池ノ平小屋



仙人峠から眺める池ノ平山と小窓雪渓(2008年7月11日撮影)

所在地黒部市宇奈月
阿曽原〜
池ノ平小屋
〜仙人ダム
登山口標高850m
下山口標高870m
標   高2040m
登り標高差単純1190m 累積(+)1300m 累積(−)110m
降り標高差単純1170m 累積(+)276m 累積(−)1447m
沿面距離登り5.5Km  降り7.1Km
登山日2008年7月11日〜12日
天 候11日曇り時々雨 12日曇り後晴れ
同行者長勢、BOW
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
阿曽原(3時間10分)仙人温泉小屋(2時間)仙人池ヒュッテ(15分)仙人峠(30分)池ノ平小屋 合計5時間55分

池ノ平小屋(30分)仙人峠(15分)仙人池ヒュッテ(1時間10分)仙人温泉小屋(1時間50分)水平道(50分)仙人ダム 合計4時間35分
コースタイム 阿曽原(50分)阿曽原峠<休憩10分>(43分)雪渓下降分岐<途中昼食休憩他40分>(1時間34分)仙人温泉小屋<休憩13分>(2時間20分)仙人峠<休憩15分>(23分)池ノ平小屋 合計6時間28分<休憩1時間18分含む>

池ノ平小屋(30分)仙人峠(57分)仙人温泉小屋<休憩18分>(11分)仙人温泉源泉<足湯25分>(24分)雪渓分岐(30分)阿曽原峠(25分)水平道<休憩5分>(35分)仙人ダム 合計4時間20分<休憩48分含む>


7月11日



阿曽原スタートで旧道をたどり途中から雪渓を使って池ノ平小屋へ。帰路、フィニッシュは仙人ダム

 
 長勢の誘いで池ノ平小屋オープンの応援に行く。役割はヘリコプターが飛ぶまでの食料と缶ビールのボッカだ。
 昨年の営業終了間際はどの山小屋も缶ビールが売り切れていた。池ノ平小屋もストックはゼロ。5日に持ってあがった分はなくなっているはず。
 缶ビール2ケースに野菜などを頼まれる。内訳はキャベツが2〜3個にタマネギ、胡瓜、ジャガイモ、人参、...肉に魚と完全に頼りにされている。
 BOWが参加してきて助かった。


宇奈月温泉駅

 

欅平駅

 
 宇奈月で適当にパッキングする。リュックの重さを量ったら3人とも仲良く22Kg。どうして? 多分、BOWの個人装備(私物)が多すぎるからだろう。と、言うことで見なかったことにする。
 宇奈月駅7時11分発(始発駅なのに中途半端な時間だ)のトロッコ電車に乗る。時刻表には載っていない列車だ。


上部軌道

 

営業前の阿曽原小屋

 
 欅平駅でエレベーターに乗り、200m標高を上げる。そこで黒四発電所まで乗り入れている上部軌道に乗りかえる。
 この上部軌道に乗るには申請書が必用で長勢の世話になった。申請書は生年月日はおろか血液型まで記入させられる面倒なものだった。
 (BOWの素性が発覚したが個人情報保護の観点から非公開)


旧仙人温泉登山道から雪渓への分岐

 

雪渓の取り付きはデブリのダムのよう

 
 9時30分、阿曽原を出発。とにかくリュックが重い。体が慣れる前にバテてしまいそうだ。水平道に出て小休止。阿曽原峠で小休止。こまめに休む。
 休むのはいいが、いったんリュックを下ろすと担ぎなおすのが大変だ。大きな岩があればその上にリュックを載せる。
 また、腰を曲げて背中でリュックの重みを支える。変な格好だと思っていたが、体にかかる重みの方向が変わるのがいいのだろう。


藪から解放されて雪渓を行く

 
 2年前に出来た雲切新道は仙人谷の登山道が危険だと言うことで出来た登山道だ。その廃道となった登山道を行く。
 標高1300mあたりで仙人谷に近づいたところに分岐があった。横に貼ったロープに立入禁止の看板がぶら下がっている。ここから仙人谷に降りた。


沢山のニホンザル 藪の中では威嚇の鳴き声も聞こえた

 
 仙人谷の雪渓はスプーンカットになっていて歩きやすい。リュックが重くてもテンポを落とさず登る。ゆっくり登った方が疲れないというのは嘘だ。(と思う)
 リズミカルに登る利点は筋肉のバネ(速筋)を使えることと、後ろ足のキック(ふくらはぎの筋肉)を有効に使えることだ。
 上手く言えないが「体全体のバネを使って登る」といったような感じである。これは重い荷物を背負ったときにも使えるテクニックだ。
 本に書いてある歩き方とは違うので、大きな声で言えないが、少なくとも私の体はそう出来ている。


仙人温泉の源泉

 

営業前の仙人温泉小屋

 
 仙人温泉で雪渓を離れて雲切新道に入る。まだ人の入っていない仙人温泉小屋は傾いて見えた。そう言えば営業前のスキー場の建物も廃屋のようだった。
 源泉のある対岸から小屋の方へワイヤーが中空を走っている。引湯管を吊すのだろう。谷に引湯管を渡したら大水が出る度に流されてしまう。


仙人温泉小屋中庭

 

仙人温泉小屋の露天風呂(内風呂はない)

 
 旧道と雲切新道は仙人温泉小屋で合流している。ここから登山道にはいる。だが登山道はすぐに雪渓の下になってしまう。
 残雪が多く、仙人峠まで雪渓が残っていた。途中で右の沢に入るところが解りにくい。小さな滝があるのが目印か?


