大滝山



林道から880mピークを望む(2005年3月5日 中林撮影)

所在地富山県南砺市上平村
猪谷登山口 アプローチ上平村村上家の前から庄川を渡り猪谷へ
登山口標高300m
標   高1498m
標高差単純1198m
沿面距離6Km
登山日2005年3月5日
天 候曇り時々雪
同行者豊本、中林
コースタイム登山口(39分)NHKアンテナ(1時間24分)880m地点<休憩時間不明>(2時間30分)登山口


 山をやめたのかと思っていた中林(以下敬称略)から誘われた山だった。忙しいと言っていた豊本(以下敬称略)にメールを出すとすぐに乗ってきた。やはり、皆、山が好きなのだ。
 庄川町(今は砺波市)の旧役場に6時集合の約束。朝4時半の目覚ましだったが、前夜の寝不足が祟って起きるのが辛かった。
 朝5時に家を出て国道359号線(音川線)を西に向かう。道路上には昨夜からの雪がつもっていてスピードが出せない。
 5時45分頃、薄明るくなった旧庄川町役場前に到着。いつもの事だが、豊本は既に待っていた。


最初に間違えた寺と神社
 

膝までのラッセルで急登を行く
 
 荷物を積み替えている間に中林も入ってくる。使うかどうか分からなかったが、スキーからスコップまで積み込んだ。
 豊本の慎重な運転で上平村に向かう。トンネルを抜けて上平村に入り、村上家を過ぎたところで左折して橋を渡る。
 ヘアピンカーブを曲がり、五箇山荘を過ぎた広場に車が3台停まっていた。登山者が身支度をしている。ここだとばかり車を停め、身支度を始める。すぐ近くに寺もあり疑うこともなく登山口だと信じていた。
 名古屋ナンバーの3台は人形山に向かうそうだ。同じ名古屋からだが二つのパーティーらしい。テン泊予定らしい。


小尾根に出てGPSで位置を確認。「あれっ?」
 

次の寺に移動するも「あれっ?」
 
 神社の横から取り付く。いきなり膝の急登ラッセルとなる。杉林の中は比較的雪がしまっているので右の杉林を辿りながら標高を稼ぐ。
 標高600mの小尾根に出たところで一息入れ、GPSで位置を確認する。小さなディスプレイに現れた北緯と東経を2万5千分の1の地図に移してみる。
 2万5千分の1の地図用の定規が変なところを指している。間違いだと思い、もう一度緯度と経度を読み取って合わせてみた。やはり変だ。経度で1分近く違う。磁石を見ると尾根も東に向かっている。
 登山口を間違えたようだ。人形山よりさらに北の尾根を東に向かって登っている。マルツンボリ山の方向だ。登ってきた2人に間違っていた事を告げる。精神的ダメージが大きかった。


3回目でやっと正しい寺から取り付く
 

途中にあるテレビの中継所
 
 急登のラッセル300mが無駄になった。あらためて登山口を探す。次に見つけた寺の横に車を停めて再びリュックを担ぐ。
 中林が地図を広げて再確認している。のぞき込んでみると何かが変だ。近くに庄川に架かっている橋があるのだが地図には載っていない。よく見ると途中で鋭角に曲がって分岐していた道路の先にも寺がある。そこが登山口だった。
 再度移動して3軒目の寺の前に車を停める。出発は9時7分になってしまった。口には出さないがこのころにはすでにあきらめムードが漂っていた。
 雪で視界も悪く、頂上にも立てないとなると登高意欲も湧かない。トレーニング登山だってそれなりに頂上というものがある。


アンテナ箇所から庄川と上平村を望む
 

林道をスキーで行く豊本さん(中林撮影)
 
 尾根を少し登ると右側からのトレースと合流した。誰かが登っているようだ。ストックの跡から判断すると二人のようだった。
 9時46分、NHKのアンテナに到着。ここからは上平村と庄川が見下ろせる。2回目に間違えた尾根は北北東尾根のようだ。西の方角にかすかに見える。
 樹林帯はさらにだらだらと続く。672mピークから少し降ってからは林道歩きとなる。先行している二人もこの水平道のような林道にはうんざりしたことだろう。
 右と左に別れている林道は左にコースを取り50m程で尾根に取り付く。ここからは小さな杉林で雪が積もった小枝がうるさい。先行者のトレースも右往左往している。
 登高意欲は失せていたが、知っている人が登っているかもしれないという思いだけで登っていた。会えなくても880mピークで引き返えす事にした。


880m地点で関本さんご夫妻と遭遇
 

宴会中の豊本さんと(関本さん撮影)
 
 急登の斜面がなだらかになり、腕の高度計も880mを指す。と、話し声が聞こえてくる。そこには先行する2人が休憩していた。
 会えてよかった。近づいて2人にお礼を言う。お会いしてすぐ関本さんかもしれないと思った。が、聞けなかった。
 知っている人たちが大滝山に登るというので来てみたとの事。「関本さんですか?池原です」と初対面の挨拶をする。メール交換はしていたがお会いするのは初めてだった。
 山サイトのメールで知り合った友人とは山で会えるのが一番いい。頂上には立てなかったがそれ以上に意義のある楽しい山行きとなった。1303mピークにも未練はあったが風を避けられる林道まで降りて小宴会を催すことにする。


豊本、池原、中林(関本さん撮影)
 

左から関本(M)、関本(T)、豊本、中林
 
 関本さんはネットで「T&Mの山歩き」を運営しているご夫妻である。いつも軽いフットワークで全国の山々に登られている。5月の連休には九州の山に行きたいとおっしゃっていた。
 関本さんオリジナルのコーヒー酒をいただいた。イメージとしては梅酒の梅をコーヒー豆に代えたようなものだ。大人の味だった。
 お2人とも町内の役員などを引き受けて今年は山行きのチャンスが減る事を心配されていた。

対岸に堂々とした姿を見せる高坪山(1003m)
 

五箇山といえば合掌造り(中林撮影)

 12時54分、林道分岐点を後にする。NHKのアンテナのある所から庄川の対岸に高坪山が大きく見え、その右側に反射板のある山が見えた。13時40分、登山口に戻る。
 最初に無駄にした300mの急登ラッセルがなかったら1303mピークまで届いたと思う。  1303mまで登ってしまえばあとは勢いだけで頂上まで行っていただろう。
 頂上に立てなかったのは残念だったが、友人と会えてよかった。山の輪がどんどん広がっていくのを感じる。