キラズ山



1080mピークへの尾根からキラズ山を望む(2005年3月20日)

所在地上新川郡大山町、大沢野町、岐阜県飛騨市
舟渡登山口 アプローチ国道41号線猪谷で神通川を渡った東猪谷貯水池
登山口標高266m
標   高1188m
標高差単純922m 累積960m
沿面距離登り4.4Km 降り3.9Km
登山日2005年3月20日
天 候曇り
同行者富山トレッキングクラブ8名と中林
参考コースタイム
富山県の山(山と渓谷社)
舟渡(30分)林道出会い(30分)作業路入口(1時間)登山口(1時間)頂上(2時間20分)舟渡
コースタイム舟渡(45分)林道出会い(32分)作業路入口(1時間45分)1080mピーク(48分)頂上<休憩1時間12分>(2時間6分)舟渡


 2002年12月に3連敗した山だった。山の神と出かけ、坪足でモナカ雪に撃退された1回目。雪辱を果たそうと2日後に出かけたが時間切れで敗退。翌週仲間と3人(燒リ、中林)で攻めたが、ふもとからの新雪で敗退。
 それ以来、気になりながらも行く機会に恵まれない山だった。会社の同僚である田子が所属する山の会でキラズ山に行くという。話を聞いた瞬間に「連れて行ってくれ」と叫んでいた。恰好のリベンジチャンスだ。同じく敗退した中林も参加する事になった。


東猪谷舟渡にある貯水池(バックは大高山)
 

貯水池前の作業道入口(登山口)
 
 朝7時半、大沢野の役場に集合。田子の所属する山の会は「富山トレッキングクラブ」という名前だった。会長さんを含め8名で私と中林を含めると10名のパーティーとなる。
 車3台に分乗して、東猪谷の舟渡に向かう。舟渡の小さな取水口の前が作業道の入り口で、ここから取り付くようだ。


作業道を抜けて林道に出る
 

2回目の林道で沢を越え尾根に取り付く
 
 身支度を終え、8時10分、作業道に取り付く。スパッツを忘れた者や、かんじきを忘れた者などもいたが大所帯ではそんな事には構っていられないようだ。
 杉林の中をしばらく行くと踏み抜く事が多くなり、かんじきをはく。かんじきを忘れた田子は辛そうだった。
 45分ほどで林道に出る。小休止を入れ、その林道を横切って作業道に入る。以前、燒リ、中林と辿った作業道だ。
 二つめのヘアピンから沢に沿って林道に抜けた。林道で沢を渡り、30m程降ったところから尾根に取り付く。この尾根は1080mピークへ続くはずだ。


広い灌木帯の尾根は歩きやすかった
 

広い尾根も最後は細尾根になる
 
 爪の小さなスノーシューは急斜面に弱い。尾根の取り付きでアイゼンに履き替え、幅の広い灌木帯を快適に登る。
 栗の木の上にいくつもの熊棚があった。小さな木も全て折られていたのは昨年の餌不足のせいだろう。広かった尾根も徐々に細くなり、パーティーも縦に長くなりだす。
 標高870m付近の一番上部にある林道に出る。それを横切り1080mピークを目指す。下の方から「休憩」の声が聞こえるが尾根が近そうなので一気に登る。登り切ったところが1080mピークだった。
 敗退した前々回の撤退地点である。


栗の木はほとんど熊にやられていた
 

神通川の対岸に見える大高山と西新山
 
 ピークに立ってみると天候の割には視界が効いて立山連峰が望めた。北には小佐波御前山が独立峰のようにそびえ、双子山や大双嶺が意外と小さい。
 後続の5人が揃わないうちに動いてしまったのが失敗だった。この後、登山口に戻るまで全員が揃うことはなかった。
 なだらかに降った後、登っていくとピークが見える。意外と頂上は近いと思ったが偽の頂上だった。ピークに立ってみるとコルを隔てて急登の頂上が見え、がっかりする。
 頂上の左に見える真っ白な山は笠ヶ岳のようだ。乗鞍岳はキラズの陰になるようだが右肩に御嶽山も見える。携帯で後続隊からギブアップの連絡が入った。


ソンボ山の右下は宮川
 

北には双子山と大双嶺
 
 深そうに見えたコルも大したことがなく、50m降って、100m程の急登を一気に登り切る。12時だった。キラズは何処が頂上かわからないぼんやりとした山だった。大きな樹木も多く、夏は視界がよくないようだ。
 南方の池の山の手前に、少年時代を過ごした古里、大津山の廃村跡が見えた。この方角から見るのは初めてだった。しばらく四方の展望を楽しんだ後、風の弱いところを選んで昼食を取る。
 60代と思われる方が2人登ってきた。ここが一番風が弱いと言って近くで食事を始める。話を伺うと高志山の会の方だった。


最後のコルを降ってキラズの頂上へ
 

何処かはっきりしないがキラズの頂上
 
 13時12分、頂上を後にする。登り返しが嫌だという理由だけで西の尾根から降ることに決定。だが、密かにこちらの尾根からの登頂可能性を確かめるためにも降りてみたかった。
 初めはなだらかな斜面も尾根をはずれて北向きに降ると徐々に急になる。谷は浅いがデブリの急斜面となって歩きにくい。45度近くはあり、体感的には60度ほどにも感じた。
 デブリの途中で林道の一角が見えた。デブリを降りきってから杉林を横切って林道に出ることにする。このまま真っ直ぐ降っても道路に出そうだが、いくつかの沢を集めた谷は深そうで入る気がしなかった。


頂上で乾杯
 

西の尾根から降り始める
 
 杉林をトラバースして南へ延びている林道に出る。林道を北に向かい、朝方の作業道との交差する地点にたどり着いた。作業道を降って行くと、頂上にいたはずの高志山の会の人達に追いつく。登った道を辿っていたほうが早かったようだ。
 15時18分、登山口に戻る。1080mピークで引き返した5人は待ちくたびれていたようだ。「楽今日館」で風呂に入ってから帰るという彼らにお礼を言って別れた。
 石仏の里と言われる舟渡には本当に沢山の石仏がある。叔父の家が舟渡の反対側の外れにあり、子供の頃に遊びに来たときなど夜道が怖かった。そんな事をふと思い出した。


斜度45度ぐらいあったデブリの斜面
 

デブリを降った後の長いトラバース
 
 人の山の会の山行きに便乗して山に登るという安直な方法を知ってしまった。こんな山行きも、たまにはいいかもしれない。もちろん快く迎え入れてくれたらの話だが...
 それほど沢山の山の会を知っているわけでもないし、会則の厳しい山の会は会員以外の参加を認めていないかもしれない。チャンスはあまりないだろう。


登山口に帰り着く
 

東猪谷舟渡は石仏の里でもある
 
 今回は思わぬチャンスに恵まれてキラズ山に登ることが出来た。快く参加を許してくれた富山トレッキングクラブの方々にこの場を借りてお礼を言わせていただきます。「ありがとうございました」
 又、楽しい計画がありました連れて行ってください。