剱 岳 |
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所在地 | 上市町、立山町、宇奈月町 | |
馬場島 | アプローチ | 富山市より車で1時間10分 |
登山口標高 | 760m | |
標 高 | 2998m | |
標高差 | 累積2240m 2600mピークまで1820m | |
沿面距離 | 7150m 2600mピークまで6000m | |
地 図 | カシミール ←クリック | |
登山日 | 2003年5月24日 | |
天 候 | 晴 | |
同行者 | 単独 | |
参考コースタイム とやま山歩き(シーエーピー) | 馬場島(5時間)早月小屋(3時間)剱岳(5時間)馬場島 | |
参考コースタイム ヤマケイYAMAP(山と渓谷社) | 馬場島(6時間30分)早月小屋(3時間30分)剱岳(5時間10分)室堂 | |
参考コースタイム 立山・剱岳を歩く(山と渓谷社) | 馬場島(5時間30分)早月小屋(3時間)剱岳(5時間20分)馬場島 | |
コースタイム | 馬場島(4時間)早月小屋(1時間30分)2600mピーク(40分)早月小屋(2時間30分)馬場島 |
今年2度目の剱岳となった。前回は5月10日に室堂から入ったが今回は馬場島から入った。朝、3時半に家を出てスーパー農道を走り、4時45分、馬場島の公共駐車場に車を停める。 5月1日に中山に登った際に下見をしておいたので、迷うことなく登山口に向かう。登山口を5時丁度のスタートとなった。 最初の急登でヒメシャガを見つける。その後、春の定番、サンカヨウにエンレイソウ、カタクリなどが出むかえてくれ、剱岳への登山だと言うことを忘れそうになる。だがしばらくは花を楽しんだ。 チゴユリ、ユキザサ、タチツボスミレ、タツナミソウなどを見ながら歩く。樹木ではタムシバ、ムシカリ、ミヤマザクラ、ムラサキヤシオなどが美しい。 やがてハクサンイチゲ、シラネアオイ、イワカガミ、ショウジョウバカマに変わり、最後まで見送ってくれたのが、イワウチワだった。 |
ここからは頂上は見えない |
赤谷山、白萩山、赤ハゲ、白ハゲ |
ワンタッチアイゼンしか持っていないので仕方なくプラブーツを履いたが歩きにくい。 松尾平でいきなり道を間違える。前回の下見の時、立山川寄りに道があると思っていたので、分かれ道で右側へ行く。小さなピークに出たと思ったら道は立山川へ落ちて行っていた。分岐点に戻り松尾平を歩く。 前回見たあの立山川沿いの道は何だったのだろう? 松尾平と早月尾根を結ぶ連絡橋のような道を通り尾根に取り付く。 立山川のほうからさかんに岩の崩れ落ちる音がする。ブナクラ谷から赤谷山へも行きたいが、この時期は危ないのだろうか。 |
赤谷山から白ハゲ、手前は小窓尾根 |
左に毛勝三山、右に赤谷山 |
このコースには1000mから200m毎に標識があるがどうもあてにならないようだ。高度計と100m以上も違うので調整し直すが、その都度違う。気圧の変化などでは説明出来ないくらい違う。100m単位で違うようなので再測量をお願いしたい。 1400mあたりから残雪が現れだす。1800mから雪渓の方が多くなり、雪も堅いのでアイゼンを装着する。 やがて広い雪原に出る。その雪原からの登山道が見つけにくかった。その後のやや平になった場所に発泡スチロールごとゴミが捨ててあった。箱は壊れてゴミが散らばっていた。 団体で宴会でもやったようなゴミの量だった。近くに蟹の足の殻も沢山捨ててあり、情けない気持ちにさせられた。皆で捨てれば怖くないとでも言うのだろうか? |
早月小屋、奥に立山川と剱御前 |
戸締まりされた早月小屋 避難用の入口は何処にも見つからなかった |
小さなピークを越えると早月小屋が見えた。9時丁度、早月小屋(2200m)に到着。小屋は春の連休後、6月22日まで休業している。 窓や入口はしっかりと戸締まりされていた。無人の小屋というものからはある種の怖さを感じる。(本当に誰もいないのでしょうね?) 早月尾根でここだけは携帯の電波が通じた。負釣山に行っているハズの秋元と中林に電話をいれて見るが向こうの方が山の中だったようだ。軽い朝食を兼ね、15分ほどの小休止とする。 |
