前大日岳 |
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所在地 | 富山県立山町 | |
人津谷登山口 | アプローチ | 称名滝線を1Km程入ったところ(クムジュンの横) |
登山口標高 | 580m | |
標 高 | 1778m | |
標高差 | 単純1200m | |
沿面距離 | 片道6Km | |
登山日 | 2006年4月30日 | |
天 候 | 曇り | |
同行者 | 単独 | |
コースタイム |
七姫平(2時間15分)人津谷コル(2時間20分)前大日岳頂上(55分)人津谷コル<休憩40分>(1時間25分)七姫平 合計7時間35分<休憩40分含む> |
人津谷から大日へ。気になっていたコースである。毎年、春の連休に桂台から美女平への有料道路の監視に立っていて目にしていた人津谷。 昨年も下山してくる登山者を見て羨ましく思っていた事を思い出す。称名川の対岸に見える人津谷を眺めながら、明日はこの谷を辿ってみよう、と思った。 |
クムジュンの横から人津谷林道に入る |
火気厳禁のこの建物は火薬庫? |
軽食喫茶「クムジュン」の少し下流、七姫平に空き地を見つけ、車を停める。身支度を終え、8時20分、歩き出す。 谷に入ってすぐ火気厳禁の立て札と鉄条網に囲まれた建物が2棟あった。砂防堰堤工事用のダイナマイトでも入っているのだろうか? |
人津谷の下部は堰堤が連続して歩きにくい |
谷には近づかないようにしながら歩く |
谷は大きな堰堤が連続していて、スノーブリッジにいくつもの穴をあけている。近づかない方がよさそうだ。 右岸の林道をたどる。こちらも落石やブロック雪崩の跡があり、気持ちはよくない。左側から落ち込んでいる沢を二つ越えたところで、なだらかな杉の植林帯となった。 |
右岸の林道は落石やブロック雪崩が心配 |
谷は狭く歩けそうもないので林道をたどる |
幅が200m程もあろうかと思われる広い沢が真っ直ぐに伸びている。1980年代だったと思うが、住友不動産がここにスキー場を建設する計画があった。なるほどと思わせる斜面だ。 振り返ると、昨日、監視で立っていた桂台の有料道路が見える。有料道路の先、美女平の奥に立山山麓スキー場も見える。 |
左からの沢を二つ越えると広い谷となる |
振り返ると美女平と立山山麓スキー場が見えた |
左岸のどこかの雪渓を登れば近道なのだが、斜面が急で取り付く気がしない。古い足跡の中に所々、新しい足跡があるのが不思議だった。 コル手前で右にショートカット出来そうな沢を見つけるが、初めてのコースなので忠実に古いトレースをたどる。 |
人津谷のコルには文科省の小屋がある |
ポールが示している積雪は4m |
この沢を真っ直ぐに登り詰めるとコルより高い反対側の尾根に出てしまう。途中で右に逃げないと人津谷のコルへと出ない。 岩井谷から薬師峠に抜ける地形とよく似ている。沢を忠実にたどると薬師岳に向かってしまう。昨年はこれで失敗した。 |
大辻山が遠くに見える |
北には毛勝三山と手前に大熊山、コット谷のコル |
10時35分、コルに出てびっくりした。しっかりとした大きな小屋がある。そう言えば登山研修所の避難小屋がどこかこのあたりにあると言うような話を聞いたことがある。 これがそれらしい。小屋の手前に積雪を図る鉄のポールがあり、積雪4mを指していた。 |
コルの上で出会った上市峰窓会の林さん |
大日岳と早乙女岳、前大日岳を望む |
ここからコースを東に変え、急な尾根をたどることになる。その尾根から物音がした。カモシカかと思って見上げると、スキーをはいた人がいた。 何故かほっとする。休憩もそこそこに尾根にとりついた。50m程登った平坦地で追いついた。挨拶を交わす。 |
1566mピークを越えると弥陀ヶ原が見える |
