槍ヶ岳、南岳 |
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所在地 | 岐阜県上宝村、長野県安曇村 | |
新穂高温泉 | アプローチ | 神岡町から車で40分の新穂高温泉から |
登山口標高 | 1100m | |
標 高 | 3180m | |
標高差 | 単純2080m | |
沿面距離 | 往復約29Km | |
登山日 | 2004年10月16日 | |
天 候 | 晴 | |
同行者 | 単独 | |
参考コースタイム 山と高原地図(旺文社) | 新穂高温泉(2時間)白出沢出合(2時間30分)槍平(5時間)槍岳山荘(30分)槍ヶ岳頂上(30分)槍岳山荘(2時間30分)天狗原分岐(20分)南岳小屋(2時間45分)槍平(2時間)白出沢出合(1時間30分)新穂高温泉 合計19時間35分 | |
参考コースタイム YAMAP(株式会社ジオ) | 新穂高温泉(2時間)白出沢出合(2時間)槍平(4時間30分)槍岳山荘(30分)槍ヶ岳頂上(30分)槍岳山荘(2時間30分)天狗原分岐(30分)南岳小屋(2時間30分)槍平(1時間40分)白出沢出合(1時間30分)新穂高温泉 合計18時間10分 | |
コースタイム | 新穂高温泉(1時間5分)白出沢出合(1時間27分)槍平<休憩5分>(2時間28分)槍岳山荘<休憩10分>(10分)槍ヶ岳頂上<休憩32分>(6分)槍岳山荘<休憩27分>(1時間23分)天狗原分岐(19分)南岳小屋<展望8分>(1時間30分)槍平(58分)白出沢出合(47分)新穂高温泉 合計11時間30分<休憩1時間12分含む> |
3時半にセットした目覚ましの時間はよかったのだが時計自体がてんぷらだった。4時半に目が覚め、大急ぎで準備をして4時45分に家を出る。ひげを剃っている暇もなかった。 コンビニに寄り、通い慣れた道を新穂高温泉へと向かう。空にはもう冬の星座であるオリオン座が見えていた。 深山荘近くの無料駐車場に車を停めた時にはもうすっかり明るくなっていた。 |
巻雲−かぎ状雲?(6時30分新穂高出発) |
朝日を浴びる大木場ノ辻を振り返る |
新穂高温泉6時半スタートはやや不安が残った。その不安が足を速めようとするが長丁場なので押さえながら歩く。 近道を利用して7時35分、白出沢出合に着く。時間が遅いのか、もうシーズンオフなのか、登山者が少ない。3組4人に出会っただけだった。 青空の巻雲−かぎ状雲(多分)が好天気を予感させてくれる。歩き慣れた道は面白味に欠けて退屈だ。ひたすら歩く。 |
槍平小屋は閉館中(9時2分) |
旧館はきれいに取り壊されていた |
9時2分、槍平に出る。槍平山荘はもう営業を終了していた。奥丸山に登った9月11日に取り壊し中だった旧館はきれいに壊されていた。 ここでいっしょになった群馬から来たという方は南岳新道から槍を目指すという。小休止後先を急ぐ。 (後日、この方からメールをいただきました。群馬の山岸さんです) 道はやや傾斜を増すがまだ山登りと言う感じではない。左に見える奥丸山が徐々に低く見えてきて尾根沿いの登山道が見え出す。下山路に使ってみたいと思った。 |
千丈乗越への分岐点(10時21分) |
槍ヶ岳山荘(11時30分到着) |
10時21分、千丈沢乗越への分岐点に到着する。ここから傾斜は強くなるが、午前中には槍ヶ岳山荘に着けそうだ。 巻雲なのか巻積雲なのかはよく分からないが、見るたびにその形を変えているのが面白い。雲の流れが速く、上空の西風は強いようだ。 飛騨乗越への最後のガレ場にはあちここちに雪が残っていた。雪は昨年の11月8日より多いようだが昨年は少なすぎたのだ。 |
