細蔵山



細蔵山手前のピークからながめた剱岳(2006年3月18日撮影)

所在地上市町
伊折 アプローチ早月川伊折
登山口標高390m
標   高1551m
標高差単純1161m 累積(+)1260m 累積(−)100m
沿面距離片道7.4Km
登山日2006年3月18日
天 候晴れ後雨
同行者中林、三井
コースタイム 駐車場所(15分)尾根取付(55分)635mピーク(40分)835mピーク(30分)961mピーク(55分)木の根山(47分)1234mピーク(41分)1330mピーク<休憩10分>(1時間30分)細蔵山頂上<休憩1時間43分>(2時間15分)駐車場所
合計9時間55分<休憩2時間含む>


 中林に誘われて細蔵山に行くことになった。小松から三井も参加を申し込んできた。気になっていた山だったようだ。
 前日は飲んで帰ってそのまま寝てしまい、まったく準備をしていなかった。5時集合なのに4時に目が覚めて、慌てて荷物をまとめ家を出る。
 それでも待ち合わせの上市町役場へは5分遅れですんだ。


伊折手前の橋から早月川の右岸を行く
中央に剱岳、左側に細蔵山への尾根が見える

尾根の突端から取り付き、しばらくは藪漕ぎ
よく見ると細尾根には踏み跡があった

 もしも、剱岳の正面が早月尾根だという偏見を許してもらえるのなら、正面からの展望台の特等席は細蔵山だと思う。
 登山道がないので積雪期にしか行けない。距離もあり、標高差もあるので藪漕ぎになる直前の残雪期が最適期だ。


左側には大倉山と土倉山が見える
 

剱岳にかかるのは笠雲か? 天候の悪化が..
 
 伊折手前の橋を渡らず、林道の入り口に車を停める。5時55分、身支度を終えて出発。尾根の取り着きまで900mは硬い雪の上を歩く。
 尾根の取り着きからしばらくは雪のないところもあったが、登山道かと思えるほどしっかりした踏み跡があった。


早月尾根を真正面にとらえた剱岳
 

剱御前、奥大日、大日岳、左手前は中山
 
 雪質は硬いようで柔らかく半モナカ雪状態。持ち上げた体が落ちるのは2倍疲れる。700m付近でカンジキを履いた。
 長勢が土倉山に登っているはずと鍋増谷からの尾根を何回も振り返ったが誰も登っていない。やめたのか、山を変更したのだろう。


この尾根筋には大きな立山杉が何本かあった
 

この立山杉も幹廻り10m以上は確実だ
 
 右に奥大日岳、大日岳を見ながら歩く。距離があるので見え方の変化を楽しめるもこのコースならではである。
 大熊山が角度を変えていき、剱御前山の左右に別山と富士の折立が見えてくる。左側には大倉山から土倉山、そして大猫山と続く東芦見尾根が横たわっている。


細蔵山手前1330mピークでの三井と中林
 

細蔵山頂上よりこちらの方が見晴らしがいい
 
 尾根の取り着きが標高420m。緩急織り交ぜて645m、835m、961mと三つの小ピークがある。
 四つ目のピークが標高1134mの木ノ根山である。言われなければ分からないぐらいの普通のピークであった。このあたりの里山は中林が強い。


1330mピークからながめた細蔵山
 

雪庇の陰で風を避けながら昼食タイム
 
 この尾根の自然の杉は立山杉だろうと思う。幹廻り10m以上あると思われる木が何本もあった。
 木の根山の先から1234mピークまでの間で右にカーブして南に向かう場所がある。今まで左側に見えていた土倉山が大猫山に変わっていてびっくりした。局部的には90度ぐらい右に曲がっていたようだ。


旧福光町の鈴木さんが登頂
 

1330mピークへの登り返しが怖い
 
 1200mを越えると雪質が変わって新雪の場所が出てくる。これがやっかいで湿雪の後に新雪に入るとカンジキに雪が付く。重いがいちいち取っていられない。ほとんど修行の世界だった。
 1330mピークに出ると真正面が剱岳だった。灌木が邪魔で少しずつ北に移動していくと開けた絶好の展望台があった。


細蔵山から見た鍋増谷と遠くに早月川
 

細蔵山にも何カ所か広尾根はある
 
 ここから80m降って、300mの急斜面を登ると細蔵山である。そして、この300mが我慢の登りで3人とも無言だった。
 11時52分、細蔵山頂上に立つ。展望は1330mピークほどは広くない。それでも剱岳は真正面に見える。
 大きな雪庇の陰で昼食宴会に入る。宴会中にふらっと1人の登山者が現れた。話を伺うと旧福光町の鈴木さんといい、7時40分にスタートしたそうだ。トレースがあったとは言え、かなりの健脚だ。大猫山の話になると既に3回も登っているという、ベテランである。


細尾根を降る三井
 

細蔵山の名前の由来は尾根が細いから?
 
 13時35分、頂上を後にする。先に降りた鈴木さんはすでに1330mピークに達しようとしていた。
 踏み後があれば多少の登り返しは辛くない。1330mピークを越えひたすら降る。剱岳もガスの中に消えてしまった。
 朝、剱岳にかかっていた雲は悪天を知らせる笠雲だったのか、雨が降ってくる。


尾根の突端まで降りきった中林
 

振り返ると剱岳はガスの中に消えていた
 
 登りよりも降りの方が楽なはずなのに、これでもかと思うほどに遠い。何度か軽い休憩を入れながら15時37分、尾根を降りきった。
 900mの水平道を歩き15時50分、駐車場所に戻る。

 早月川を降り、最初に見つけた自販機でコーラを買っているとき目の前に車が停まった。びっこを引きながら出てきたのは土倉山に行っていたはずの長勢(真っ黒猫)だった。
 雨具のヒザの部分が裂けていた。「何処か落ちたのか?」と聞くと「熊に噛まれた」と言う。よく見ると血が付いている。大熊山に行き、熊に噛まれたそうだ。
 同じ黒色でも猫は熊には勝てなかったようだ。


細蔵山は細尾根を辿るのでコースを間違えることはない。途中大猫山の手前に見えるのが細蔵山。
 
反省. しっかりした準備もせずに慌てて家を出たのが失敗だった。歩き始めてすぐ喉がカラカラなのに気づく。2日酔いによる脱水症状だった。いつもは予備にもっている500mlのペットボトルも忘れている。下山中、口の中がネバネバになり、何度も雪を食べながら歩いた。