早乙女から降りてきた上市峰窓会の4人と合流 |
上市峰窓会の林さんと名乗った。前日に小屋に泊まり、早乙女を目指している4人の中間を追っていると言う。降りてきた中間と合流出来る所まで登るらしい。 急登を登り切った1566mピーク手前からコースを北に変える。視界が開け、右に弥陀ヶ原高原と鍬崎山の裾が見えた。 尾根筋は右から強烈な風が吹いていた。林さんによれば、いつもそうらしい。 |
前大日岳から見た大辻山と1566mピーク |
前大日岳から見た大熊山と右に早乙女岳 |
腐った雪にスネまで足を潜らせながら歩く。カンジキが欲しいと思ったが、カンジキは白木峰のどこかに置いてきてしまっている。 (そのカンジキは旧福光町の石井さんがひろってくれて、その旨、メールをいただきました) ようやく視界に前大日岳を捕らえた時、そのピークに人影が一つ。「あれ、お友達じゃないんですか?」 「木だと思いますけど...」 と、その木が2本になり、3本になる。木だと思ったそれは早乙女から戻った峰窓会の4人だった。数分後には滑り降りてきて合流する。その5人と別れて前大日に向かった。 |
鍬崎山と手前に溶岩台地の上の小平 |
文科省の山小屋で上市峰窓会の方達と休憩 |
強風下では思考力が落ち、注意力が散漫になるようだ。景色を見る余裕もなく、考える事もしないでひたすら前大日を目指した。 12時55分、気がつくと前大日の頂上だった。右(南)に弥陀ヶ原、左(北)に大熊山と毛勝三山。正面には早乙女と大日岳が見える。 強風に休憩する気もおこらず、すぐに下山にかかる。腐った雪に一歩一歩スネまで潜った足を引き抜きながら降る。 降りなのにその一歩が辛く、強風下で思考力も飛び、気が遠くなりそうだった。さらに強風に飛ばされそうになり、何度もうずくまりながらこれはちょっとヤバイかもしれないと思ったりした。 |
きれいで快適な空間があった |
写っているのは2階部分(多分) |
1566mピークを越えてから風もおさまり、彷徨っていた正気が戻ってきた。だが体力は戻ってこない。 急降で今まで使ったことのないシリセードーを使う。フラフラになりながら歩いていた時、人の声が聞こえた。 すぐ近くで峰窓会の5人がモタモタしている。メンバーの中の1人の女性のスキーテクニックがネックになっていて遅れているようだった。 女性はいい。あれが男性だったらとっくに置いて行かれている。 |
クムジュン手前から眺める桂台有料道路 |
16時、駐車場所に戻る |
13時50分、文部科学省の小屋でいっしょになり、お茶に誘われて中に入る。中は広くてきれいだった。屋根の雪解け水で作った紅茶をいただく。 甘い紅茶に少しずつ戻ってくる体力を感じた。そう言えば今朝から何も食べていない。シャリバテだったのかもしれない。 強風下ではそんな事にも気づかないほど思考力が鈍る。シャリバテも思考力を鈍らせる原因だったのかもしれない。これからのいい教訓とする。 |
カレーとコーヒーが美味しいクムジュン |
登山の後は砂糖を入れたコーヒーが最高 |
14時30分、峰窓会の方々と別れて小屋を後にした。トレースをたどったり、新しいところを歩いたりと、好きなように人津谷を降る。 右岸の台地を安易に降りすぎて崖にぶち当たってしまった。古いトレースがあったのも災いしたようだ。 40m程の急な沢を降れば下に降りられそうだが、途中から先が見えない。先が見えない沢は怖い。近道の誘惑を振り払って、来た道を戻る。 林道を見つけ、慎重に降って車を停めている七姫平まで戻った。15時55分だった。 |
降りで安易に右岸を歩いていて崖に出てしまった もう少し手前で沢に降りないといけなかった |
クムジュンに戻り、コーヒーを飲みながら峰窓会の人達を待つ。クムジュンには中年で小太りだが可愛い女性がいた。そんなことだけで心が和むのは、つくづく男って... |