大高山



支尾根がいくつもあるのでトレースが消えると注意が必要(2006年2月11日撮影)

所在地富山市猪谷
猪谷登山口 アプローチ国道41号線猪谷
登山口標高245m
標   高1100m
標高差単純855m 累積(+)960m 累積(−)111m GPSより
沿面距離3.6Km GPSより
登山日2006年2月11日
天 候
同行者単独
コースタイム 猪谷登山口(3時間45分)大高山頂上<休憩45分>(1時間50分)猪谷登山口
合計6時間20分<休憩45分含む>


 登ろうと思ってから2年、チャンスを失っていた山だった。国道41号線を南下中、雨が降ってくる。引き返したくなるのを我慢して走る。幸い、猪谷に入った頃には雪に変わっていた。
 猪谷の外れで右に折り返してJR高山線の下を潜る。そのまま道なりに進み、お寺さんの駐車場に車を停めさせてもらう。


お寺の駐車場を借りる 後ろは墓と堰堤
 

大きな堰堤を右に見て杉林に突入
 
 前日、地図を眺めながら決めた登山口である。急登が少ないこと。迷いにくい明瞭な尾根筋を持っていること。出来るだけ最短距離であること。ちょっと矛盾する部分ももあるが総合的に考えてコースを選ぶ。
 「越中の百山」で橋本廣さんは蟹寺(かんでら)から登っていたようだが、自分のコース設定を信じた。


しばらくは杉林を行く
 

すぐに杉林を抜け、灌木帯に入る
 
 プラスチックのスノーシューには苦労させられっぱなしなのでカンジキにする。10時ちょうど、駐車場から一歩出ると膝まで潜った。ハードな山行きになりそうだ。
 雪の上に沢山出ていたのは墓石だった。墓地の中を歩くのはなんとなく気が引けて左側から巻く。
 右に見える堰堤は谷の規模にしては大きく、要塞のようだ。そこから杉林に入った。杉林の中は雪がしまっていて歩きやすい。


高圧線の鉄塔が最初の目印
 

さらに灌木帯を行く
 
 杉林はすぐに灌木林に代わり、右に沢を見ながらの尾根歩きとなる。雪はカンジキでスネからヒザあたりで歩き出した時ほど深くはない。だが、湿雪気味なのがちょっと辛い。
 傾斜が緩くなった小ピークに鉄塔が立っている。ここからしばらく杉林になる。杉林を抜けると左右からの尾根が合流してより明瞭な尾根になり、右に大きく曲がる。
 この細尾根はブナの大木があり、歩きにくいので右の沢に逃げた。沢が消え尾根となる。登り初めは南に向かっていた尾根もこのあたりでほぼ西の方向になっている。


頂上近くの風紋のついた尾根
 

広い場所だがこのテープのところを頂上とする
 
 右に見えていた大谷ノ頭(961mピーク)と洞山はガスの中に消えてしまった。対岸の山も裾を残してガスの中だ。雪は降ったりやんだり、横から吹き付けてきたりしている。
 気分的にも辛い時間帯だ。ようやくなだらかな888mの雪原に出る。左正面に頂上らしきものが見えた(本当の頂上はその先だった)。
 ここからいったん西北西の方向に行き、小さなコルから南南西に90度曲がる。急登を100m登るとなだらかな尾根に出る。ここで初めて本物の頂上が見えた。13時45分最後の50mを登り切って頂上に立つ。


こじんまりと1人宴会にはいる
 

頂上の西側も広い雪原になっている
 
 頂上は広く何処がピークかよく分からない。雪原にぽつんと立つ灌木に赤いテープが何本か巻いてあった。多分ここがピークなのだろう。西の方角もかなり広い。
 ヒザ前後、急登では腰近いラッセルだったが1人だったのでゆっくりペースを作り、登り切った。グループでの交代ラッセルの方が辛い場合もある事を知った。


下山を初めてしばらくするとキラズ山が見えた
 

左の谷が国道41号線(高原川)で右がソンボ谷 
 
 最近は「おでん」が多かったので今日は「もつ鍋」にしてみた。だが、次回は多分「おでん」に戻っているだろう。
 久しぶりの1人宴会はなんとなく寂しい。雪が横から吹き付けてくると尚更だ。14時30分、頂上を後にする。


遠くに池ノ山が見える
 

池ノ山の手前の白い斜面が私の育った大津山
 
 少し降ってからGPSのスイッチを入れていなかったことに気づき、頂上まで登り返す。スイッチを入れてあらためて頂上を出る。
 登山本来の自然な姿を歪められているような気がしないでもなかったが、GPS初心者としてはデーターは完璧であって欲しい。


細尾根や急登が入り交じった面白い山だ
 

左側に(北側)大谷の頭(961mピーク)と洞山
 
 頂上直下の急斜面を降っているときガスがひいて正面にキラズ山が見えてきた。右奥には池ノ山も見える。池ノ山の手前に見える尾根の白い斜面は中学生時代まで過ごした懐かしい大津山だ。
 今はもうあらかた建物も崩壊して、白い斜面だけがかつて人が生活していた痕跡を残している。あの急な斜面に300軒、1000人が住んでいた。学校や病院はもとより共同浴場が4カ所に映画館まであった。


対岸は左に小佐波御前山、右奥に二子山
 

自分で作った大きなバームクーヘン
 
 その消え去った集落跡を対岸の山から眺めていると少年時代がフラッシュバックしてくる。あの日に雪山に1人でいた自分と、今ここにいる自分が何も変わっていないような気がする。あの山、あの斜面、あの地が自分の原点なのだ。離ればなれになってしまった級友、仲間達も同じ思いであってくれと祈らずにはいられなかった。


鉄塔まで戻る 遠くに大谷の頭と洞山
 

お寺の駐車場
 
 小さな支尾根が沢山あり、トレースが消えていると気を遣う山だろう。三方を川に囲まれた独立峰のような山なのでちょっとの間違えで大きく狂ってしまう。
 左にぶれすぎると猪谷川の常虹の滝に出てしまいそうだし、右にぶれすぎると越路トンネルの上を越えて宮川に落ちてしまいそうだ。
 そんな大げさなと思われるだろうが尾根を間違えると180度反対側に行くことも珍しい事ではない。今までの遭難事故がそれを証明している。
 頂上からほど遠くないところで右足のカンジキのバンド部分を切ってしまった。細引きなど持っていたので修理できたと思うが面倒で、片足坪足状態で降りきった。
 16時20分、寺の駐車場に戻る。


上山時のGPSデーター