西穂高岳



西穂高岳から眺めた奥穂高岳と前穂高岳(2004年11月7日撮影)

所在地岐阜県上宝村、長野県安曇村
西穂高口駅 アプローチ神岡町から車で40分、ロープウエイで30分
登山口標高2156m
標   高2908m
標高差単純752m 累積(+)800m 累積(−)50m
沿面距離片道3.9Km
登山日2004年11月7日
天 候快晴
同行者単独
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
西穂高口駅(1時間30分)西穂山荘(1時間30分)西穂独標(1時間30分)西穂高岳(1時間)西穂独標(1時間)西穂山荘(1時間)西穂高口駅 合計7時間30分
コースタイム西穂高口駅(40分)西穂山荘(35分)西穂独標(39分)西穂高岳<休憩38分>(39分)西穂独標(32分)西穂山荘<休憩32分>(40分)西穂高口駅 合計4時間55分<休憩1時間10分含む>


 この季節は山を選ぶのが難しい。高い山には中途半端に雪があり、低い山も今年は熊が怖くて人気のない山へは行きたくない。
 人の沢山いる山なら熊の心配ないだろうと、多少の(凍っているかもしれない)雪は我慢することにして西穂高岳を選んだ。


蒲田温泉から眺めた西穂、奥穂、涸沢岳
 

始発ロープウエイでの観光客
 
 ロープウエイの始発が8時半なので6時頃に家を出る。国道41号線から471号線はもう通い慣れた道だ。
 栃尾温泉を過ぎるとフロントガラスに西穂と奥穂、涸沢岳がシルエットとなって浮かび上がってくる。先ほどまで上空を覆っていた高積雲はきれいに消えていた。


冬支度の西穂山荘
 

西穂独標とピラミッド
 
 20名ほど登山者がいたロープウエイ乗り場に団体が入ってきていっぺんににぎやかになる。予定より早く8時過ぎに建物のドアが開いた。
 添乗員が上手に(?)立ち回って団体を先に並ばせ、後でゆっくり乗車券をまとめ買いしていた。お客様のためとはいえ、早くから並んでいた登山者達から見ると、ちょっと品のない行いのように写ったのですが...
 ロープウエイ往復なら鍋平から乗ればよかった事に気づくが、もう手遅れだ。第一ロープウエイでは一回待たされたが第二ロープウエイではその団体といっしょの始発便だった。


独標標識と笠ヶ岳
 

独標の西穂側についた雪が嫌だった
 
 8時45分、西穂高口駅を出発する。気温は低く、凍っているところも多い。小さなアップダウンを繰り返し、尾根筋を登ると最後は西穂山荘への右トラバースになる。
 9時25分、西穂山荘に到着する。表には誰もいなくてひっそりとしている。そのまま丸い石のゴーロ帯を登り、丸山へと出た。
 気温が低いのでほとんど汗はかかない。西穂山荘に泊まったと思われる人達が数組独標を目指している。独標の上にも沢山の人影が見えた。


ピラミッドから西穂を望む
 

西穂高岳の標識
 
 ガレ場を登り切れば独標は目の前だ。10時0分、ストックをたたむまでもなく一気に上り詰める。
 「写真を撮ってあげましょうか?」という親切な申し出を丁重に断って、ピラミッドを目指す。
 独標の北側の岩壁には雪がついていたので慎重に降る。雪は北側(飛騨側)に多くついているようだ。
 この区間には10個近くのピークがあり、ピークを踏まない登山道はすべて飛騨側を巻いている。だから、どうしても雪の多い所を歩くことになる。


左から南岳、涸沢岳、奥穂高岳
 

岐阜から来た安宅君
 
 西穂直下で時計を見ると10時32分だった。勢い、タイムアタックに切り替わる。ここまで来たら2時間を切ってしまいたい。最後に性格の悪さが出てしまった。
 10時39分、西穂高岳頂上に立つ。西穂高口駅から1時間54分だった。頂上にはご夫婦の方が二組いたが帰り支度をしているところだった。
 ここでも「写真を撮ってあげましょうか?」と言われる。断るのに苦労したが人に見せる訳でもないので気持ちよく撮ってもらえばよかったと反省。


