仁王山・白木峰



標高1500m、白木峰山荘近くのクレパス(2004年2月21日撮影)

標 高1596m
所在地婦負郡八尾町 岐阜県宮川村
庵谷登山口 アプローチ八尾町から大長谷杉ケ平から21世紀の森への林道入口
所要時間八尾町から50分
標高差単純1,040m 累積1,350m(帰りの仁王山への150mを加算)
沿面距離片道4800m
登山日2004年2月21日
天 候晴れ
同行者単独
コースタイム杉ケ平入口(2時間)仁王山<休憩8分>(52分)白木峰(52分)<休憩40分>仁王山(48分)杉ヶ平入口   合計6時間18分<休憩46分含む>


国道472号線にある1台しか停められない空き地
 

フィールドアスレチックも雪の中
 
 先週、風のために途中敗退した白木峰へ再度挑戦する。大人げないと言われようが性格だからしょうがない。7時過ぎに家を出て大長谷に向かう。杉ヶ平への入口に車を1台だけ停められる場所がある。幸い今日も誰も来ていない。
 先週よりは雪が締まったような気がする。身支度を終え、8時2分、555m地点から登山開始。林道をパスしてフィールドアスレチックのある場所へ直登する。最後の平らな場所への壁の雪が切れていて苦労した。雪に埋もれたフィールドアスレチック場には寂しさが漂う。


子供の時以来ほぼ40年ぶりに見た野ウサギ
 

出がけは風が強く、先週の二の舞かと思った
 
 斜面の取り付きにかんじきでのぼった跡があった。数日経っているようだがその跡を追ってみることにする。尾根を右に見ながら直登している。上空の木々がゴーっと鳴っていて先週の二の舞かと不安になる。
 突然木の根本から飛び出してきたものにびっくりした。真っ白な野ウサギだった。10m程先でこちらを窺っている。チャンスとばかり写真を数枚撮った。子供の頃は山でよく見かけたものだ。
 少し近づこうとした時、一気に逃げて行ってしまった。急斜面なのに、足跡の間隔が1m以上ある。野ウサギの跳躍力を改めて知らされた思いだった。


先週は風で雪煙が舞い上がっていた同じ場所
1100m地点

仁王山頂上近くの雪庇とクラストした急斜面
シールが効かず、坪足でけり込みながら登る

 かんじきの足跡はいつのまにか見失っていた。一つめの東屋を超え、尾根を辿ると二つめの東屋に出る。そこからは狭い尾根を歩く。腐った雪が重い。
 雪崩止めの柵を右手に急登を登り切ると広い尾根に出る。先週、風のために思うように歩けなくなった1100m地点だ。なんとか1200m地点まで登ったが危険を感じて引き返して来た。

 朝方の風も治まり、何の不安もなく、がんがん標高を稼ぐ。だが1400m近くの急斜面で手こずった。直登出来ない急斜面でジグを切ろうとするがガチガチのクラストにエッジが食い込まない。雪面との接点がシールのないエッジ部分だけなので後ろに滑ってしまう。ここで転倒したら右の谷に滑り落ちて行ってしまう。
 斜面の途中で慎重にスキーを脱ぎ、坪足で斜面に蹴り込みを入れてステップを切りながら登った。このクラストした急斜面は先週の風より怖かった。


仁王山頂上から見た白木峰 まだまだ遠い
 

白木峰への登りから振り返った仁王山
帰りに150mの登り返しがある(^_^;)

 その急斜面を登り切ってしばらく行ったところが仁王山の頂上(1516m)だった。10時2分、円い頂上に立つ。頂上の看板は少し北側に降りた木に打ち付けられていた。
 北西に見える牛岳は見なれない形をしている。その左に見える高峯がなかったらすぐには牛岳だと解らないだろう。
 東には左から剣岳、立山、薬師岳、北の俣岳、槍ヶ岳、穂高連峰と連なり、南には白木峰が見える。まだまだ遠い。
 素晴らしい景色に山の中間何人かに電話を入れる。中林などはまだ行く山を探しながら大日橋の上だと言っていた。


