西穂独標



新穂高第2ロープウエイから笠ヶ岳を望む(2006年2月5日撮影)


所在地岐阜県高山市(旧上宝村)、長野県安曇村
西穂高口駅 アプローチ神岡町から車で40分、ロープウエイで30分
登山口標高2156m
標   高2701m
標高差単純545m 累積(+)635m 累積(−)108m
沿面距離片道3.5Km
登山日2006年2月5日
天 候曇り後晴れ
同行者山岸(高崎市)、長勢(魚津市)、岸(金沢市)
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
西穂高口駅(1時間30分)西穂山荘(1時間30分)西穂独標(1時間)西穂山荘(1時間)西穂高口駅 合計5時間
コースタイム西穂高口駅(1時間25分)西穂山荘<休憩5分>(1時間)西穂独標<休憩25分>(30分)西穂山荘<休憩1時間30分>(52 分)西穂高口駅 合計5時間45分<休憩2時間含む>


 厳冬期の穂高は山ヤにとって憧れの山域である。安易に取り付けない山ばかりだが唯一日帰りで手が届きそうな山がある。それが西穂高岳である。2月5日に予定を組んだ。
 一緒に行こうと言ってくれた仲間が何組かいた。だが、別の予定が入ったり、予定外の事故があったりで、残ったのはいっしょに北鎌へ行った4人だった。
 その中でも山岸は前日に八ヶ岳の硫黄岳に登っての連チャンである。夜に新穂高温泉に入り、宿に泊まっての参加。


ロープウエイ西穂高口駅が近づく
 

身支度を終え西穂駄口駅を出発
 
 8時に新穂高温泉の駐車場に集合する。ロープウエイ新穂高温泉駅横の駐車場は今年から一般車の駐車場となり、登山者の駐車場はバスターミナル下の広場となっていた。無料のアルペン浴場に入るのには都合がいい。
 8時半始発の第1ロープウエイに乗って鍋平へ、そして8時45分の第2ロープウエイで西穂高口駅に向かう。
 ゴンドラのガイドが登山装備をお持ちの方以外は園地から出ないようにとアナウンスしている。登山者の格好をしているのは我々4人だけ。


下山者第1号は福井の高原さん
上は天候が酷く登山を諦めたとのこと

途中にある小屋も雪で埋もれている
 

 冬期間、無料サービスの「播隆汁」をいただき、9時5分西穂高口駅を出発する。スノーシューの足跡があり、とりあえずつぼ足で様子をみる。
 足跡はすぐに消えていた。駅の人が様子を見に行った時の足跡のようだ。積雪はクルブシぐらいで雪質は軽いのでそのまま行く。
 上から女性が1人降りてくる。挨拶をしてよく見ると福井の高原さんだった。相変わらずの穂高参りのようだ。
 「正月は奥穂だった。今年は凍傷にならなかったんだけど、その後の山行きでやられて手の爪が落ちた。」...普通の会話ではない。


穂高連峰が姿を現す、この後カメラが動作不能
 

西穂山荘も雪の中(長勢撮影)
 
 その後も何組か降りてくる。高原さんを含めて全てのパーティーが天候が悪く、登山を諦めて降りてきたとの事。天候の回復を祈る。
 気温が低く、デジカメのバッテリーが機能しない。Fine Pixがだめになりバッテリーを交換してみたが動かない。レンズが飛び出たまま、かたまってしまった。
 ペンタックスのOptio WPを取り出したがこれもすぐに電池切れになり、バッテリーの交換後も動かなかった。


西穂山荘前で小休止(長勢撮影)
 

山荘を出発(長勢撮影)
 
 西穂山荘まで半分ぐらいのところでスノーシューを装着。ところが持ち込んだスノーシューは底がプラスチックで爪が小さいのでよく滑り、急登に弱い。斜面と雪質を選ぶ癖のあるスノーシューだ。
 10時30分、西穂山荘に到着。夏道の倍の時間を費やした。おまけに体力は3倍ほど使っている。
 山荘前で風を避けて一息入れる。テルモスに入れて持ってきた「午後の紅茶」が美味しい。750mlのテルモスなので水を5割り増しにして、砂糖も3gのスティックシュガーを2本入れる。暖め終わったものにウイスキーを入れて完成。(香り付けだけです)


独標手前の広尾根 遠くは丸山(長勢撮影)
 

独標で記念撮影の池原、岸、長勢(山岸撮影)
 
 山荘を出て最初の10mでスノーシューを脱ぎ捨てた。木の陰にデポして、つぼ足で皆を追いかける。予想通り稜線は風が強い。
 雪面が硬く広尾根の登りでアイゼンを装着する。前日、koujituで買ってきたワンタッチのもの。古いアイゼンは歯が丸くなっていて凍っているところでは怖い。
 新しいアルミのアイゼンの歯を減らさないように岩を避けながら歩いた。そのため、よけいに体力を使ってしまった。