早月小屋から上部、左側だけに雪渓がある |
立山川と室堂乗越、右が奥大日 |
夏道は小屋から100m程は稜線に出ていたが2300mぐらいから上は北側(池ノ谷側)を通っている。 立山川側には雪が付いていないが、池ノ谷側はびっしりと雪が付いている。斜度30度〜45度の雪渓のトラバースになる。体感的には60度にも70度にも感じる。 ストックをピッケルに変えるが怖い。先ほどまでは雪もしまっていてアイゼンが効いたが、雪が腐り出している。所々雪渓が薄くなっていて、蹴り込んだ足が雪渓をぶち抜くこともあった。 こんな斜面を滑ったら止まれる自信はない。今日は1人で登っている事が怖かった。もっとも、2人ならば安全と言う訳でもない。素人同士がザイルで結んだところで、道連れザイルになるだけだ。 |
2300m辺りから見下ろす早月小屋 |
池ノ谷側の雪渓のトラバースが続く (2500mあたりから下方を望む) |
10時45分、2600mのピークを前に足が止まる。雪渓の斜度は45度を越えている。2600mピークのトラバースは怖い。ピークを登って降りるのも難しそうだ。 その鞍部から頂上までは岩場の急登と雪渓のトラバースが連続しているように見える。体力的にも頂上で限界だろうと思う。残り400mしかないが帰りの体力(安全性)を考えると引き返すべきなのだろう。 悩むこと15分。頂上を断念。11時、ストーブを持ってきていたがビールと菓子パンだけの食事とする。ガスも出て来て完全にあきらめがついた。11時半、下山開始。 |
剱岳本峰と左に帽子、さらに左俣のコルを経て 長治郎の頭 |
長治郎の頭、左へ下がって剱尾根の頭 |
腐った雪渓を慎重に降りる。安全なところはプラブーツで滑り降りる。12時10分早月小屋に到着。 このあたりから午前中の足跡は消えていた。この後の広い雪原では下山路を一瞬見失ってしまう。左側にもう一つの尾根があるので注意を要する場所だ。 岩にアイゼンを引っかけ、その反動でズボンを引き裂いてしまった。足まで引っかけなくてよかった。 1500mあたりで二人の登山者に会った。30歳前後の女性二人のパーティーだった。今日初めて人に会ったのでびっくりした。「上はかなり危険だよ」と言うと「アイゼンとピッケルを持っているから大丈夫です」 早月小屋まで行くと言うので「小屋は休んでいるよ」と言うと「知ってます」と、にべもない。おまけに別れ際「そんな靴であるきにくくないんですか?」と言われてしまった。余計なお世話だ。 |
45度の雪渓と剱尾根の頭、小窓の王 |
剱尾根の頭、左に小窓ノ王、小窓尾根と続く |
時間にも余裕があったので、花の写真を撮りながら降りる。14時40分、馬場島登山口に到着。 あまりにも早い時間の敗退だった。だが今日も反省することが多かった。どうしても荷物が軽くならない。ツェルトは持って行かなかったが、雨具やヘッドランプなどを入れると非常食なども入れてしまう。 何故か今回も10Kg近い重さになってしまった。アタックザック程度に絞れればもっと簡単に頂上に...などと考えてしまう。使いもしないストーブなど邪魔なだけだった。 いつも同じものを持って行っているが、もう少しパターン分けした方がいいように思う。宴会目的の登山、花鑑賞目的の登山、早駆け目的の登山。長距離なのか、短距離なのか、長時間かかるのかかからないのか。いくつかのパターンに分けてチェックリストを作ればいい。これからの課題としよう。 |
2600mピーク |
2600mピークからの室堂、ホテル立山、みくりが池温泉、バス道路、奥に薬師岳が見える |
残雪期の早月尾根は危険なようだ。そのせいなのだろう、今日もあの生意気な女性(失礼)2人以外は誰にも会わなかった。 雪が溶けてからの再アタックを誓う。7月に入ると登山者も増えるから6月の後半ぐらいになるのだろうか? |