仁王山頂上から望む金剛堂山
その上に遠く白山が見える

右側に牛岳、左に高峯、見慣れない角度なので
一瞬とまどう

 テルモスに詰めてきた熱い紅茶が美味しい。小休止(8分)の後、南に進路を取り、白木峰を目指す。ここからは人の入った形跡が全くない。白木峰までの距離は麓から仁王山ままでの距離に若干劣るがそれなりにある。山スキーが目的の方には必要のないコースかもしれない。
 シールをつけたまま150mを滑り降りる。腐った雪が重くて滑りにくい。降りきった1400mのコルからは緩急織り交ぜた斜面が続く。
 新雪の中ではシールに雪がくっついてスキーが重くなる。湿雪の上を歩いてシールをぬらした後に粉雪の上を歩くとシールに雪が付くようだ。


クレパスの撮影で近づきすぎていきなり足下
に穴があき、落ちそうになった

白木峰山荘を左に巻きながら頂上を目指す
雪の上に出ているのは2階部分

 白木峰山荘近くの急登に出来たクレパスの写真を撮った後、うっかりその延長線上を横切ってしまい、踏み抜きそうになった。リュックを担ぎ、スキーをはいたまま落ちて身動きの取れないような格好で止まったら大変だ。
 そのクレパスのあるピークを越えると白木峰山荘の屋根が見えてきた。奥の稜線にちょこんと見えるのは頂上の看板だろう。山荘を左に巻いて頂上を目指す。


白木峰頂上 今回はすぐ見つかった
 

白木峰頂上から白木峰山荘と仁王山を見下ろす
仁王山左に牛岳、その左に高峯が見える

 11時2分、白木峰の頂上(1592m)に立つ。流石に頂上は風が強い。頂上の積雪は昨年の3月と同じくらいのようだ。石盤も一部出ていた。風が強いので雪庇の陰で得意の1人乾杯をする。
 穂高連峰の中でひときわ高く見えるのは奥穂か西穂か? 2月中に西穂を目指したかったが行けそうもない。来週は白馬乗鞍の予定が入っている。3月の始めに鍬崎山にも行きたい。山は逃げると言うから行けないかもしれない。


気温が高く、シャーベット状の湿雪
 

雪が重く、慎重に滑る
 
 38分の休憩後、11時40分、頂上を後にする。仁王山への登り返しがあるのでシールを付けたまま滑る。北斜面だったのでそれほど苦労せずに滑り降りることが出来た。
 1400mコルで平らな道を歩いているのに3回もビンディングがはずれた。滑っている時はそれなりに力がかかっているはずなのにはずれないのが変だ。腐った斜面にジグを切りながら、12時32分、仁王山を登り切る。
 気温が高いので斜面はシャーベット状の重い雪質で、快適な滑降とは言えなかったがシールをはがしたスキーはよく滑った。午前中のクラストした急斜面も雪がゆるんでいて危なげなく滑る事が出来た。
 下側にある東屋から右の谷に入ったのが間違いだった。左にトラバースしながらいくつかの谷を越えて尾根筋に戻ったが、急斜面の谷が雪崩れそうで怖かった。尾根と同じで谷も一つ間違えると、とんでもない所へ行ってしまうようだ。


大長谷交流センター
最近温泉が出たのはここだろうか?

大長谷交流センターの中にあったピアノ
大長谷とピアノ こういうミスマッチが大好きだ

 ウサギと出会った近くに新しい足跡があった。かんじきの足跡だったが途中でスキーの足跡に替わっていた。
 13時20分、車に戻る。戻ってみると30m程下流に車が停まっていて人がいた。先ほどの足跡の人だった。足跡があるので跡を追って見たとの事だった。頂上は何処かと聞かれたが、ここからは見えないし、その人が引き返した場所からでさえも見えない。頂上はもっとずーっと先だと答えるしかなかった。山スキーの話などして別れる。
 帰りに大長谷交流センターに寄ってみた。温泉が出たという話を聞いていたのでここに違いないと思って入ったのだが違っていた。中に置いてあったグランドピアノが場違いで可笑しい。だがこういうミスマッチが何故か大好きだ。