白木峰



、右下に白木峰山荘、その奥に夫婦山、遠くには富山平野(2006年4月16日撮影)

所在地富山県八尾町、岐阜県宮川村
21世紀の森登山口 アプローチ八尾町より車で40分
登山口標高630m
標   高1596m
標高差単純966m
沿面距離片道5.9Km
登山日2006年4月16日
天 候曇り時々晴
同行者単独
コースタイム 21世紀の森(40分)尾根取付(1時間35分)駐車場(50分)白木峰頂上<休憩45分>(13分)駐車場(37分)自動車道路<休憩8分>(23分)21世紀の森
合計5時間3分<休憩53分含む>


 3週間ぶりの山となった。会社合併後の最初の決算に次男の引越が加わって自分の時間がほとんどなかった。
 久しぶりの休日に、天候に関係なく(天気予報は100%の雨)山に行くつもりでいた。


21世紀の森の駐車場に車を停める
 

21世紀の森の管理棟
 
 朝、起きてみると天気予報に反して雨が降っていない。慌てて山行きの支度をする。しながら行き先を考えた。
 こんな日は遠くの山はだめだ。近くても低いのはだめだ。金剛堂山?...白木峰?....積雪期の白木峰は仁王山経由で登ったことはあるが直接登ったことがない。
 以前から地図を眺めながら直登ルートを探していた事を思い出す。行き先は決まった。
 


林道にはまだ雪がたっぷり
 

仁王山への尾根と961mピーク
 
 林道は一車線分だけ除雪してあり、21世紀の森まで入ることが出来た。標高630mの駐車場に車を停める。9時5分、身支度を終え、雪面にとりつく。
 管理棟の前に軽トラが停まっていて戸が開いていた。昨年お会いした監理人の津田さんがいないかと、声をかけてみたが誰もいなかった。


3月中旬のような積雪量
 

途中から取り付いた尾根にスキーの跡が..
 
 昨年の連休は頂上付近にしか雪がなかったのに今年は出だしから雪である。左へ回り込んでいる林道をショートカットする。
 深く切れ込んだ杉ケ谷を越えると林道は完全に雪の下となる。路肩の出ているところは少なく、トラバース気味に林道をたどる。トラバースは労力の割に標高が稼げないので、予定していた尾根へ早めにとりついた。


ひたすら尾根をたどる
 

左に見える仁王山の頂上直下の雪渓はやっぱ
り落ちたら助からないような雪渓だった
 雪の量は多く、3月頃の山を歩いているような気分に陥る。かすかにスキーの跡が残っていたが、いつ頃のものか分からなかった。
 左側に仁王山への尾根がこちらの尾根と平行して走っている。下からのジグザグの道が尾根に届いているところが961mの東屋のある地点だろう。
 頂上手前の南斜面に切れ込んでいる雪渓は細く、急で、500m程も一気に落ち込んでいる。滑り落ちたら助かりそうもない。
 2年前、滑り落ちそうになったことがあったが、落ちていたら今頃は...


ここにも樹齢の揃ったブナ林があった
 

夏道の駐車場からの急登
 
 仁王山の尾根の手前にもう一つの尾根が近づいてくる。こちらの尾根も危なそうなところはなく雪もしっかり付いている。登り口により近いので帰りにたどることにする。
 どちらの尾根も危険なところはなさそうで、厳冬期でも問題なく登ることが出来そうだ。


駐車場の標識が頭を出していた
 

ガスがかかってきて小雨が降り出す
 
 11時20分、夏場の登山口となっている駐車場にたどり着く。その頃からガスがかかりだし、小雨も降り出す。駐車場にあるはずのトイレを探したが雪の下になっているのか見あたらなかった。
 ここからの100〜150mは深雪のときは苦しいだろう。単独ラッセルなら1時間は覚悟した方がいい。


ガスが晴れて来て白木峰山荘が見えた
 

頂上近くでは青空も広がってくる
 
 その急登を登り切った頃から徐々にガスが晴れてくる。やがて左前方に三角形のものがぼんやりと見えてきた。さらにはっきりしてくると、それは白木峰山荘だった。頂上は近い
 ヘリポートの広場を過ぎ、笹原の中を行くと頂上の石盤が見えた。12時10分、頂上に立つ。