槍ヶ岳山荘のフロント |
槍ヶ岳頂上へのはしご |
飛騨乗越に到着する。西側の展望が開け、南アルプス、富士山、八ヶ岳、浅間山と連なり、手前に見える常念岳の存在感が素晴らしい。 そのまま休まず槍ヶ岳山荘を目指す。ジグザグの道を何回か折り返すとテン場に出、テン場を過ぎると槍ヶ岳山荘だ。 11時30分、槍ヶ岳山荘に到着する。山荘前に登山者(後日分かったのだが朝日町のマコトさん)が一人いた。 朝早くに朝日町を出て来たそうで「八尾は近くていいね」と羨んでいた。金剛杖のようなものを持っていたが熊と戦うためのものだったらしい。(これも後日解ったこと) |
槍ヶ岳から見る穂高連峰と焼岳、乗鞍岳 |
巻積雲−波状雲? |
10分の休憩後、頂上を目指す。昨年と違い、風がないのでゆっくり登っても10分ほどで頂上についてしまう。11時50分 立山、白山、御嶽山、富士山と四霊山がすべて見渡せた。同時に眺めてみると立山だけが独立峰とは言えない事に気づく。独立峰でもないのに三霊山、四霊山と崇められるのは、よほどの魅力があったからなんだろう。 槍ヶ岳山荘の売店で買ってきた缶ビールで乾杯! イワヒバリがおそれる風もなく周りをうろついていた。 |
槍ヶ岳山荘のラーメン(1000円) |
インスタントラーメン(200円)カップ持込(150円) |
北鎌尾根から登ってきたときは頂上へ直登するはずだ。何処から上がるのだろうとのぞき込んでみるがよく解らなかった。 登山者が続々と上がってきて写真を頼まれ、話し込んでいるうちに30分が過ぎてしまった。12時22分、頂上を後にする。 12時28分、槍ヶ岳山荘に戻っていつものようにラーメンを注文する。ついでに自販機で缶ビールをもう1本調達し、2度目の乾杯! |
槍ヶ岳山荘前より(12時55分出発) |
中岳への登りは急で最後ははしご場となる |
ラーメンを出してくれたお嬢さんに南岳経由での下山を尋ねると「お勧め出来ません」との返事だった。お勧め出来ないと言う事はだめだと言っている訳ではない。行けそうな気がする。 地図を見てしまったらきっとためらってしまう。自分の感を信じて南岳経由で帰ることにする。前回の南岳がガスで何も見えなかったせいもある。 12時55分、槍ヶ岳山荘を後にした。13時、飛騨乗越で一瞬迷うが前方に人がいるのでついフラフラと大喰岳に向かってしまった。 |
中岳よりより槍ヶ岳、大喰岳を振り返る |
分岐点より天狗原を見下ろす 右奥に常念 |
前方の登山者は不思議な雰囲気で腰にウインドブレーカーを巻いただけで何も持っていない。年寄りのような歩き方なのになかなか追いつけない。 もっとも、2本の缶ビールが効いていて足が思うように出ないこともあった。近づきかけてもちょっと陰に隠れた後に見るとさらに遠くの方に行ってしまっている。 そんなことが数回続き、「沢野ひとし」さんの「休息の山」に出てきた、荷物を持たない靴ひもの解けた女性が北穂から涸沢への道中で現れたり消えたりした話を思い出した。あれは滝谷で死んだ女性の幽霊だった。 まさかと思いながらも怖かった。その登山者は中岳の頂上に着いてみると何処にもいなかった(^_^;) |
涸沢をはさんでの屏風岩 |
南岳小屋と前穂、北穂、奥穂、ジャンダルム |
だったら、怖かったのだが実際は頂上にいた。遠目と違って若者で今夜は槍ヶ岳山荘泊まりだという。時間が余ったので中岳まで来てみたそうだ。 時間は1時半に近く、日没まで4時間ほどしかない。中岳から新穂高温泉までコースタイムはおおよそ8時間だ。改めて無謀だったことに気づく。 ヘッドランプが故障していて(五龍岳でゴムバンドの留め具をなくした)持ってきていないのが気になる。 白出沢の林道まで出れば月明かりでなんとかなると考えていたのも2日前が日食だったことを思い出す。ほとんど新月に近く、星明かりしか期待できない。それも曇ったら真っ暗だ。 かなりのプレッシャーでちょっと頭がクラクラした。 |
