毛勝三山縦走 |
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所在地 | 魚津市、黒部市 | |
片貝川東又谷 〜南又谷 |
アプローチ | 片貝川左又谷の第四発電所の先 |
登山口標高 | 520m | |
標 高 | 毛勝山2414m 釜谷山2415m 猫又山2378m | |
下山口標高 | 675m | |
標高差 | 累積(+)2160m 累積(−)2016m | |
沿面距離 | 周遊18.6Km | |
登山日 | 2006年5月27日 | |
天 候 | 晴れ | |
同行者 | 山岸、中嶋、長勢、岩城、岸 | |
コースタイム |
成谷堰堤(1時間25分)最終堰堤(3時間40分)毛勝山<休憩27分>(48分)釜谷山<休憩1時間20分>(40分)猫又山<休憩15分>(15分)猫又谷コル(55分)林道(1時間)土倉橋 合計10時間45分<休憩2時間含む> |
毛勝から猫又へ。昨年2週続けて両山に登ったときから暖めていたコースだった。猫又から釜谷への往復、毛勝から釜谷への往復はよく聞く。だが縦走した話はあまり聞かない 毛勝の登りが4時間、縦走が2時間、猫又からの降りが3時間で、行動時間の合計が9時間なら十分可能なコースだと思う。問題があるとすれば車のデポだけだ。 |
片貝第四発電所の上流750mの広場に駐車 |
林道にはスノーブリッジのトンネルが出来ていた |
単独では車をデポ出来ないので、早くから仲間を誘っていた。何故か誰も行こうとは言ってくれない。そこへ急に手を挙げてくれたのが北鎌の5人だった。 今回は長勢の友人、岩城も参加。真っ黒猫のサイトでは「イヌ」と呼ばれている。本人が自分の事を「ネコ」と呼んでいるのだから悪い意味ではない。...と、思う。 魚津インターの駐車場で5時に待ち合わせる。高崎市の山岸は前日から富山入りしている。 スルスルと入ってきて横に止まった車から出てきたのが高岡の筏井さんだった。そこへ黒部の飯田さん(黒部のシュンちゃん)もやって来る。2人は猫又に登るという。 縦走に誘ってみたが、心の準備をする時間が足りなかったようだ。 |
片貝山荘横の発電所 |
僧ケ岳への登山道 |
魚津の長瀬と岩城、金沢の岸と中嶋が揃い、車4台で片貝川を上った。片貝川南又谷の土倉橋を渡ったところで車を2台デポする。第四発電所の少し手前である。 引き返し、東又へ入ると成谷堰堤の手前で通行止めに成っていた。予定外の1時間近い林道歩きを強いられることとなった。 6時5分、出発。残雪が多く大きな落石もあり、開通は遅れそうだ。何ヶ所かスノーブリッジの下をトンネルのように潜る。 |
最終堰堤は雪が多くゴーロも出ていない |
取り付きは狭い阿部木谷 |
7時30分、最終堰堤に到着。雪が多く堰堤上部のゴーロは見えない。小休止を入れ、毛勝谷に向かった。 このあたりは曲がりくねって、谷幅も狭く見通しが悪い。大きい白鷺が両翼を広げているかのような明るい猫又谷に比べ、邪悪なものが行く手を遮っているような、おどろおどろしいものを感じさせる谷だ。 |
阿部木谷は狭いので落石に注意が必要 |
毛勝谷にはいると雪渓は広くなる |
大明神沢の出合あたりから谷は広くなり、落石の心配も減ってほっとする。毛勝谷は左に曲がって見通しが効くようになる。遠く、正面に見える雪渓は三つ又の左のものだ。 この雪渓をたどると西北尾根に出る。だがこの雪渓をたどった話は聞かない。後方には魚津市や滑川市が、そしてその奥に富山湾が見えてくる。 持ち込んだワンタッチのアイゼンは靴に合わず、右足がすぐにはずれてしまう。しょうがないので左足だけの片足アイゼンで登った。もっとも今日の雪質ならアイゼンは必要なかったかもしれない。 |
振り返ると遠くに狭い谷が見えた |
みっつに別れた沢の真ん中を行く |
雪渓が三つに分かれた三つ又は真ん中の雪渓を選ぶ。ここから毛勝谷のコルまで、ほぼ一直線だ。最後に右に抜けるボーサマ谷と真っ直ぐ行く本谷とに別れる。 本谷の斜度がきつい人はボーサマ谷を選ぶようだが、あまり変わらないと思う。気分的なものだろう。(ボーサマ谷は歩いたことがないので解らない) |
コル近くで右に別れるボーサマ谷 |
我々は毛勝山に近い本谷を行く |
岸、長勢がガンガン飛ばして見えなくなっていく。先行者がいると血が騒ぐらしい。その気持ちはよく解るのだが、体力が落ちていてついて行けない。 山岸も視界から消えていった。ひたすら我慢の登りを続ける。休憩を入れ、エネルギーを補給し、ようやく毛勝のコルに出た。 正面に雲をまとった五龍が見え、右に鹿島槍、そして爺からスバリへと続く。しばし見とれる。 |
遠くに僧ケ岳、北駒ケ岳、駒ヶ岳 |
本谷のコルは最後は短い藪漕ぎ |
頂上には先行した3人の他にEAS
の山歩きのEASさんがいた。当サイトや音楽と道楽人生巡礼などでいつも拝見させてもらっているが会うのは初めてである。 山の探求者の山タンさんもいたという。東谷を滑って登り返してくるらしい。彼とは初雪山でお会いしたことがあるが、とんでもない健脚の持ち主だ。 山ならではの出合が面白い。 |
左から山岸、岸、池原、長勢、岩城、中嶋 |
