小窓〜池ノ平



恐竜のしっぽのように延びた雪渓(2008年10月14日撮影)

所在地富山県立山町
馬場島 アプローチ上市町より車で40分
登山口標高975m
標   高1590m
片道標高差単純615m 累積(+)685m 累積(−)70m
沿面距離片道3Km
登山日2008年10月14日
天 候晴れ
同行者長勢、BOW
コースタイム 白萩川取水口(2時間45分)西仙人谷出合(45分)撤退箇所<停滞30分>(4時間45分)白萩川取水口
合計8時間45分<休憩他1時間含む>



 
 
 白萩川を詰めて小窓から鉱山道を通り、池ノ平小屋に入る。翌日は池ノ平山へ登り大窓に降りて白萩川取水口まで戻る。
 面白いコースだと思った。積雪期の小窓は往復したことがあるが、無雪期は初めて。心配なのは雪渓のクレパスだ。


白萩川取水口まで車を入れる
 

雷岩と遠くに大窓
 
 白萩川取水口まで車を入れ、6時15分、出発。タカノスワリは高巻きで迂回する。体を作るため、ゆっくり登る。
 この登りで、その日の体調が、だいたい分かる。今日は悪くないようだ。


ところどころ徒渉を入れながら白萩川を詰める
 
 大窓が見えるようになると雷岩は近い。雷岩の上の石は人力では上げられない大きなものだ。増水したときに載ったとも思えない。
 雷岩より高く積もった雪渓の上に載った石が、たまたま雷鳥岩の上だったのだろう。雪融けによって石はそのまま雷岩の上に残った。でしょ?


大白萩川三俣近くの大岩がここからでも見える
 
 広い河原はどこを歩いてもいい。岩の上を飛んでいくか、低いところを縫っていくかは好みの問題だ。
 個人の歩くスタイルの違いもあるので、どちらが早いとか疲れないとかは言えない。


ズタズタに切れた雪渓を見て嫌な予感が...
 
 大きく切れた雪渓の残骸を見て嫌な予感がした。狭い西仙人谷で雪渓が切れていたら...クレパスがあったら...多分、乗り越えられない。


雪渓が残っているところは両側が急峻で登れないと思った方がいい
 
 もしも雪渓が立ちはだかったら...両側の岩壁は高さ100m以上有り、高巻きは絶対無理。雪渓を登る装備も技術もない。そしてシュルンドに入る勇気もない。


雪渓の下は危ないのだが
 

通って見たくなるのはカメラアングルを意識している?
 
 9時15分、西仙人谷出合。高さ10mほどの滝が白萩川に落ちている。左岸はオーバーハングしていて登れそうもない。
 右岸の危ういスラブを登る。角度はないが乗った石、掴んだ石がボコボコ崩れて信用できるホールドがない。慎重に登る。


西仙人谷出合の滝 この滝の左側(右岸)から登る
 

登る途中で横から滝を見る
 
 登り切ったところで小休止を入れ、腹ごしらえをする。川幅は一気に狭くなる。谷は深く、切り立った両側の岩壁は気持ちまでも圧迫する。
 これが西仙人谷だ。池ノ谷を凌ぐ迫力がある。(池ノ谷の下流ゴルジュは別)


西仙人谷を詰めてすぐに現れた雪渓の壁
 
 登り初めてすぐ、正面に雪渓が見えた。近づくに連れ、その大きさが分かってくる。高さは10mぐらいありそうだ。スッパリ垂直に切れている。
 実は、雪渓がなくてもその手前の滝で行く手を阻まれたのだった。両側からも直登も出来なかった。


雪渓の手前の滝が越えられなかった
 
 高巻きも直登も出来なければ戻るしかない。出合の滝の手前で左岸の20mほどの土壁を登り、白萩川へと降った。
 時間は11時半。大窓を詰めて池ノ平山経由で小屋まで行く時間はない。多分、ない。途中でヘッデンを出すようなことはしたくない。そんな場所(山)じゃない。


左岸の土壁(20m)を登って高巻きし、白萩川に戻る
 
 もう大窓越えは無理だと諦めがつくまで、もたもたと時間を使った。11時50分、撤退を決意。早く降りて小屋に電話を入れないと心配する。
 降りなのに足は重く、気分も重い。リュックに詰まった、3人の小屋へのお土産はさらに重かった。


大窓経由で池ノ平小屋へ行くには時間が足りなかった
 
 馬場島はひっそりとしてシーズンの終りを告げていた。小屋へのお土産を半分自棄気味にそれぞれ分け合って食べる。
 BOWの誕生祝いのロールケーキにもナイフを入れた。まな板が馬場島の駐車場のコンクリートの上というのが今日を象徴している。


まだ残っていたゼンテイカ(ニッコウキスゲ)