五龍岳



五龍山荘から五龍岳を見上げる(2004年10月10日撮影)

所在地富山県宇奈月町、長野県大町市
八方尾根黒菱平
〜五龍岳〜
五竜遠見
アプローチ八方尾根の咲花ゲレンデから山道を5Km程登る
登山口標高1510m
五龍岳標高2814m
下山口標高1520m
標高差単純1304m 累積(+)1860m 累積(−)1850m
沿面距離18Km
登山日2004年10月10日
天 候雨のち晴れ
同行者豊本さん(音楽と道楽人生巡礼)
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
黒菱駐車場(1時間)八方池山荘(3時間30分)唐松岳頂上山荘(2時間30分)五龍山荘(1時間)五龍岳頂上(40分)五龍山荘(1時間20分)大遠見(2時間45分)テレキャビン乗り場
 合計12時間45分
参考コースタイム
 YAMAP(山と渓谷社)
黒菱駐車場(1時間)八方池山荘(4時間10分)唐松岳頂上山荘(3時間)五龍山荘(1時間10分)五龍岳頂上(50分)五龍山荘(2時間)大遠見(1時間10分)小遠見(1時間20分)テレキャビン乗り場
 合計14時間40分
コースタイム黒菱駐車場(57分)八方池山荘<休憩6分>(2時間20分)唐松岳頂上山荘<休憩20分>(1時間44分)五龍山荘(37分)五龍岳頂上<休憩38分>(25分)五龍山荘<休憩30分>(1時間50分)中遠見(1時間17分)テレキャビン乗り場
 合計10時間44分<休憩1時間34分含む>


 早くから計画していた山行きだったが中林が足を痛めてキャンセル。神岡のお嬢さん達も都合がつかず不参加。結局、豊本さんと二人だけの山行きとなった。
 テレキャビンを利用するとスタートが遅れ、日帰りは無理なので、八方尾根の黒菱平から唐松岳経由で五龍岳に登り、遠見尾根からテレキャビンを利用する計画だ。
 8日に大町にある会社の保養施設に泊まり、9日に日帰りする予定だったが、台風22号の影響で1日順延する。
 9日14時、滑川ICで合流して大町に向かう。途中、白馬で148号線を離れ、黒菱平の駐車場の下見をする。分かりにくい道で、駐車場からの登山道も下見をしておく。


八方尾根には沢山のケルンがある
 

雨とガスの最悪のスタート
 
 大町にある黒部山荘で小宴会を催す。豊本さんが持ち込んだ高そうなワインで乾杯。ここは社員の保養施設にもなっているが一般の方も温泉付きで一泊二食税サ込み4900円で宿泊出来る。
 管理人の古木さん(女性)は健脚で扇沢出合から鹿島槍を10時間で日帰りする方だ。この日は会社の萩原君家族も泊まっていて忙しく、乾杯に参加することは出来なかった。


唐松岳頂上山荘近くのトラバース
 

唐松岳頂上山荘はもう冬支度だった
 
 3時前に目をさまし、身支度を終えて宿を出る。玄関には栗ご飯のおにぎりが置いてあった。古木さんありがとう。
 国道148号線に出て北上する。白馬駅前で左折して昨日の下見通りに黒菱平を目指す。道には標識が少なく下見をしていなければ、かなりの時間を無駄にしただろう。
 黒菱平はガスの中で、雨が降っていた。雨具を着てのスタートとなる。ヘッドライトのスイッチが押されていてライトが点きっぱなしだった。いったん消した後は二度と点かない。予備の電池がなかったのでデジカメの電池を使った。
 鎖の張ってある林道が登山道となっている。4時33分、登山開始。言葉少なくゆっくりと併走する。空気が重い。


千葉から来たという二人のお姉さん(?)達と
 

唐松岳上々山荘を出るときガスが引き始めた
 
 30分後にリフトの終点に着く。そこらか木道を歩くと少しずつ下がって行き、ガスの中から建物が見えてくる。次のリフト乗り場だった。
 そこからの登山道がない。豊本さんがリフトの下を歩き、50m程上で登山道を見つける。もたもたと10分ほど時間を無駄にした。
 ジグザグの石畳の道を歩き、5時30分、八方池山荘に到着する。山荘前のトイレを借りて出てきたときにはもう薄明るくなっていた。ヘッドランプをはずし、ようやくいつもの登山らしくなってくる。


牛首のトラバース
 

牛首からのナイフリッジの降りにあった警告板
 
 八方池を越えたところで二人の登山者が休憩していた。近づいてみると女性だった。八方池山荘に泊まっての登山との事。
 「何処まで行くんですか?」の問いに、定番の「行けるところまで」。謙遜しているのか警戒しているのか解らない。多分多くの女性は警戒しているのだろう。
 そのことを豊本さんに言おうと振り返って驚いた。その二人はすぐ後ろを歩いていた。振り向かずに大きな声で言わなくてよかった。


高度感のある岩場だがクサリで安心
 

この二人はかなりの強者だった
 
 ガスがかかり、まだ薄暗かったので心細かったようだ。我々と出会ってこれ幸いと、ついてきたらしい。
 7時56分、唐松岳頂上山荘に到着する。唐松岳はパスしてもいいが、五龍岳は登りたいと言う。百名山巡礼の方々のようだ
 唐松岳頂上山荘の玄関を借りておにぎりをほおばる。小屋の人に、そこは玄関だからじゃまになる、中に入ってくれ、休憩料は500円、と言われてあわてておにぎりを口に押し込み、外に出る。
 なぜか感じが悪い。こんな天気のこんな時間に我々のほかに誰が来るというのだろう? 誰のじゃまになるというのだろう?