独立峰「乗鞍岳」と右に「焼岳」手前はピラミッドと独標
 
 一人になって山々を眺める。目の前には南アルプスや八ヶ岳、その間に富士山が見える。360度の景観はもう見慣れた風景とは言え、何度見ても飽きない。
 サラミソーセージをつまみにウイスキーのポケット瓶でしばらくは時間を忘れてしまう。
 岐阜から来たという若者が上がって来る。安宅君と名乗った。冬はバックカントリースキーでよく山に行っているらしい。
 10時39分、頂上を後にする。時間を忘れていたので飲み過ぎたのか、気持ちが悪くなってくる。吐き気までするようになった(^_^;)


飛騨側に雪の残っているところが多かった
 

降りで間違えて行ってしまったピーク
 
 降る途中でコースを間違え、針の先のようなピークに出てしまった。他の人も間違えているようで、雪に踏み跡がたくさん残っていた。
 ピーク手前で左側の尾根に鎖が張ってあるのが見えたので、変だと気づいたが、注意を要する場所だ。
 降りは登りよりも滑りやすいので慎重に歩を進める。11時56分、登りと同じ39分をかけて独標に戻った。
 気持ちが悪くて休みたかったのだが登山者でいっぱいだったので、そのまま通過する。


西穂山荘食堂
 

西穂ラーメン(800円)
 
 独標を降ってしまえばもう危険なところはなく、吐き気だけを我慢しながら歩いた。途中に「行けるところまで...」みたいな登山者が何組か停留している。
 ここまで来たのならせめて独標まで行けばいいのにと思ってしまう。もちろん、余計なお世話なのだが...
 12時28分、西穂山荘に戻り、ラーメンを注文する。何か食べれば少しは楽になるかもしれない。つい、缶ビールも頼んでしまう。習慣とは恐ろしい(^_^;)


新穂高温泉への分岐点に初めて気づいた
 

屋上には相変わらず観光客が多かった
 
 13時0分、西穂山荘を後にする。樹林帯の中はまだ凍っているところもあり、注意しながら降る。途中にあった新穂高温泉への分岐点は、今回初めて気づいた。
 13時40分、西穂高口駅に到着する。ここも登りと同じ40分もかかってしまった。西穂高口駅の屋上は相変わらず観光客で賑わっている。
 穂高連峰を眺めて歓声を上げている観光客の中の何人が自分も登ってみたいと思い、登山を始めるのだろうか? ちょっと興味のあるところだ。


傾いた西日を浴びるロープウエイ山麓駅
 

バスターミナルに村営の無料のお風呂が...
 
 ロープウエイを乗り継ぎ、新穂高温泉に降りる。バスターミナルのトイレの横にある建物をよく見るとお風呂だった。中を覗いてみると無料と書いてある。
 簡単に汗を流し、着替えるだけなら十分な施設で、村営とはいえありがたいサービスだ。お湯に浸かっただけだったが気持ちがよかった。
 次回からはリュックに小さな石けんを入れて行く事にしよう。


穂高の帰りには必ず立ち寄るウインディー
 

ウインディー常連の彼女たち
 
 時間に余裕があったので、双六峡谷出合近くから高原川を渡り、上宝村を訪ねてみた。河岸段丘を登ると目の前に広がったのは家並みが続く広い平原だった。
 役場や学校もあり、下から見ていては分からない隠れ里のようなところだった。

 いつものように喫茶「ウインディー」に寄ってコーヒーで疲れをいやす。そういえば広い店内にいるのはいつも一人だ。落ち着けるお店だと思ったのはそのせいだったのだろうか?