大キレット展望台と北穂高岳 |
大キレット展望台から見た北穂高岳 |
中岳を降ったところで槍平で別れた人と再び出会った。道の状況を聞くと結構雪が残っているそうだ。足跡を付けてきたから大丈夫だろうとの事。
14時18分、天狗原への分岐点に出る。真下に天狗原とその向こうに屏風岩が見えた。景色を楽しんでいる暇はなく南岳を目指す。 14時37分、南岳山荘までたどり着く。時間が何であれ、ここからの北岳の展望は逃せない。小屋を通り過ぎて展望台に立つ。 大キレットをはさんでの北岳は圧倒的だった。左肩に前穂とその北尾根、右肩に奥穂と涸沢岳、ちょこんと見えるのはジャンダルムのようだ。 去りがたく、8分程、時間を忘れてしまう。 |
南岳新道からの北穂高岳 |
南岳新道からの北穂高岳、涸沢岳、ジャン |
14時45分、南岳山荘を後にする。残された時間は約3時間。所々に残っている足跡を拾いながら歩く。 雪道で登山道を少しでもはずすと踏み込まれていないので浮き石などが多く、かなり危ない。穴に足を突っ込んだりもする。 尾根を降った後は丸太で作った橋を渡って南岳沢のほうへトラバース気味に降り、広い沢をジグザグに降る。。 100m程降った後は又、左の方向にトラバースして尾根に出る。尾根の上には木道があり、200m程続いている。そこからは一気に標高を下げる。標識には「この先、ムチャクチャ急な下りがつづきます。あわてずにゆっくり行こう」とあった。 |
南岳新道から見た飛騨沢と大木場の辻 |
南岳新道トラバースの岩場は雪が積もっていた |
樹林帯に入り少しほっとするが今度は夕方の熊が怖い。声を出しながら歩く。歌を歌うのは意外に息が上がって辛い事が解った。 適当な言葉が見つからず最後は「気合いだー」「ハッスル、ハッスル」を繰り返す。「ファイトーいっぱーつ」も出る。ボキャブラリーの貧困さにあきれたり情けなくなったりした。 急降の近道の分岐を通り、南岳沢を渡り、16時15分、槍平に到着する。ペットボトルに水を補充してすぐ飛騨沢を降る。 石畳は一つ置きに飛び越し、足場のいいところは走る。滝谷で夕日に輝く紅葉とガスの中に光る青白い北岳の雪交じりの岩壁のコントラストがきれいだったが落ち着いて写真を撮っている暇がなかった。 |
日没に向かって飛騨沢をひた走る |
紅葉の滝谷とバックの雲間に新雪の滝谷岩壁 |
17時を過ぎて樹林帯の中はいよいよ暗くなってくる。17時11分、白出沢に出てほっとする。沢を渡り林道に駆け上がる。 ガスがかかっていては星明かりも期待できない。17時13分、リュックのベルトを締め直し、ストックをバトンのように持ち直し、新穂高温泉を目指して、走った。 真っ暗になったら走りたくても走れない。道が見えている間は走ろうと思った。穂高平小屋に明かりが灯いていて人がいる。とりあえずほっとする。最後は新穂高温泉の明かりが見えて本当にほっとした。 18時00分有料駐車場のゲートに到着する。張ってある鎖が見えず、思いっきりぶつかってしまったのは最後のおまけだった(^_^;) 反省その1.スタートが遅れたのだからもっと慎重に細心の注意をはらって昼休みの時間 とか、コースの選定をしなければいけなかった。 反省その2.ヘッドランプは必需品です。飾りではありません。 いつもは持って歩いていたのにたまに持って行かないとこれです。 |