頂上は快適な展望台となっていた
 

黄砂の後に降雪があったらしく雪は真っ白
 
 白木峰山荘が片側の頭だけ出している。2003年3月、2004年2月に山荘の前を通っている。だが、これほど雪は多くなかった。もう4月の中旬だというのに山荘はまだ雪の中である。
 東方、飛騨側の山並みはガスの中で遠望がきかない。洞山、漆山岳、池ノ山をこの目で確認してみたかった。残念だった。


頂上から眺めた東側には飛騨の山々が連なっていた 右奥が漆山岳で池ノ山はガスの中らしい
 
 12時55分、頂上を後にする。急登を足スキーで滑り降り、駐車場でトイレを探す。やや左側に降った先にトイレの庇部分を見つけた。
 そこからトラバース気味に降り、尾根に戻る。1200m地点で分岐している右の尾根を忠実にたどる。こちらの尾根も急なところはなく、快適に足スキーを交えて降った。


頂上からの細尾根を足スキーで降る
 

雪に埋もれた白木峰山荘
 
 標高800mあたりから雪がなくなり藪漕ぎになる。尾根の北側に廻ってみると雪がびっしりとついていた。そこを滑り降りるとすぐに林道で、杉ケ谷の近くだった。
 登るときにこの尾根をたどるのが一番近いようだ。来年の厳冬期に冗長な仁王山経由をやめて、この尾根をたどって白木峰の頂上に立とうと思った。


仁王山もまだ雪がたっぷり
 

駐車場のトイレは庇がかろうじて出ていた
 
 杉ケ谷を渡ったところで1m10〜20cm程の長さのものを黄色い袋に入れて担いで歩いてくる人に出会った。
 その黄色い袋はどう見ても鉄砲だ。「熊撃ですか?」と尋ねると「そうだ」と返ってきた。さらに「足跡はなかったか?」と聞いてくる。「カモシカの足跡しかなかった」と答えた。


北側の尾根を降り、林道を横切る
 

杉ケ谷を林道から見上げる
 
 面白そうなので、しばらく話し込んだ。さんだん(散弾?)のころは大変だったが今はライフルなので遠くからでも大丈夫だとか、反対側の山にいる熊を見つけて走って降りて、又、走って上がった、若いときは強かったとか、面白い話がどんどん出てくる。
 だが、散弾銃で熊が捕れたのだろうか?「さんだん」と言うのは違う意味だったのだろうか?


八尾町の山井さんの肩の黄色いものはライフル
 

熊を撃つんだと言って山に消えていった
 
 白木峰へは杉ケ谷から右の尾根に向かって真っ直ぐに登るそうだ。なるほどその方が近い。しばらく話しこんだ後、山に消えていった。名前は山井さんといい、八尾の方だった。
 そう言えば昨年、「21世紀の森」の監理人の津田さんも熊撃の話をしていた。八尾の山村部には猟をする人が多いのだろうか?


右の尾根から登って左の尾根を降った
 

帰りは林道をたどって21世紀の森へ
 
 なんとなく津田さんにもお会いして話を伺いたくなった。道路の除雪をしていたというのでショートカットせずに林道をたどった。だが、会えたのは管理棟の前だった。
 津田さんの話も又、楽しい。年寄りの昔話を楽しく感じるのはこちらも年を取ったせいだろうか? 複雑である。


昨年もお会いした21世紀の森監理人の津田さん
 

軽食喫茶「白木峰倶楽部」はまだ休業中
 
 14時15分、駐車場所に戻る。津田さんから、昨年、頂上で会った篠川さんが体調を崩されて、最近山に登っていないという話を伺った。
 昨年、頂上で会ったとき「今年で70歳だから、70日間山にいることを誓った」と明るい笑顔で話していた篠川さんを思い出す。
 元気になられて又、山で会えることを祈りながら「21世紀の森」を後にした。


登り(赤色)は夏道の尾根から登ったが降り(青色)はショートカットで北側の尾根を降った。杉ケ谷を渡ったところで、すぐに尾根に向かうコースがベストだと思う。

リュックに縛り付けていたカンジキを落としてしまいました。もし、ひろわれた方がいらっしゃいましたら、ご一報下さい。木の輪かんで、赤い取り付けバンドが付いています。
 左の写真のものです。

後日談1. 落としてしまったカンジキは旧福光町の石井さんが見つけてくれました。その旨メールをいただき、感謝感激です。ありがとうございました。


後日談2. この5日後に篠川さんが亡くなられて2度と会うことが出来なくなりました。早朝の井田川でトレーニングをしていた篠川さん。穂高の山々を熱く語っていた篠川さん。ご冥福をお祈り申し上げます。