大洞山



大洞山への尾根から見た乗鞍岳と神岡の町(2006年3月4日撮影)

所在地飛騨市神岡町
登山口 アプローチ41号線神岡町手前
登山口標高380m
標   高1349m
標高差単純970m
沿面距離片道2.8Km
登山日2006年3月4日
天 候快晴
同行者単独
コースタイム 登山口(3時間31分)大洞山頂上<休憩55分>(1時間21分)登山口
合計5時間47分<休憩時間55分含む>


 何故か最近、神岡の方にばかり目が向いている。今回は41号線沿いの大洞山と漆山岳を狙ってみた。
 ネットで検索をかけると漆山岳は富山橋さんをはじめ、何人かが登っていた。それに比べて大洞山はまったくノーマークの山だ。雪の状態を見るまでもなく気持ちは決まった。


41号線沿いの空き地 奥の斜面から取り付く
 

取り着きは50〜55度程の凍った急斜面
 
 取り着きは北の割石温泉から南の梨ヶ根までの4カ所を検討していた。割石温泉は稜線歩きが遠い。梨ヶ根はまともな南斜面なので雪質が心配。
 吉ヶ原橋からのコースも冗長なので船津トンネル入り口近くの尾根を選ぶ。取り着きが急なのが心配だった。


高原川と41号線 遠く左側に漆山岳が見えた
 

標高500mの最初の鉄塔
 
 駐車場所が心配だったが、取り着き点すぐ近くに数台の車が停まった広場があった。(国道からは見えない) 線路に架かった橋の向こうに岡工業と書かれた建物が見える。ここは岡工業の私有地(資材置き場)らしい。大きい広場なのでちょっとだけ場所を借りた。


遠くに見えるのは三井金属栃洞鉱跡
 

標高600mのふたつ目の鉄塔と漆山岳
 
 8時27分、駐車場所から神岡鉄道の高架橋を渡り岡工業の建物の横から雪原に取り付く。
 いったん沢に降りて対岸の斜面に取り付く。この斜面がいきなりの急登でおまけに凍っていた。
 灌木やツルにつかまりながら腕の力で登る。蹴り込みを入れると意外にもろいモナカ雪でヒザまでもぐってしまい、高度が稼げない。


標高1000mあたりまで急登が続く
 

1000mを越えたあたりからブナが多くなる
 
 沢からの斜面を乗り切って尾根の杉林に出る。それでも急登に変わりはない。
 つま先やサイドのキックステップで高度を稼いで行く。尾根の左側(南側)はモナカ雪で右側(北側)がアイスバーン。コース取りが難しい。標高500mあたりで最初の高圧線鉄塔に出会う。


キノコか蜂の巣か不明
 

気持ちの良い樹林帯を行く
 
 標高600mでふたつ目の鉄塔を越える。標高800mあたりで杉の植林帯から楢や栃の樹林帯に変わった。高原川の下流(北側)には今日のもう一つの候補だった漆山岳が見える。ここから見ると漆山岳も大きい。
 対岸には三井金属の栃洞鉱山跡が見える。ここも大津山と同じく廃村になってしまった三井金属の社宅だけの集落だった。


どういう遺伝子がこんないたずらをするのか?
 

神岡の町が航空写真のように見える
 
 急登を続けたからだろう、神岡の町が航空写真のように見下ろせる。こんなに広い街だとは思わなかった。いつも見ていた街は、ほんの一部にすぎなかったのだろう。
 サイドを使ったキックステップは楽なのだが急登では使えない。急登ではつま先のキックステップに頼るしかない。(つま先で登るときは足首を90度に保つための力が必要だが、サイドステップでは何もしなくても足首は90度になっている)


左の槍ヶ岳から右の笠ヶ岳まで一昨日から昨日にかけての雪で真っ白だった
 
 杉の樹林帯を抜けたところで輪かんを履いた。これは失敗だった。アイスバーン状の所は輪かんの爪が効かない。
 池ノ山で覚えた輪かんの裏につま先を突き出したキックステップのテクニックを使った。これはなかなか使える。
 標高1000mから斜面がなだらかになった。そして楢、栃に代わってブナが多くなる。ここのブナも樹齢が揃っていた。不思議だ。


右には御岳も真っ白
 

頂上近くのブナの大木に変な標識があった
 
 一昨日から昨日にかけて降っていた雪がヒザ下ぐらいのラッセルになる。だが凍っている斜面のキックステップに比べれば楽だ。
 だいたい何回もけり込みを入れてやっとつま先が入るくらいのキックステップは疲れるだけではなく滑落が怖い。


はしゃぎ廻った広い頂上付近
 

スノーシューから輪かん派に転向?
 
 携帯に神岡の魔女から連絡が入る。先週、買えなかった「たから屋のとんちゃん(モツ)」の受け渡し場所のチェックだった。
 11時58分、何処が頂上か分からない広い頂上に立つ。同時に神岡の町からチャイムが聞こえてきた。12時のチャイムらしい。奥深い山でもないので許すことにする。


大洞山の裏の山は何処か分からなかった
 

登ってきた尾根を降る
 
 頂上はブナに囲まれていて視界はよくない。しばらく頂上付近を歩き回ったあと、ぼんやりと時間を過ごす。もちろん乾杯はとっくに済ませてある。
 晴れていても気温は低いようで、濡れていたカンジキに付いていた雪は氷になっていた。 12時53分、頂上を後にする。


今年は登るチャンスがないかもしれない漆山岳
 

栃洞高跡と右に二十五山
 
 雪が軽く下が硬いので帰りはつぼ足にする。足を滑らせながら降りる。思いがけなく滑りすぎてシリセードーも混じる。
 1000mから下は樹林帯で足スキーが出来るほど広くはない。おまけに急降である。ヒザを痛めないように気をつけながらカカト蹴り込みで降る。


降りは神岡鉄道の線路敷きに直接降りた
 

41号線に降りて神岡鉄道の鉄橋を振り返る
 
 最後は沢を渡らず、そのまま神岡鉄道の線路敷に降りた。トンネルを右に見ながら10m降って41号線に降り立った。
 14時14分、国道を少しだけ歩いて駐車場所に戻る。一段高くなっているので国道からは見えない。
 大洞山池原新道の穴場的駐車場だが私有地のようなので、ことわってから駐車した方がいいだろう。(今回は誰もいなかった)


41号線を少し北上する
 

空き地に戻る 取り付きはやっぱり急斜面だ
 
 このコースは近くて分かりやすいのだが最初の急登が大変だ。深雪の時はなかなか標高がかせげないだろう。
 神岡鉄道の神岡鉱山前駅から取り付くコースも頭をよぎったが、さらに急登なのであきらめた。今日のコースがベストだと思う。
 その神岡鉱山前駅の広場でトンチャンを受け取り、神岡の街を後にした。「しばらくは神岡の山を忘れよう」車を走らせながらそう思った。


赤色が上山時で青色が下山時のトレース ほとんど一緒だが最後は線路を横切って41に降りた