小窓尾根〜池ノ谷



池ノ谷左俣(三ノ窓)と右俣 間に剱尾根(2008年6月7日撮影)

所在地富山県立山町
馬場島 アプローチ早月川最上流
馬場島750m
小窓乗越1614
片道標高差累積(+)940m 累積(−)206m
沿面距離片道 4.6Km
登山日2008年6月7日
天 候晴れ
同行者文山、長勢、岩城
コースタイム  馬場島(45分)取水口(1時間5分)雷鳥岩(1時間30分)小窓乗越<休憩15分>(20分)池ノ谷<昼食休憩1時間45分>

池ノ谷<山菜採り20分>(25分)小窓乗越<休憩20分>(50分)雷鳥岩(25分)取水口(45分)馬場島 合計9時間55分<休憩2時間40分含む>



池ノ谷までの2回の高巻きは、どちらも登山道と言ってもいいくらいの踏み跡となっている

 
 「池ノ谷」は「池原の谷」という訳でもないが、気になってしょうがない谷だった。白萩川と池の谷に挟まれた小窓尾根も気になる。
 雪渓がきれいに残っていて滝が埋まっている季節(5月)なら池ノ谷を下から詰められる。雪渓が切れて滝が現れだすと小窓尾根を高巻くのが普通(?)らしい。


馬場島から白萩川へは車両進入禁止

 

白萩川取水口から最初の高巻き

 
 小窓尾根も池ノ谷も様子が分からない。いきなりテントを担いで三ノ窓はない。とりあえず、池ノ谷の滝の上部に立って雰囲気を味わってみたい。
 文山が前の週に池ノ谷の偵察に行き、雪渓が切れているのを見てきている。狙いは絞りやすくなった。小窓尾根越えしかない。


高巻き道の峠から池ノ谷をのぞむ 左が小窓尾根末端

 
 偵察なので馬場島にはゆっくり7時集合とする。白萩川は工事中なので土曜日は入らない方がいい。歩いても距離で2.3Km、標高差は220mしかない。
 白萩川は雪融け水で増水しているので取水口から高巻く。この高巻きは沿面距離600mで、155m登って80m降る。もう、ずいぶん通った気がする。


白萩川に降りたって池ノ谷をのぞむ

 

白萩川の雪渓を行く

 
 高巻き道の峠(?)からは池ノ谷が正面に見下ろせる。降り立ったところも池ノ谷の正面で角度を変えて見ることが出来る。
 そのまま白萩川の右岸を詰める。川の真ん中に大きな岩が見えてくる。取り付きの目印となる雷岩だ。


この雷岩が小窓尾根取り付きの目印

 

切れた雪渓を行く

 
 徒渉を心配していたが雷岩の上流が雪渓で繋がっていた。難なく渡る。小窓尾根の取り付きは雷岩の上流約20m。取り付きは草がはえていると、分かりにくいだろう。
 左岸を2mほど上るとすぐに1mほど降る。降ったところに赤い矢印と「池ノ谷」と書いた高さ40cmほどの石柱が立っていた。
 あまりにも唐突に、無造作に、立っていた立派な石柱。思わず笑ってしまった。


厚さが1mにも満たないところがあり、緊張する

 
 ここから一気に急登となる。所々ザレ場もあるが踏み跡はしっかりしている。トラ縄も随所にはってあり、登山道と言ってもいいくらいだ。
 標高1400m近くで小窓尾根の稜線に出る。正面に見える早月尾根が大きい。1614mピークまでこの稜線上を行く。


立派な石の標識には笑ってしまった

 

上市峰窓会の方が設置したらしいが真偽は不明

 
 1614mピークは若干、広尾根となっていて雪渓が残っていた。白萩川取り付きから標高差で560m。本日の最高地点。水割りで乾杯する。
 眺めがよく、左に猫又山、赤谷山、白萩山、アカハゲ、シロハゲが見え、右に早月尾根が大きくそびえる。


1614mピークからのぞむ白萩山、アカ、シロ

 