ストックはしまってと書かれていたのに
 

標高差で100mほど岩場を降る
 
 8時16分、唐松岳頂上山荘を出発する。雨風が強くなっている。牛首と呼ばれる小ピークを右から巻いてナイフリッジの降りとなる。
 降り口に「ストックは片づけて両手を空けて慎重に!!」と書かれた看板がある。だがストックを片づけて両手を空けたものは誰もいなかった。
 鎖がはってあり危険なところはないが、高いところの苦手な人には嫌なところだろう。そのナイフリッジも100m程で終わる。
 途中にあるはずの大黒岳は気づかずに通り過ぎてしまう。徐々に青空が広がり始めるが、五龍岳は未だ頂上をガスの中に隠したままだ。


五龍岳への稜線は長野県側にガスが
 

堂々とした五龍岳はまだ遙か彼方
 
 富山側がきれいに見えていても長野側がガスで真っ白になるのはこの山域特有の現象だ。今回もその通りになっている。
 振り返れば長い優雅な裾野を従えた唐松岳の頂上が見え隠れしている。彼女たちは唐松岳頂上に行かなかったことを悔いていないのだろうか?
 10時丁度、唐松山荘に到着する。ここから見上げる五龍岳は迫力がある。頂上が大きく、その周りが岩壁となって切れ落ちているからだろう。
 あの岩壁のどこから登るだろうと考えただけでぞくぞくしてくる。4人そろったところで五龍岳に向かった。


遠見尾根分岐点
 

分岐点のすぐ下に五龍山荘がある
 
 後は頂上までワンピッチなので自分のペースで登らせてもらい、10時37分、五龍岳頂上に立つ。
 頂上には若者が一人いた。「今日は冷池山荘から来て、出来れば白馬山荘まで行きたい」と言っている。 黒部五郎で出会った若者と同じ人種で、同じ病気にかかっている。
 これを健脚過剰症候群とでも名付けておこう。


辿ってきた稜線を振り返る
 

五龍岳頂上(10時37分)
 
 頂上からは前(?)立山連峰がきれいに見えた。薬師岳、雄山三山、真砂岳、別山、剱岳、池ノ平山、赤谷山、毛勝三山、越中駒ケ岳と連なっている。
 北に目をやると唐松岳、天狗ノ頭と続き、その右上に白馬鑓が真っ白に見える。南には左半分をガスに隠しながらの鹿島槍への細い稜線が見え、登高意欲をくすぐってくる。
 11時、全員がそろう。千葉からの百名山巡りの方は五龍岳が83登目の登頂だった。おめでとう。


五龍岳から見た剱岳
 

五龍岳から見た毛勝三山
 
 11時15分、頂上を後にする。五龍遠見スキー場の最終テレキャビンは16時15分だ。あまりゆっくりは出来ない。
 11時40分、五龍山荘に戻りうどんと缶ビールを注文して乾杯。シーズンオフなのかラーメンがなかった。
 小屋の売店で頂上で会った健脚の若者の事を話すと「ここでも同じ話をして行きました」と笑っていた。


天狗ノ頭の右上に白馬鑓が白く見える
 

五龍岳を降る3人
 
 千葉の二人は八方池山荘に荷物が置いてあるからと同じ道を戻って行った。百名山を83も登っている人は流石に精神も鍛えられている。
 12時10分、五龍山荘を後にする。長野側はガスで真っ白なので、すれ違う人ごとに「上はいい天気ですよー」を繰り返す。
 すれ違ってから呼び止められた方がいた。誰かと思ったら春に唐堀山で会った方だった。色々あり、お礼をいいたかったのだが住所が分からなかった。思わぬ再会にあらためてお礼を言う。やはり山は狭い。


五龍山荘から五龍岳を振り返る
 

五竜山荘の食堂
 
 中遠見、小遠見のあたりは今が紅葉の盛りだった。左に八方尾根のゴンドラ駅や八方池山荘が見えるのだが歩いても歩いても同じ高さに見える。アップダウンを繰り返して標高が下がっていないのだった。
 テレキャビンの駅が見え出すと後は早かった。ほぼ予想通り(15時20分)の15時17分、テレキャビン乗り場に到着する。周りはよく整備された花壇が広がっている。花が咲いている頃はきれいなんだろう。
 休まずテレキャビンに乗り15時30分、麓に降りる。


遠見尾根の紅葉と登山道
 

テレキャビン乗り場へと向かう豊本
 
 タクシーを呼び、コカ・コーラで乾杯する。登りきった頂上の達成感もいいが、降りきった麓でのこの開放感がもっといい。
 疲れ切った体から精神が解放されて空中をふわふわと漂っている感じと言えばかっこよすぎるのだろうか。
 タクシーの運転手さんは、3連休にあてにしていたお客さんが台風の影響で大幅に落ちたと嘆いていた。そういえば連休初日の八方池山荘のお客さんも10名だったそうだ。


テレキャビン乗り場
 

8人乗りのテレキャビン
 
 唐松岳方面へ行くときに早いスタートが切りたかったら黒菱平から登った方がいい。八方池山荘まで歩いて約50分ほどだ。
 参考までに、五龍遠見テレキャビンから黒菱平までのタクシー代は5500円だった。
 八方尾根を戻ればタクシー代も要らないし、ゴンドラの最終時間を気にする必要もない。