赤谷山



赤谷山頂上から剱岳を望む(2005年5月1日撮影)

所在地上市町、立山町、宇奈月町
  馬場島 アプローチ富山市より車で1時間10分
登山口標高760m
標   高2260m
標高差単純1510m 累積1530m
沿面距離登り6.9Km 降り6.9Km
登山日2005年5月1日
天 候晴後雨
同行者豊本
参考コースタイム
とやま山歩き(シーエーピー)
馬場島(1時間)ブナクラ谷取水口(3時間)ブナクラ峠(1時間30分)赤谷山(3時間)馬場島
参考コースタイム
富山県の山(山と渓谷社)
ブナクラ谷取水口(2時間30分)ブナクラ峠(2時間30分)赤谷山(2時間)ブナクラ峠(2時間)ブナクラ取水口
コースタイム馬場島(39分)ブナクラ谷取水口(3時間10分)稜線<休憩25分>(57分)赤谷山<休憩1時間48分>(1時間48分)ブナクラ谷取水口(32分)馬場島
 合計9時間19分<休憩2時間13分含む>

 豊本が金山へ行くとメールしてくる。連れて行ってくれと返信すると、今回はちょっと遠いので金剛堂山にしようと変更してくる。同じ県内の山なら猫又か赤谷はどうだろうと返すと、赤谷がいいと返ってくる。
 よく分からないが、他に選択肢がないような展開になってしまった。


馬場島へと車を走らせる
 

馬場島から白萩川への入口(豊本撮影)
 
 結局、6時に馬場島で待ち合わせる事になった。猫又か赤谷かはブナクラを登ってから決めればいい。だが豊本は期するところがあったようで赤谷と決めていた。
 4時半に家を出る。車道から眺める毛勝三山の上の朝焼けが天候の悪化を暗示している。
 6時ちょっと前、同時に馬場島に到着する。満車の駐車場の先に車を停め、身支度を終える。
 気温は高いが2000mを越える山なので万が一を考えてアイゼンとピッケルを持って行く事にする。(重いので持って行きたくなかったのだが...)


白萩川にかかる橋
 

ブナクラ谷から松尾平と遠くに中山を望む
 
 6時11分、白萩川への林道に入る。まだ除雪されていない林道に残る足跡は意外に少ない。昨年は足跡がいっぱいあり、何組も白萩川を登っていったのを見送った。
 白萩川とブナクラ谷の分岐点に5人パーティーがいた。その広島からのパーティーはコースを決めかねているようだった。ガイドブックに赤谷山へは白萩川の取水口から赤谷尾根に取り付けと書いてあったと言っている。
 いつ頃のガイドブックか分からないが、ブナクラ谷に夏道があることが書いてなかったようだ。いっしょにブナクラ谷を登ることになった。


豊本さんと広島からの5人パーティー
 

この後、広島からのパーティーは赤谷尾根へ
 
 6時50分、頭の部分を覗かせているだけの鉄のハシゴを跨いでブナクラ谷の取水口を通過。小ブナクラ谷、大ブナクラ谷を左に見ながら雪渓を辿る。
 雪渓が谷に落ちているところは夏道を探して辿る。夏道もこの時期は藪こぎのような状態になっている。兼用靴の豊本は歩きにくそうだ。
 時々吹き下ろしてくる暖かい風が不気味だ。一昨年の連休にブナクラ谷の上部で大きな底雪崩が起きている。


壊れかけたスノーブリッジ
 

左にブナクラ峠、この小ピークの右の沢を登る
 
 この時期に雪渓を踏み抜く心配はないと思うが、崩れているところもあるので、慎重にコースを選んで歩く。
 見上げるブナクラ峠は遠いが、緩斜面の雪渓をひたすら歩き、標高を稼ぐ。豊本はスキー歩行に変えている。その方が荷が軽くなっていいようだ。
 赤谷尾根へ突き上げている雪渓があった。広島からのパーティーはここを辿るに違いないと直感した。はたしてその通りだった。


ブナクラ峠の右の沢は落石が沢山
 

遠くにコット谷と大熊山
 
 標高1450mあたりで沢が別れている。真っ直ぐがブナクラ峠で右の沢を行くと赤谷の稜線に出る。迷わず右にコースを選ぶ。富山県条例の禁止区内に少し踏み込むようだが誤差の範囲内と言うことで勘弁してもらいたい。
 雪渓上に多数の落石があるので、新たな落石に備えて上への注意を怠らないようにする。雪渓上を滑ってくる石は音がしないので視覚に頼るしかない。
 徐々に斜度がきつくなり、豊本もスキーを脱いでしまう。ブナクラ谷の遠くにスキーヤーが二人追いかけてくるのが見えた。


赤谷山の雪原の上に剱がその頭を徐々に...
 

赤谷山からの剱岳全景
 
 この雪渓を降っている足跡が2本になっていた。増えた足跡を注意してみると円くて小さい。そして指の跡がある。ちょっと見ただけでは人間の足跡と区別はつかなかったが熊の足跡だった。前日の足跡のようだが何処へ行ったのだろうか?
 10時、赤谷山への稜線に出た。煙る春霞の中に白馬岳から五竜岳までの後立山連峰が浮かび上がる。
 ここまで来れば頂上が近いように感じるが、実際は頂上まで、まだかなりある。ペース配分を間違えるとバテてしまうので気をつけよう。


剱岳をバックに
 

赤谷山より眺めた毛勝三山
 
 10時25分、赤谷へと向かう。必要ないと思ったが左下がりの斜面が続くのでアイゼンをつけた。
 話し声に振り返えってみると二人の若者が後ろにいた。ブナクラ峠の方から来たようだ。先ほど下に見えたスキーヤーだとしたら追い越されたくない。ピッチを上げる。
 途中から夏道を拾いながら頂上を目指す。ピッチを上げている分、体力の消耗も激しく、アルミのアイゼンも重く感じる。
 11時22分、頂上に立つ。赤谷頂上の稜線から剱が徐々に頭を持ち上げてくる感じが最高だ。後を追ってきた二人はブナクラ峠にテン泊していた若者だった。昨日は猫又で今日は赤谷とのこと。どおりで元気がいいはずだ。


「てんたかく」のハマ秀さん
 

豊本会心の滑り
 
 頂上から赤谷尾根を見下ろすと広島からのパーティーが見えた。沢を登り切ったなだらかな尾根の上で休憩している。
 双眼鏡を使うと池ノ平山や剣岳の頂上に登山者が見える。来年のGWにはあの仲間に入ってみたいと思った。
 小宴会後の13時10分、赤谷山を後にする。2時間近くもいたことになる。赤谷尾根を見下ろすと広島のパーティーは先ほどの場所でテントを張っていた。こちらから登れば頂上でテントを張れたのにと思ったが、もちろん余計なお世話である。


最後は又、藪こぎみたいな登山道
 

不思議な雰囲気を感じる馬場島(豊本撮影)
 
 途中で婦中町の砂子田から来たという二人の登山者と出会った。そこへ「てんたかく」のハマ秀さんが登ってくる。皆さんブナクラ峠でテン泊とのこと。後日、居酒屋「ブナクラ峠」が雨の営業となった、との報告をいただいた。出来れば参加したかった。
 稜線から豊本は気持ちよく滑っていく。遅れないよう足を滑らせながら追いかける。1200mあたりから雨が降り出した。
 14時58分、取水口を通過し、15時30分、馬場島に戻る。馬場島にはいつも独特の雰囲気がある。特に下山後にそれを強く感じる。不思議な場所だ。