栂海新道−1



五輪高原から雪倉を望む(2007年8月3日撮影)

所在地富山県入善町、新潟県青海町、長野県白馬村
蓮華温泉 アプローチ国道148号線姫川温泉から
登山口標高1470m
標   高2418m
標高差単純948m 累積(+)1340m 累積(−)670m
沿面距離片道11.5Km
登山日2007年8月3日
天 候晴れ
同行者BOW(藤原、中嶋、南原夫妻と朝日小屋で合流)
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
蓮華温泉(2時間10分)白高地沢(1時間30分)花園三角点(2時間)千代の吹上(50分)朝日岳(40分)朝日小屋
合計7時間10分
参考コースタイム
 登山行程図表(山彦社)
蓮華温泉(40分)兵馬の平(40分)ヒョウタン池(2時間30分)五輪高原(1時間40分)朝日岳(30分)朝日小屋
合計6時間
コースタイム 蓮華温泉(40分)兵馬の平<蓮華温泉まで往復50分>(1時間30分)ヒョウタン池(15分)白高地沢<休憩25分>(1時間35分)花園三角点<休憩途中3回で合計45分>(2時間30分)千代の吹上(50分)朝日小屋
合計10時間15分<休憩他2時間55分含む>


 3年越しのメール友達である大坂の藤原が栂海新道に行きたいという。車のデポなどの応援をしていっしょに歩くことにした。コースにも興味がある。
 この計画に山岸、BOWが参加してくる。そして中嶋が同じ日に小川温泉から朝日小屋に入り親不知に抜ける計画をたてていた。


蓮華温泉の駐車場で前泊

 

駐車場横のトイレ

 
 藤原は2日に坂田峠から日本海に抜け、JRとバスで蓮華温泉にまわり、白馬大池で一泊。3日に雪倉岳を経由して我々と朝日小屋に入る。
 我々は2日の晩に蓮華温泉でビバークして3日に朝日小屋を目指す計画。鉱山道経由か五輪高原経由か当日決める予定だった。
 山岸が仕事の都合で4日からの参加になり、BOWの足を考えると五輪高原しかなさそうだ。


蓮華温泉入口

 

蓮華温泉

 
 親不知観光ホテルの前で待ち合わせ、車を1台デポして蓮華温泉に向かう。平岩から蓮華温泉まで20Km以上あり、標高差も1500mある。意外に時間がかかった。
 蓮華温泉駐車場の空いている場所にテントを張らせてもらう。この計画に合わせたように台風4号が発生していて日本海を北上しているのが心配だ。


蓮華温泉テント場

 

蓮華温泉テント場を上からのぞむ

 
 テントが何回か横倒しにされそうになり慌てて足で押さえたり荷物を移動したりする。これ以上風が強くなればBOWの車に避難させてもらうしかない。
 夜が更けるにしたがい風はおさまりその心配はなくなった。安心して露天風呂に入れさせてもらうことにする。
 真夜中なので入浴料はサービス。満天の星をのぞみながらという訳にはいかなかったが気分は最高。テントに戻って2時就寝。


鉱山道への分岐(左が鉱山道)

 

嫌になるくらい降る

 
 朝5時に起きて朝食の用意をしているところへBOWもおきてくる。食欲はないが何か食べておかないと1日が辛い。
 テント前泊の割りには酒が残っていない。昨日は飲めない相手でよかった。今までの2日酔いは相手が悪かったようだ。


兵馬平でストックを忘れたことに気づき戻る

 

瀬戸川にかかる橋

 
 6時半、蓮華温泉駐車場を出発する。台風が日本海にいるはずなのに穏やかな天候だ。風もない。
 蓮華温泉を過ぎたところにキャンプ場があった。テントはひと張りもない。我々の出発が遅かったのかもしれない。
 そこからはどんどん降る。降りきったと思ったところは湿原だった。そこで、ふとストックがないことに気づく。
 写真を撮るときに何処かに置き忘れたらしい。


白高地沢の大岩

 

大岩へとパイプで作られた仮橋

 
 3日間の行程を考えるとストックは必要だ。探しながら戻る。湿原に忘れたのを見落としてキャンプ場まで戻ってしまった。
 今度は注意深く探しながら湿原へと戻る。ストックはBOWが見つけて半分くらいまで戻ってきてくれていた。申し訳ない。
 そんなことで50分の時間と体力の無駄遣いをしてしまう。


よく流されるらしい

 

仮橋だからか?