中庭で休憩中の長勢とBOW

 

露天風呂の縁で休憩中の蛇と蛇

 
 夏道は仙人池ヒュッテを経由している。回り道となるのでショートカットして尾根に出た。木道のしっかりした道だった。
 道の両側にチングルマ、イワカガミ、アオノツガザクラが咲いていた。リュックが重いので花を撮る中腰が辛い。息も止めるので、歩いているより疲れる。


峠の休憩所

 

仙人池ヒュッテとその右に仙人池

 
 15時20分、仙人峠に出る。正面に見えるはずの池ノ平山も八ッ峰も上の方はガスに隠れて見えなかった。
 ちょっとがっかりだが、もう登らなくてもいいという安堵感の方が勝った。


池ノ平小屋

 

池ノ平小屋入り口

 
 仙人峠から池ノ平小屋へと向かう。普段は気にならない、かすかなアップダウンも疲れと荷物の重さでこたえる。
 何ヶ所か残っていた雪渓を慎重にトラバースして小屋の見えるところまで降った。小屋の前で手を振っているのは菊池さんだろうか。
 多分、待っていたのは我々ではなく、背中に担いでいる缶ビールだろう。荷をとくと同時に水槽で冷やされていた。


池ノ平小屋水槽 速攻で冷やされた缶ビール

 

池ノ平小屋レストラン

 

昨年のままのメニュー(缶ビールが売り切れ)

 
 風呂が沸いていると言われて喜んだのはBOW。とりあえず乾杯の後に風呂で汗を流し、また乾杯。気がつくと2時半。布団の中だった。皆より3時間も早く寝たという。
 翌日、菊池さんに去年よりつぶれるのが遅かったと妙な慰め方をされる。


池ノ平小屋図書館

 

明るいうちから宴会が始まった

 
7月12日



ike、長勢、友松、児玉、長谷川、BOW、菊池(監理人)、吉沢

 
 2時半に目が覚め、3時半までうとうとしていた。もう少し我慢していれば夜が明けると思っていたのに気がつくと4時半だった。少しは寝たらしい。
 外はガスでまっ白だが降っていた雨はあがっている。今日は降るだけ。荷物は軽い。緊張の糸が切れている。


池ノ平小屋朝の風景

 

菊池さん、長谷川さん、また来ます

 
 今日は何も決めていない。上部軌道の時間だけが決まっている。結局、皆といっしょに7時20分、小屋を後にする。
 剱岳北方稜線付近に来ることが増えると思う。池ノ平小屋は定番の宿になりそうだ。


5m掘ったという水源地

 

水源地を覗いてみる

 
 仙人峠への途中で5m掘ったという水源地に寄ってみた。懐かしい。弥陀ヶ原ホテルに勤務していた頃、春一番の仕事が水源地の掘り出しだった。
 4月の弥陀ヶ原は雪が深く、7mは掘った。深さが2m違うだけで穴は倍以上の広さとなる。10名ぐらいで2日がかりだった。


峠から雪渓を降る

 

どんどん降る

 
 仙人峠から雪渓を降る。雪面はスプーンカットになっていて足スキーは出来ない。普通に歩いて降った。
 気になっている仙人温泉の源泉を探検する。探検と言っても大したことではない。源泉の横を雲切新道が通っている。
 源泉は噴気は凄いが湯量は少ない。流れをせき止めてもせいぜい足湯が出来ただけだった。


仙人温泉の源泉の探検に行く

 
 仙人温泉の南側に南仙人山がある。北にある坊主山は昭和初期まで北仙人山と呼ばれていた。そして池ノ平山は西仙人山と呼ばれていた。
 すべて仙人温泉を中心にして山名を決めている。東仙人山がないのは東側に山がないだけで、代わりに仙人谷がある。


水量は少ないが噴煙はすごい

 

硫化水素ガスが心配

 
 源泉から雪渓を降り、旧道に戻る。旧道を降る途中で仙人温泉小屋で別れた3人に追いついた。前日は気が付かなかったがやはり道は荒れている。
 11時ちょうど水平道に戻った。BOWから阿曽原温泉まで降りて温泉につかる案が出る。1対2の反対多数で却下。仙人ダムに向かうこととなった。


仙人ダムに到着

 

仙人ダム駅は飛流峡の上にある

 

仙人ダム駅からのぞむ仙人ダム

 

仙人ダムの放流を上からみる

 
 11時40分、仙人ダム到着。黒部川本流が幅数メートルの河床を流れる飛流峡は見ていて飽きない。仙人ダム駅はその飛流峡の上にある。
 白い泡の面を作って流れ落ちる仙人ダムの放流も見飽きない。上から見ていると自分もいっしょに滑り落ちて行くような錯覚に襲われる。


黒部川の水流を集めた狭い飛流峡

 
 上部軌道で欅平に戻り、黒部峡谷鉄道に乗りかえる。途中すれ違う幌馬車のような列車に乗っている人達が音のない夢の中の映像のようだった。
 非日常からいきなり日常に戻されて、人に酔ったのだろうか。日常のほうが非現実的な世界に見えた。


仙人ダム駅

 

上部軌道欅平駅

 

アカモノ(イワハゼ)

 

ナルコユリ

 

オオバミゾホウズキ

 

ミヤマニガイチゴ
(kenさん、岩月さん、ひとみさんありがとう)


エンレイソウ

 

アオノツガザクラ

 

チングルマ

 

キヌガサソウ

 

カラマツソウ(線香花火のようだ)