洞山〜大谷ノ頭



広い大谷ノ頭から立山連峰をながめる(2006年3月25日撮影)

所在地富山市細入村・富山市八尾町
道の駅「林林」 アプローチ富山から41号線を南下して道の駅「林林」 
登山口標高230m
標   高洞山861m 大谷の頭961m
標高差単純730m 累積(+)835m 累積(−)835m
沿面距離登り2.9Km 降り4.5Km 合計7.4Km
登山日2006年3月25日
天 候快晴
同行者単独
コースタイム道の駅「林林」【片掛】(1時間48分)洞山【反射板】<休憩10分>(47分)大谷の頭<休憩55分>(1時間20分)猪谷【国道41号線】
合計5時間<休憩1時間5分含む>


 今冬の国道神岡線(41号線)登山を地図の上で眺めてみる。漆山岳で完結したと思っていたのに一カ所、抜けていた山があった。
カンナ尾山と大高山の間にそびえる洞山である。神岡線を走っていると北からも南からも反射板を目印によく目立つ山だ。
 一度は登っていた山だがもう3年も前になり、一連の流れには入れられない。雪が消えていて藪漕ぎになったとしても行かなければいけないと思った。


道の駅「林林」に駐車場所を借りる
 

田の雪を拾いながら行く
 
 国道41号線を南下する。窓から見える国道沿いの山には雪がない。この4日間でかなり消えたようだ。普通は庵谷から取り付くのだがもう一つ奥の片掛からの尾根を選ぶ。
 道の駅「林林」の駐車場を借りて身支度する。何処に行くのかと訪ねてくるおばさまがいた。山に興味のある方なんだろう。山の名前や標高まで聞いてくる。
 9時20分、駐車場を出る。道の駅のすぐ横にある41号線の高架橋を渡ると石川ナンバーの車が1台停まっていた。同じコースで洞山へ向かっているようだ。


雪が少なくて藪漕ぎや土手歩きを強いられる
 

神通川を挟んで左に池ノ山と右に漆山岳
 
 すぐに尾根に取り付かず、田に残っている雪を拾いながら行く。田の最上部から尾根に取り付いた。尾根は杉の植林帯になっている。
 標高410mで高圧線の鉄塔に出る。雪が少なく土手歩き、藪漕ぎが続く。先行者は尾根の南側を辿っているようだが北側を行く。


反射板の向こうに大谷の頭(961mピーク)
 

大谷の頭から降りてきた金沢の松田さん
 
 標高500mあたりから杉の植林帯を抜け、灌木林となる。右に見える谷は雪が多そうだが辿る気はしなかった。
 急登が続き、キックステップには気を遣った。こんなところで滑り落ちて灌木といえど、ぶつかりたくはない。
 11時8分、洞山の反射板の下に立つ。そこへ先行者が降りてきた。大谷の頭まで言ってきたという。
 しばらく話し込んだ。漆山岳や池ノ山も登りたいが何処から取り付いたらいいのか分からないと言う。PRも兼ねて自分のサイトを紹介した。


右の山が漆山岳 手前は大高山の尾根
 

大谷の頭への尾根から洞山を振り返る
 
 洞山は東西に300m程の長さを持った細長い頂上である。三角点は反射板の近くらしいが頂上はもっと先のほうにあるらしい。
 その尾根を縦走して、いったん30m程降り、大谷の頭(おおたにのあたま、961mピーク)まで上り詰める。12時5分、広いピークに立つ。
ピークは広いが一番高いところはなんとなく分かる。近くの木に青いビニール紐が残っていた。


大谷の頭への登り
 

大谷の頭から眺める西新山
 
 3年前に庵谷から登って西新山を往復している。帰りは大谷の頭から周遊して庵谷に降りた。今回は風邪のせいか体調が悪く、出発も遅かったのでここを最高点とした。
 灌木が多いので一カ所で全てを見ることは出来ない。広い尾根をぐるぐる回って展望を楽しむ。立山連峰から黒部五郎、笠ヶ岳、乗鞍と見渡せる。北の方向は意外にカンナ尾山が大きく見える。西の西新山、唐堀から南の大高山、漆山岳と続く。
 帰路の予定は大亦峠から猪谷川へ降って国道に出る未知のコースである。


