真川からザラ峠(Part2) |
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所在地 | 立山町 | |
千寿ケ原 | アプローチ | アルペンルートの富山側玄関口 |
新湯地獄 | 1600m | |
浄土山標高 | 2830m | |
室堂標高 | 2425m | |
標高差 | 単純1230m 累積(+)1350m 累積(−)520m | |
沿面距離 | 8Km | |
登山日 | 2006年9月3日 | |
天 候 | 晴れ | |
同行者 | 山岸、長勢、岩城、岸 | |
コースタイム |
新湯地獄(3時間)ザラ峠<休憩20分>(50分)獅子岳<休憩17分>(40分)餓鬼岳東面<休憩10分>(33分)浄土山分岐<休憩12>(18分)一ノ越<昼食35分>(33分)室堂 合計8時間20分<休憩1時間35分含む> |
真夜中に目が覚めるが、時計をどこかに置き忘れていて時間が分からない。川の音が雨の音の様にも聞こえ、気になって眠られなかった。 谷底なので視界は狭いが天の川がはっきり分かる。ツェルトから頭だけ出して星を眺めながら朝を待った。 |
6時47分出発 遠くに見える鞍部は松尾峠 |
いつの日かまた訪れるだろうと思った |
空が白みはじめた頃に打たせ湯に行く。人の手がまったく加えられていない温泉なんてそんなにいくつもあるとは思えない。だが、ここはそういう温泉だ。 囲いも何もない大自然の中の完璧な露天風呂。縦に並ぶ打たせ湯は多分、ここだけだろう。 |
出がけはそこそこ水量も多い |
だが特に難しいところもない |
朝食を済ませ、6時50分、新湯を出発する。川幅は狭くはないが両側が切り立っていて増水したときは逃げ場がない。 実際にかなり高い位置まで立木や枯れ草が流されてきて、ひっかかっている。この河原でテントを張るのはやめた方がよさそうだ。 |
岸よ、何を眺めているのか? |
川幅が狭くて岩が大きいと鉄砲水に弱い? |
思い思いに自分のコースで歩いているので、左岸を行く者と右岸を行く者とに別れたりする。徒渉も慎重にコースを選んで靴を濡らさないようにする。 水面下の石は苔が着いていて滑りやすいので気をつけて歩く。靴底のフリクションを期待すると、えらい目にあいそうだ。 |
右岸を行く者、左岸を行く者 |
鷲岳支沢 特徴があるので上からでも分かる |
7時20分、国見谷出合を通過する。国見谷は細く深い谷で、小さな滝があっても高巻きは出来そうもない。 龍王岳と鬼岳しか見えなかった湯谷川もようやく獅子岳が見えてくる。ザラ峠の右に尖った山のようなものが見えてきた。だが、これは後で上から見たら単なる尾根に過ぎなかった。 |
7時20分、国見谷出合 |
正面に獅子岳が見えてくる |
右に見えたグランドキャニオンのような岩山も鷲ケ岳の支尾根だった。標高1900mで雪渓が現れる。前週の偵察でカルデラ展望台から見えた雪渓だ。 その時は100m程だと思ったが200m以上はありそうだ。アイゼンの心配もしていたが実際はここが一番歩きやすかった。 スプーンカットになった雪渓は自然が作った階段だった。 |
上から見たら単なる支尾根が槍のように |
鷲岳の北東尾根を下から見るとこのように |
雪渓の終わりはガラ場で斜度もかなりある。勢いよく飛びついていった長勢、岸、山岸だったが思うように歩けない。 3人とも2歩上って、1歩下がるような事をやっている。罰ゲームを見ているようだと岩城が笑った。 |
8時20分、長さ250mほどの雪渓に出る |
柔らかいスプーンカットだったので歩きやすい |
左側の草付きの境目あたりに歩きやすいコースを見つける。石の小さいところよりも大きな石(直径15〜25cm)の方が崩れにくいと感じた。 大きな石は崩れないという訳ではなく、崩れたときは大きな石の方があぶない。何回か「ラーク!」の声を聞かされたが途中で停まったり、避けて行ったりで事なきを得た。 パーティーでここを歩くときは注意が必要である。 |
鷲岳最後の支沢 |
スノーブリッジに気をつけて端近くを歩く |
左側の草付き部分をたどっていくと、ガスっているときは獅子岳の方へいってしまうだろう。ガラ場をトラバースしてザラ峠の方にコースを修正する。 背丈の短いミヤマハンノキやナナカマドの藪こぎの途中で古い登山道を見つけたが、すぐに見失う。 |
雪渓を登り切った後は急登のガラ場 |
2歩登って1歩降る 罰ゲームのよう |
何故イヌと呼ばれているのか解ったような.. |
左は広くて間違えやすいが右はこの通り |
最後はハイマツ帯を避けて右から回り込みザラ峠に立つ。普通は山の頂上に立つ事がその山行きの目的になるのだが、今回はザラ峠が目的だった。 ここよりも標高の高い獅子岳や龍王も単なる帰路でしかない。 |
振り返ると湯川谷に雲がわいてきている |
ザラ峠は近い |
左側に見えるのは天狗山と国見岳 |
最後はガラ場も終わり草付きと小さな藪漕ぎ |
達成感と虚脱感が入り交じった状態でしばらくまどろんだ。単なる帰路にしては標高差のある獅子岳に向かう。 標高を上げるにしたがって五色ヶ原が見えてくる。右側をガスで隠した鷲岳はどこかで見たことのある風景だと思った。 |
ハイマツを避け、右に寄りすぎて急なトラバース |
9時45分、草付きを登り切ってザラ峠 |
湯谷川を振り返ればガスがすぐそこに |
左室堂、右五色ヶ原の標識 |
そう、ここに大きな山荘をおけば白馬岳だ。ガスのかかり方が東側(白馬岳)にかかるのと西側(鷲岳)にかなるのが違うのは天候のせいだろう。 薬師岳や黒部五郎岳、そして槍ヶ岳まで北アルプスの南部が見渡せる。手前には赤牛岳が大きい。 |
スッパリ切れ落ちた鷲岳北東尾根 |
このようなガスがかかると白馬岳にそっくりだ 遠くに見えるのは薬師岳 |
鬼岳とその東面を行く登山道 |
鬼岳東面から見た龍王岳 |
鬼岳は右(東側)から大きく巻き、龍王は左(西側)から巻く。浄土山からまっすぐ室堂に降りる予定だったが一ノ越山荘の飲み物の自販機の誘惑に負けた。 一ノ越山荘前で最後の乾杯をあげる。ついでに、朝作ったご飯とレトルトの玉子丼ぶりでおじやを作って昼飯にした。 |
浄土山分岐から見た雄山(立山) |
一ノ越山荘と龍王岳東陵 |
室堂手前で長勢が足首を捻挫するというアクシデントもあったが、15時、無事室堂に到着。15時20分の高原バスで帰路につく。 旅の(登山の)途中でいきなり乗り物に乗せられたようで、ゆっくり楽しみたかったほろ酔い気分を一気に覚まされてしまった。 |
雄山と雄山への登山道 |
14時、室堂ターミナル前の玉殿の湧水 |
このコースは素晴らしいコースだと思う。ただ、土曜日に入山すると工事関係の人に迷惑を掛けるのが心苦しい。日曜日に入山すると迷惑を掛けないし、何より人がいなくて静かでいい。 体力に自信のない方は室堂まで乗り物に乗り、逆コースで降るのがいい。そうすれば土曜に入山しても工事をしているところを歩くのは日曜日になる。 下山後、千寿ケ原で心ゆくまでゆっくりすればいい。 |
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