西穂山荘に戻る 暖めたらカメラが復活
 

休憩料200円はやはり納得がいかない
 
 11時35分、独標の上に出る。ガスの切れ間にピラミッドピークが見え隠れし、西穂高岳の山頂も時々顔を出す。
 風が強く気温がマイナス20度というハンディーの中、時間と体力の限界に挑むような登山は危険だ。潔く西穂を諦める。
 独標の向こう側へ降りていった岸が、コルで雪庇を踏み抜きそうになり、慌てて帰ってきた。


西穂山荘の食事メニュー
 

西穂ラーメン800円
 
 12時ちょうど、独標を後にする。雪に隠れた岩はアイゼンが滑って怖い。慎重に降る。
 降りきったコルから小さなピークを右に巻いて広尾根に出る。この降りでうっかり方向を失い、右の支尾根に入ってしまった。ハイマツの多さに間違いに気づき左に戻った。広い尾根はガスっていると怖い。


山荘前に立つ、長勢、岸、山岸
 

同じく長勢、池原、岸(山岸撮影)
 
 西穂山荘に戻り、休憩をとる。200円の休憩料は納得がいかないので、入らないことが多いのだが今日特別である。
 自販機のビールで敗退の乾杯。長勢がリュックに入れていたビールは凍っていた。もちろんペットボトルの飲み物も同様である。
 持ち込んだ料理で小宴会。缶ビールだけでは申し訳ないので、おでんとラーメンを注文した。北鎌で話題に上った富山の昆布〆を山岸さんに初披露。


下山中、晴れてきた穂高連峰を眺める
 

ピラミッドピークと独標
 
 ゆっくり休憩を取って外に出てみるとガスが引いて青空が出ていた。笠ヶ岳も見えてくる。山荘内で暖めたカメラが復活。撮れなかった欲求不満が解放された反動で、やたらとシャッターを押してしまう。
 13時58分、西穂山荘を出発。帰路、西穂高岳やピラミッドピークが姿を現し、槍ヶ岳まで黒い頭を見せ出した。


西穂高口駅に到着
 

第2ロープウエイから眺める笠ヶ岳
 
 14時50分、西穂高口駅に戻り、15時のロープウエイに乗った。この季節だからなのか、この時間だからなのか、新穂高ロープウエイは活気がなかった。
 11月のアルペンルートも似たようなものである。怖いのは従業員のモチベーションが下がり、サービスが低下することである。


槍ヶ岳、大喰岳、中岳、ロープウエイ車中から
 

第2ロープウエイト鍋平
 
 このロープウエイのガイドさん達は軽量化を図っているわけでもないと思うのだが、だいたいが小柄な方が多い。環境を守るために植物を持ち帰らないようにとのアナウンスが可笑しい。この季節に植物など採ろうと思っても雪の下だ。夏バージョンのマニュアルしかないようだ。
 


第2ロープウエイのガイドさん達
 

小さな第1ロープウエイ
 
 新穂高温泉に戻り、アルプス浴場に入る。服を脱ぎ終わった瞬間、いきなりおばちゃんが入ってきて「もうすぐ終わりだからね」と言って、慌てて出て行った。
 「おーっとー!」(一言、声をかけてから入ってきて頂戴)
 熱い湯につかると冷えている部分とそうでない部分がよく分かる。石けんはなく、暖まるだけだ。無料なので文句は言えない。


新穂高温泉駅
 

バス停下の登山者専用駐車場
 
 フロントガラスに張り付いた氷を溶かすために、お湯を汲みに車にあったゴミ箱を空にして浴場に戻る。
 だが、浴場はすでに鍵がかかっていた。しょうがなく、対岸の飲み湯が出ているところに向かう。
 歩きながらお湯が沢山入るようにとゴミ箱のジャバラ状になっている胴体を引っ張った。
 なかなか延びない。力いっぱい引っ張った。ゴミ箱は真ん中で割れてしまった。これでは色は黒いが、ちょうちんおばけである。
 エンジンが暖まるまで待つしかなかった。

 鼻の先が妙に痛痒い。凍傷というほどではなく、しもやけのようなものだろう。帰りに久しぶりに「ウインディー」に寄ってコーヒーを飲む。いつも暖かく迎えてくれるおばさまとお姉さま。
 砂糖を入れたコーヒーが美味しい。なによりも、この日も1人なのが心地よい。


電源を入れ忘れ、樹林帯の直登あたりから電源を入れた。独標からの帰路、広い尾根で支尾根
に入りそうになり戻った。GPSで見ると西に向かってから戻っているのが分かる。広尾根は怖い。

後日談1. 「山岸さんと長勢君が顔を軽い凍傷でやられたらしい」という情報が入った。
後日談2. 金属の腕時計をしていたら、金属の部分だけ凍傷にやられて黒くなった。