左からカンナ尾山・大乗悟山・笹津山
 

 
 
 朝、地図がなかったので印刷しようとしたらインクが切れていて印刷できなかった。6色のうちの1色が切れていただけなのに印刷できないのは納得がいかない。
 地図を持たずに山に入るのは気が進まなかった。ましてや上山路も下山路も初めてのコースだ。仕方なくカシミールの画面を見てポイントだけは頭にたたき込んで来た(つもり)。


左から北ノ俣岳・黒部五郎岳・双六岳・弓折岳・抜戸岳・笠ヶ岳、手前左はキラズ山
 
 13時ちょうど、大谷の頭出発。大亦峠から猪谷川へ下るコースは3週間前に長勢が降りているところなので大きな危険はないはず。ただ、雪解けが進んでいるので猪谷川近くの状況が不安だった。
 3年前とほぼ同じコースで大亦谷へ降る。左の杉林が歩きやすそうだったがGPSの電波を拾うために灌木帯を降った。


大高山と左肩遠くに漆山岳
 

大谷の頭と西新山とを隔てる谷は深い
 
 この大亦谷は八尾町桐谷から猪谷に抜ける大事な間道だった。「越中の百山」によれば戦後、闇米がこの峠を通って飛騨に運ばれていたとある。
 戦後の食糧難の頃、私の両親も米を担いでこの峠を越えたと語っていた事を思い出す。


左の尾根は西新山からの尾根
 

大亦峠の杉林はよく手入れされていた
 
 峠からいきなり谷が切れ込んでいて下が見えない。知らない谷を降るのは岩井谷で懲りている。朝見た地図でも危険な感じがしていた。予定通り左の尾根を降る。
 この尾根も急で、何ヶ所も横に亀裂が入り、底雪崩の心配があった。(県内に雪崩注意報も出ていた)


この谷は危険な臭いがプンプンした
 

谷を避けて辿った左側の尾根は底なだれ寸前?
 
 降りきってなだらかな台地に降り立ち一安心する。だがその台地から猪谷川を覗くと100m近い絶壁になっていた。
 地図を持って来なかったことを後悔した。とりあえず猪谷川の左岸に杉林が続いているのでそこを辿ることにする。
 右岸は絶壁だが左岸はなだらかな台地が続いていた。危険はなかったのだが地図を持っていれば余計な心配も必要なかったのだった。


降りきった尾根を振り返る
 

猪谷川へは100m近い絶壁で降りられない
 
 八尾の商人が牛の背に荷物を積んでこの間道を通ったとあり、猪谷川の下流の平原に牛の放牧場があったとある。今は杉の植林地になっているが、なるほどと思わせるような広い台地があった。
 北と西は山に遮られ、南は猪谷川へと落ち込んでいる。東側さえ囲っておけば格好の放牧場だっただろう。
 だが、この急な斜面に牛が通れるほどの道がつけられていたとは驚きである。


川へ降りたくなるが降りると危ない 滝もある
 

この谷のすぐ下に林道があった
 
 最後は急な谷を10m程降り、林道に降り立った。そこは常虹の滝の「流しそうめん」をやっているお店の上だった。
 14時20分、林道を辿って国道に出る。国道の看板には道の駅まで1Kmとあり、歩いて20分だった。


JR高山線と国道神岡線(41号線)
 

降りてきたのは常虹の滝の入り口
 
 途中に「村界」と書かれた石柱が立っていた。富山市になっても必要なのだろうか?今は車社会で立ち寄って見る人もいない。気づく人さえいないだろう。
 自分自身、今までこの道を何百回も走っていたのに気づかなかった。ゆっくり歩くことで今まで見えなかったものが見えてくる。とは、どこかで聞いたような言葉だが妙に納得できた。


道の駅「林林」までの1Kmを歩く
 

41号線沿いに立っていた村界の石柱
 
後日談.これで国道神岡線にケジメがついたと思ったのだが、家に帰ってからソンボ山が気になりだした。この山は国道宮川線(360号線)とも解釈できるが、気になりだすと落ち着かない。


洞山までは初めての尾根を行く 大谷の頭から大亦峠へ降り、大亦峠からは左の尾根を降る
猪谷川へは降りずに左岸の杉林を慎重に降り、最後は林道に出て国道に降りる