頂上でお会いしたEASさん(右)とその友人 |
11時37分、毛勝山を後にして釜谷山を目指す。体力は回復せず、6人の最後尾についた。小さなコルを二つ越えて小ピークに登る。このピークは毛勝山の南峰で本峰を北峰と呼んでいる。 この南峰は10m程の藪こぎだが、踏み跡がしっかりしている。又、ここは大明神からの尾根のピークともなっている。 南峰から110m降り、120mの登りとなる。登りの稜線は蛇のようにうねり左側(東側)が垂直に切れ落ちた雪庇となっている。 |
毛勝山の薬師如来像(?)と三角点 |
手前から釜谷山、猫又山、剱岳 |
12時25分、釜谷山頂上到着。三山の中の最高峰である。この山の頂上が一番狭かった。今日はどちらからも人が入っていない。缶ビールで乾杯! この山を縦走するには1本の500mlの缶ビールよりも小さな缶ビールが3本あった方がいい。それぞれの山で乾杯出来るからだ。 |
釜谷山への雪庇の廊下 |
釜谷山の標識 |
意外といけるのがウイスキーの雪割りだった。適度に薄められ、冷やされたウイスキーをザラメの雪といっしょに口に放り込む。ビールにはない甘さが喉に広がる。 登山中は絶対飲まない事にしていると言っていた山岸のリュックからウイスキーが出てきた。深く追求しないのが友情というものである。 |
釜谷山の記念撮影 セルフタイマーで山岸撮影 |
ささやかなおつまみ 6人でこれだけ |
13時45分、1時間20分の休憩後、釜谷山を後にして猫又山を目指す。160mの降りと120mの登りが待っている。 猫又と釜谷の間の雪渓を下って帰る人の気持ちが解った。解ったが猫又の頂上を踏まないと三山の縦走にはならない。のろのろと登った。 |
右奥が毛勝山で左手前が途中の小ピーク |
釜谷山と猫又山の間の最低コル |
猫又山頂上近くに左側が切れ落ちた岩場で右側がハイマツの藪になっている細尾根がある。急なハイマツの藪を漕ぐと踏み跡があり、見た目ほどではなかった。 14時25分、猫又山の頂上に出る。入れ替わりに筏井さんと飯田さんが降りていった。 |
猫又山の手前に岩とハイマツの細尾根がある |
この岩の左側に踏み跡があった(猫又側から) |
楽しみにしていた剱岳の展望はガスがかかっていて見えなかった。軽く休憩をとり14時20分、猫又山を後にする。 左の尾根をたどるとブナグラ谷へ行ってしまう。右側の青森トドマツやハイマツ、ササを見ながら降る。 長勢1人が藪を漕いで稜線をたどったが、雪の多いときは稜線を離れて巻いてもコルへ出ることが出来る。GPSの軌跡でややふくらんでいるのがそれである。 |
猫又山の標識は片足がとれて倒れていた |
猫又谷を降る 遠くは大倉山 |
片足アイゼンはバランスが悪いので釜谷からは両足ともつぼ足にしている。猫又のコルから足スキーで降りた。凍っているところもあり、バランスを取るのがが難しかった。 アイゼンをはかずに足スキーをすると靴の底が減るのでやりたくなかったのだが、歩くのもかったるく、滑って降りた。 (新しい靴を買って2回目の山行きだった。靴は前と同じくガルモントのブレンタGTX) |
猫又谷を振り返る あくまでも真っ直ぐだ |
両翼を広げた鷺のような幻想的な猫又谷 |
猫又谷の美しさは昨年同様だった。緩やかに両翼を広げ、真っ直ぐに伸びた雪渓は他に類を見ない。 この谷を多くの人に見てもらいたいと思うのだが、インフラが悪すぎる。アプローチの道路は我慢出来るとしても駐車スペース足りない。 勝手に空き地や路肩に車を停められると事故の原因にもなりかねないし、奥に停めてあった大きな車が出られなくなる事もあり得る。 残念だが、猫又谷がメジャーデビューするには時期尚早のようだ。知る人ぞ知る、幻の大雪渓ということにしておこう。 |
真っ正面が降ってきた沢 |
下の方は雪渓が切れている |
両翼の広い猫又谷も下の方に降りてくるとデブリが出てくるようになった。林道終点近くでは雪渓が割れて川が見えるようになる。 15時50分、最初の堰堤に着く。その堰堤の下から工事用の道路を30mほど登ると林道に出る。イタドリやコゴミゼンマイを採りながら降った。 |
堰堤が見えてくる |
堰堤を越えたところから林道となる |
先行していた筏井さんと飯田さんが捻挫をしたらしい男性に付き添って歩いていた。その人は細蔵山で会った旧福光町の鈴木さんだった。 釜谷山を往復するつもりだったが途中で諦めたとのこと。多分あの岩のところだろう。 |
飯田さんと筏井さん |
片貝南又発電所 |
長い林道歩きを終え、16時50分、土倉橋に戻った。猫又谷の雪渓の降りが55分で林道歩きが1時間と言うのがもったいない。 もう少し時間をかけて、ゆっくり降りてくればよかった。と思ったのは数日後の事である。このメンバーと歩くとゆっくり出来ない。写真を1枚撮っているだけで50mは離され、追いつくのに200mほどかかる。 |
東又谷はもう少し奥まで車で入れると思っていたので、1時間ほど計画外の林道歩きとなった |
毛勝三山の縦走は毛勝谷から入って、猫又谷を降る方がいい。毛勝谷は谷幅も狭く急峻で落石の巣となっているからだ。 気温の低い午前中に毛勝谷を登り、午後から猫又谷を降った方が、程度の問題だとは思うが安心できるだろう。 |