雑穀谷aフェース



雑穀谷aフェース(2005年5月22日撮影)

所在地富山県立山町芦峅寺
アプローチ桂台ゲートから称名滝の方へ600m程入って左の雑穀谷を500m程登る
講習日2005年5月22日
天 候曇り後雨
参加者舟杉、荒井、浜守、段、松本 ←年齢順(多分)


 行ってみたいと思っているルートの途中に岩場のあるコースがある。剱岳北方稜線や槍ヶ岳北鎌尾根などである。行けそうな気もするが行けるという根拠も自信もない。
 登れるだけ登って、それ以上登れなくなった時はもう降れなくなっている時でもある。遭難である。新聞の見出しは容易に想像できる。 後を絶たない無謀な中高年登山

 岩への興味は物心ついた頃からあった。岩壁を見ると無性に登りたくなるのである。少年というのはそういうものなのだろうと思っていた。
 だが、その想いは年を経ても変わらなかった。今でも岩壁を見るとまず、登れそうかどうかという目で見てしまう。

 高校2年の時だったと思う。茂住(神岡町)の高原川の河原で遊んでいた。夏休みだった。ふと見上げた岩壁が登れそうに思えた。
 どのくらいの高さだったかはよく覚えていない。河原から橋まで40mぐらいだったから、20mぐらいはあったのだろう。
 もう少しで登り終えると思った時だった。手に掴んだ岩が動いた。浮き石だった。手を離せば頭の上に落ちてくる。かといって押し返せるほど軽くもない。
 その後どうやって脱出したのか覚えていない。そんなことがあった事を思い出したのも岩登りを意識しだした最近の事である。


岩を前に緊張? ドキドキ? ワクワク?
 

講習用にロープをセットする荒井さん
 
 興味はあるが敷居が高い。それに年齢を考えると、ちょっと無理だと思ってしまう。スポーツ用品店でカラビナやザイルを眺めながらこれは別世界の物と言い聞かせてきた。
 そんな諦めにも似た心のバリヤーが赤谷山で出会ったハマ秀さんからの誘いで一気にぶち破られてしまう。「来年の連休には池ノ平山に立ちたい」の一言から、彼のおだてに乗せられてしまったのである。
 だが、きっかけがなかっただけなのだ。もう年だからなどと、うそぶいていたが、いつかはこうなると分かっていたような気がする。


左から松本、荒井、浜守、段、舟杉
 

bフェース、堰堤フェース、オラッチャロック
 
 当日集まったのは5月1日に赤谷山で出会った舟杉さん。同日、猫又に登っていた段さん、松本さん。昨年の連休に赤谷山、今年の1月に大辻山で会った荒井さん。そして仕掛け人の浜守さんだ。
 講師は荒井さんと浜守さん。後の4人は全くの素人である。ハーネスの付け方から始まって道具の使い方や各種ロープの結び方などを教わる。さらにエイト環へのザイルの通し方やATCの使い方、セカンドのビレイの仕方と2時間ほど講義が続いた。

 トップロープは張ってあったが、いきなり新人が登り、新人がビレイする展開になった。落ちても自己責任の世界だという。普通の講習会ではあり得ない事だろう。
 懸垂下降をする段になってエイト環のセットに自信がなかったのか「これでいいですかー?」と聞いてくる。だが、下から見える訳がない。「とにかく降りてこい」と言っている。
 絶対、他の講習会ではあり得ない光景だ。

 14時頃から雨が降り出し、撤収となる。エイト環がないときの懸垂下降、ハーネスがないときのスリングの代用方法、懸垂下降の途中から登り返す方法、荷物の上げ方など盛りだくさんの5時間だった。
 ハーネスをつけ、ギアを沢山ぶら下げながら岩に取り付いている姿はまだ想像できない。まだまだ時間がかかりそうだ。だがこれで北鎌がすこし近づいた
 こんな機会を作ってくれた荒井さん、浜守さんに感謝。