、中ノ湯温泉へ出る。さらに梓川を下り、奈川渡ダム、水殿ダム、稲核ダムを横目に松本市まで一気に降りる。夜明けの後の雲一つない青空が登山気分をもり上げる。

 松本市内に入る手前で梓川を渡り、中房温泉を目指す。左手に朝日を受けて堂々と輝くのは常念岳だろうか? 所々一車線となる曲がりくねった道を走り、6時36分、中房温泉に到着する。 橋を渡ったところが駐車場だった。 駐車場には20台ぐらいの車が停まっていたが、60台は入りそうだ。最盛期ならもう停める場所もないような時間だろう。 中房温泉手前の有料駐車場の売店はもう営業を終了していた。その売店横に登山道がある。6時50分、登山口(1462m)にとりつく。

 日本三大急登と言われる登山道らしいが、何を基準に決めているのかがよく解らない。大猫山に比べれば快適な登山道だ。登り初めてすぐの唐松林の紅葉(黄葉)が、かなりの葉が落ちてしまっているが、それでも美しい。富山県内の杉林ばかり見ている目には新鮮な感動を与えてくれる。
7時21分、第一ベンチに到着。この合戦尾根登山道には合戦小屋までに4つのベンチがある。約30分置きにあるので休んでも休まなくてもいい。7時42分、第二ベンチ。8時10分、第三ベンチ。8時42分、富士見ベンチ。小休止を取りながら登る。
途中、にぎやかな団体さんが道を譲ってくれたが、この団体さんの足が速く、落ち着いて休む事も出来ず、走らされてしまった。

 9時6分、合戦小屋(2380m)に到着。小屋はすでに営業を終了していた。 シーズンオフの観光地ではコストの面からもしょうがないのであろうが、寂しい気がする。
中林によれば、合戦尾根、合戦小屋の合戦(かっせん)の言葉の由来は荷揚げ用の索道の架線(かせん)から来ているとの事。眉唾で聞いておいた。
 立派な索道で、人間が5〜6人は乗れそうな篭がついていた。立山では2400m近くでは森林限界を超えているのに、ここ燕岳ではまだまだ樹林帯が続いている。積雪量も関係しているのだろうか。
合戦小屋を過ぎてしばらく行くと大天井(おてんしょう)の稜線に槍の穂先が姿を現す。槍ヶ岳はやはり特別な山だ。思わず何枚もシャッターを切ってしまう。正面には燕岳が見え、右側には針木岳が天をつく。振り返れば雲海の彼方に南アルプス、八ヶ岳の山並みが連なり、その間に富士山が独立峰としての威容を誇っている。
 雨の日は雨の日でそれなりに、いい山行きだったなどと嘘ぶくが、やはり山は晴れていなければいけない。今日は特にそう思った。2人の晴れ男に感謝!

 登山道の日陰に長さ5cmもの霜柱が点在するが、気温が低いのか溶ける気配もない。10時、燕山荘に到着する。休憩も取らず、引き寄せられるように燕岳に向かう。すぐ近くに見えたが実際には1Kmの距離があった。奇岩の中、シャッターを切りまくりながら10時26分、燕岳頂上(2763m)に立つ。先客が3人いた。10人も立てばいっぱいになりそうなスペースしかない。360度の展望が広がる。北から左へ鹿島槍、蓮華、針ノ木、剣、立山、野口五郎、水晶、双六、鷲羽、笠、槍、穂高、大天井、常念へと続く。その左へ南アルプス連峰、富士山、八ヶ岳、浅間山が白く輝く雲海の上に青く連なっている。 このページでその全てを紹介できないのが残念だ。

 この角度から見る立山、剣岳がやはり気になる。北燕岳の上に見えるのが剣岳だが、情けない姿である。剣竜(ステゴザウルス)の背のような八峰もただの稜線にしか見えない。長治郎の雪渓は意外に太く、まだ北方稜線までつながっているように見えた。剣岳と富士の折立の間に奥大日が頭を出し、雄山から一ノ越が見える。さらに左へと山並みが続く。時間が許すならあの稜線をゆっくり歩いてみたい。立山から薬師岳、北の俣、黒部五郎、双六、槍ヶ岳、穂高を超えて上高地。
 表銀座裏銀座の名前があるが、剣岳から槍ヶ岳への稜線に名前はない。ここに奥銀座の名前を提唱したい。 一本の缶ビールを三人で分けて乾杯。11時10分、頂上を後にする。

面白い岩が沢山あった。真ん中の写真が有名なイルカ岩のようだ。知らずに偶然撮ったもの。その右奥に見えるのが槍ヶ岳。下の写真は頂上直下の屏風のような岩の前に立つ中林と秋元。岩の種類は花崗岩。

 燕山荘は北アルプスでも有数の歴史と施設を誇る山小屋だ。穂高岳山荘と雰囲気が似ていると思った。


入って正面。右がフロント、左が食堂と売店
 

フロント正面の売店
 

売店の横にある食堂
 

食堂の中の個室においてある本棚
 

 燕山荘の玄関前のテーブルであらためてビールで乾杯する。その後、食堂に入って昼食とする。何故かラーメンを食べるつもりで来ていたのが不思議だった。出発前から燕山荘のラーメンで話が盛り上がっていたのだ。だがメニューにはラーメンなどなかった。うどんを食べた。
 13時10分、燕山荘を出発する。この付近に3時間以上もいたことになる。降っていく途中、合戦の頭にある三角点が動くことに気づいた。石の上に置いてあるだけだ。これでいいのだろうか?試しに回してみるとくるくる回る。これじゃ方角が分からない。
 高度を下げ、雲海の中に入って行くにしたがって槍ヶ岳がガスの中に消えていく。

 15時14分、中房温泉登山口に到着する。中房温泉は外来の入浴が出来ないので近くにある町営の有明荘に行く。内湯より大きな露天風呂に洗い場があるのがありがたい。山から降りてきて車に乗ったとき、その山行きの評価はだいたい決まっている。満足の出来る山行きだったのか、納得のいく山行きだったのか、あるいは不完全燃焼の山行きだったのか...今回は勿論、満足できる山行きだった。目に焼き付けた360度の展望が、何枚もの絵となって心に焼き付いていく。表銀座踏破の夢を描きながら富山へと車を走らせた。


中房温泉登山口の駐車場に到着
 

町営有明荘の露天風呂