反対側に見えるのは早月尾根

 

赤谷尾根の上に猫又山が端正な姿を見せる 左の稜線は東芦見尾根

 
 その早月尾根と小窓尾根の間に池ノ谷が延びる。延びた先、左俣が三ノ窓に達し、右俣が剱岳本峰に突き上げている。
 左俣、右俣の間が剱尾根だ。小さいが、中央のドーム周辺にいくつもの登攀ルートをかかえた峻険な尾根となっている。


池ノ谷の奥に小窓の頭、小窓の王、ジャンダルム、ドーム

 
 1614mピークを小窓乗越とも言うらしい。ここから池ノ谷に向かって降る。古い赤符があるが分かりにくい。
 途中からトラバース気味に降る。踏み跡ははっきりしない。雪渓が出て来るとさらに分かりにくくなるが、灌木も少なく適当に降りた。山菜も摘みながら...


池ノ谷の雪渓に降り立つ

 
 下流の池ノ谷ゴルジュはいくつもの滝を連続させて一般の登山者の入峡を拒む。だが、ここから上流に難しいところはない。
 見た感じ、二俣までは平地のような感覚で歩けそうだ。三ノ窓への最後の急登も45度ぐらいしかない。行ってみなければ分からないが...


落ちていた岩をテーブルにして

 

遠足気分の昼食 今日は偵察だから...

 
 偵察ならここまでで充分か?後日の楽しみも残しておきたい。時間はちょっと早かったが昼食休憩とする。
 山がメニューを選ぶのか、スリムな食事内容だった。小佐波御前山や大辻山とは雰囲気が違う。鍋物やギョウザは出ない。食後のスイーツもない。


西仙人谷を思い出させる池ノ谷 奥の明るいところが二俣の分岐点か?

 
 池ノ谷は西仙人谷よりは広く、毛勝谷よりは狭い。デブリも落石も少なく、きれいな谷だ。ガスがかかっているせいか、すごみがあり、ぞくぞくするような威圧感がたまらない。
 左俣から三ノ窓へは急な雪渓を詰めるだけだと思う。難しいとは思えない。次回の縦走が楽しみだ。


この下流に滝が連続していて「行けぬ谷」

 

小窓尾根への戻りはこの斜面を登る

 
 小窓乗越への取り付きは分かりにくい。雪渓が消えたあと、何か目印があるのだろうか。踏み跡もしっかりしていないので初めての人は分からないと思う。
 三ノ窓から降ってくる人は初めてじゃないとは思うが、ルートファインディングが難しいところだ。


小窓尾根への雪渓を登る

 

小窓尾根を横断して白萩川を降る

 
 山菜(アマナ、ギボウシ、ウド)を摘みながら小窓乗越へと登る。小窓乗越から尾根をたどり、白萩川側への急降を降った。
 次回、ここを通るのは梅雨明けか? 三ノ窓から剱本峰を経由して早月尾根を降る。小窓に降りて西仙人谷を降るのもある。
 テントを張らずに菊池さんのいる池ノ平小屋で1泊して大窓から降るのもいい。いずれにしても楽しみだ。


ヒメシャガ

 

ニリンソウ(山菜)

 

シラネアオイ

 

オオバキスミレ

 

アマドコロ(俗称アマナ)

 

コバイケイソウ(有毒)

 

ヤマウド(山菜)

 

カタクリ(山菜)

 

サンカヨウ

 

エンレイソウ

 

キヌガサソウ

 

キクザキイチゲ(日中)

 

ヤマボウシ

 

キクザキイチゲ(夕方)

 

ムラサキヤシオツツジ

 

イワウチワ

 

オオバユキザサ(山菜)

 

コイワカガミ

 

ミヤマシキミ

 

タニウツギ

 

ムシカリ(オオカメノキ)

 

小窓尾根の取り付きからいったん尾根に出て尾根沿いを1614mピークまで登山道並
1614mピークから反対側の途中まで、踏み跡はしっかりしている 最後は雪渓で不明