 
 登りかと思った登山道はさらに降る。嫌になるくらい降ってようやく川に出た。瀬戸川だ。200m近くも降っている。
 立派な鉄の橋を渡ってようやく登りとなった。1200mあたりの樹林帯で徐々に標高を稼ぐ。


何故か道端に死んだ小ウサギが...

 

人間も...

 
 次に渡る川は白高知沢だ。こちらには恒久的な橋はなく、パイプと金属の足場板で造った簡易の橋があるだけだった。
 しばらくして急登となる。だが降るよりは、精神的にいい。樹林帯の中、直登に近い階段をひたすら登る。


シモツケソウと雪倉岳

 

標高1600mあたりで樹林帯を抜ける

 
 1650m付近でいきなり樹林帯が終わる。草原の中に新しい木道が続く。キンコウカとギボウシが満開だ。
 ここで大休止を入れる。昨夜あまり眠れなかったというBOWは草むらに突っ伏して寝てしまう。大休止となった理由(わけ)はこれだった。


標高1753mの花園三角点

 

全体的に気持ちのいい登山道

 
 BOWが寝ている間に草むらを探すと白い小さな花が目についた。よく見るとモウセンゴケの花だった。
 モウセンゴケは弥陀ヶ原の地唐のまわりに沢山あった。だが花を見るのは初めてだ。早速写真を撮る。
 デジカメはこんな設定が苦手だ。花が小さく、おまけに葉と花の間が空きすぎている。オートフォーカスではピントが難しい。


休憩所にしては大げさ?

 

雪倉岳と赤男山

 
 11時55分、出発する。40分も休んでいたので時間が気になる。が、そんな心配も咲き乱れる花に心を奪われてしまい、おろそかになる。
 まー、いざとなれば走ればいい。(BOWがいるのを計算に入れていない)


登山道はだらだらと続く

 

千代の吹上(栂海新道との分岐点)

 
 チングルマが群生している。立山より密度が濃いような気がする。色々な花が群生している。なかでもハクサンコザクラの群生が新鮮だ。
 イブキジャコウソウやミヤマムラサキは初めてで、タカネバラは爺ヶ岳以来だ。五輪高原は花街道だった。
 ふんわりとした時間が過ぎていく。こんな山行きもいい。


今年はコバイケイソウの当たり年

 

朝日岳頂上

 
 標高2060mあたりの道路脇で水がわいている所があった。地面からわいているので冷たくて美味しい。
 朝日小屋が天水だったら、と思ってこのわき水を4リットル汲んだ。(朝日小屋には豊富な水があり、無駄だった)リュックが一気に重くなる。
 雪渓の残る斜面を横切り、千代の吹上まではトラバース気味に歩く。千代の吹上に着いたのは16時だった。
 1人、急いでチェックインだけ済ますことにしてBOWをおいて走る。朝日岳を越えてから雨が降り出す。雨具を着ているヒマはない。16時50分、朝日小屋に飛び込む。
 


小屋の夕食とシュンちゃん差し入れの缶ビール

 

台風の影響か6人で一部屋もらえました

 
 朝日小屋の清水ゆかりさんに「チェックインはどうでもいから、女性を1人でおいて来てはいけません」とたしなめられてしまった。
 フロント前に心配そうに立っていた方は藤原さんだった。「池原さんですか?」と声をかけてきた。すぐに分かったそうだ。
 荷物はそのままにBOWを迎えに戻る。おいてきぼりにしたのだからリュックぐらいは担いでやりたい。「臭いからいい」というリュックを無理矢理奪って小屋に戻った。
 藤原、中嶋、南川夫妻の横に取ってあった席に座る。黒部のシュンちゃんからの差し入れの缶ビールで乾杯。シュンちゃんありがとう。このお礼はいつかします。