赤谷山〜大窓〜白萩川



雪庇はほとんどが左側(東側)に出来ていた(2008年5月4日)

所在地富山県立山町、黒部市
登山口 アプローチ馬場島から白萩川をたどる
宿泊地標高2260m
馬場島標高745m
標高差単純(−)1515m 累積(+)360m 累積(−)1865m
沿面距離9Km
登山日2008年5月4
天 候快晴
同行者文山、長勢、岩城、岸、中嶋、
コースタイム 赤谷山(55分)アカハゲ<休憩10分>(45分)シロハゲ(45分)大窓<休憩47分>(23分)東仙人谷出合標高1280m<休憩20分>(40分)池ノ谷出合<休憩23分>(47分)白萩川取水口(45分)馬場島
合計7時間5分<休憩1時間40分含む>



 

 
 一晩中吹き荒れていた風がテントを揺さぶり続け、あまり寝られなかった。その風も朝方止み、ほっとする。
 朝食をとり、コーヒーを湧かし、リュックのパッキングをする。テントを畳む頃、再び風が吹き出す。山にも朝凪のようなものがあるのだろうか?


朝日を浴びる剱岳本峰

 

白馬岳、杓子岳、白馬鑓ケ岳、天狗の頭、唐松岳

 

五龍岳、鹿島槍ヶ岳 左中央は八ッ峰のしっぽ(T峰、U峰...)

 
 テント村で残ったのは我々だけだ。他の人達は小窓や三ノ窓まで行くと言っていた。彼らには急ぐ理由がある。我々にはない。
 6時15分、赤谷山を後にする。なだらかなスロープを下ると白萩山の登りとなる。ここは昨年登っているので左側(東側)から巻いた。


テント撤収完了

 

赤谷山を降る

 

白萩山は東側から巻く 時々上からの強い風にピッケルを刺して対風姿勢を取る

 

アカハゲとシロハゲ 昨年はアカハゲで敗退

 
 昨年テントを張ったコルからアカハゲに向かう。アカハゲの頂上が昨年の敗退地点だ。ここで4パーティーが合流した。ハーネスをつける。
 両側が切れ落ちた細尾根を渡って60度の雪渓を登る。2つのパーティーが先行し、我々は3番目。踏み跡もしっかりしていてピッケルのアンカーもよく効く。
 怖いとは思わない。その後の空洞になった雪庇の上の方が怖かった。


アカハゲを降ってからの急な登り

 
 両側が切れ落ちた岩山は真っ直ぐに乗り越える。右から巻こうとしていた先行パーティーは巻けなかったようで最後尾になる。
 もうひとつの岩山は左の雪庇を巻く。雪庇の下はどうなっているのか考えないようにした。


左側に張り出した雪庇

 

この岩山は中央を乗り越える

 

池ノ平山と本峰

 

多分、雪庇の上を歩いていると思う

 
 小さなアップダウンを繰り返し、大窓の降りにさしかかる。ここが見えないところであり、分からない部分だ。いちばん警戒していたところだった。
 とにかく降りてみる。雪渓とハイマツ帯の間を降るのでハイマツがザイル代わりになる。腕力をフルに使って降る。


ようやく大窓を見下ろす

 

大窓への降り

 
 降りたって見上げると稜線の雪渓ではなく西側の雪渓を降ったのだった。中嶋は夏もこちら側を降ったはずだと言う。
 これで北方稜線で繋がっていないのは池ノ平山〜小窓コルだけとなった。もっと北側では駒ケ岳〜毛勝山も繋がっていないがここを北方稜線とは言わない。と、思う。


左に隠れた雪渓を降りる ザイルは出さなかった

 

核心部は終わりウイスキーの水割りでくつろぐ

 

池ノ平山へ向かう家出さん(中嶋友人)達

 
 皆、不完全燃焼気味なようで、池ノ平山方向を見上げている。池ノ平山まで〜時間で登って池ノ平山から小窓まで〜時間で降る。小窓雪渓を〜時間で降れば間に合う。などと言っている。
 8時50分に大窓に立っていれば、そういう気持ちにもなる。だが春の北方稜線での予定変更はいやな予感がする。
 登山届も大窓から降るようにして提出してある。計画通り大窓から降ることにする。


大窓コルにあるお地蔵さん

 

大窓を降る

 
 大窓雪渓は遠くから見ると急に見えるが実際に降ってみると大したことはない。足スキーを交えて快適に降る。
 コルからの雪渓を真っ直ぐに降ると最後はガレ場に出るので右側の雪渓に乗りかえる。昨日、赤谷尾根から眺めていたので分かったことだ。


大窓雪渓と白萩川雪渓

 

遠くから見ると急だが...

 

西仙人谷(小窓雪渓)を偵察する岩城

 
 大窓の雪渓を降りきったところが西仙人谷(小窓雪渓)出合でそのすぐ下が東仙人谷出合だ。こちらから登って西仙人谷を降る計画を立てていた。
 見た感じ無理そうな気がした。東仙人谷のデブリがすごく、落石も多い。詰めた先がアカハゲやシロハゲというのも危険な匂いがする。


降ってきた大窓雪渓を振り返る 見えないが左が東仙人谷で右が西仙人谷

 

東仙人谷 詰めればアカハゲとシロハゲあたり

 

通った直後に落石があり岩が砕けた白煙が漂う

 
 大きな音に振り返ると、いま通ってきたばかりの雪渓に無数の岩が落ちてきている。岩と岩がぶつかって白煙を上げている。思わず走って逃げた。
 通るのが2〜3分遅かったら落石に当たっていたと思う。ヘルメットは必用な山域だ。


大窓が遠くなるのが名残惜しい

 

小窓尾根からの大量のデブリ

 

そのデブリを乗り越えていく

 

雪渓が切れて白萩川が出てくる

 
 小窓尾根の取り付きを調べる。大きな岩のあるところから沢に入るらしいがよく分からない。大きな岩のすぐ下にある岩に赤ペンキで矢印が書いてあった。
 場所はこのあたりで間違いないようだ。沢の雪がなくなったら踏み跡が見えるのかもしれない。
 富山県条例が解禁(5月16日以降)になってから小窓尾根、もしくは尾根を越えて池ノ谷に入ってみよう。


この大きな岩が小窓尾根への取り付きの目印

 

高巻道から取水口へと戻る

 
 高巻きをせず、白萩川通しに取水口まで降れないかと徒渉点を探したが渡れそうになかった。雪渓を詰めて高巻く。
 12時35分、取水口に戻る。赤谷尾根への取り付きは取水口より200mほど下流にあった。しっかりした踏み跡もあった。
 13時20分、馬場島に戻る。すかさずタクシーの運転手が寄ってくる。客の奪い合いか?


中央雪渓の左の尾根方取り付いた(失敗)

 

タクシーに乗らないかと声をかけられる

 
 解散後、なんとなく気になって馬場島荘のレストランに入った。ラーメンはなく、麺類は山菜そばと山菜うどんだけ。
 山菜そばを注文する。店内のサービスマンは年配の男性。上は白い長袖の下着で下はジャージのズボン。だが、意外に違和感がない。
 山菜そばは普通、漬けた山菜が載っているのに、ここの山菜は天ぷらだった。フキノトウ、コゴミ、アザミ、タラの芽と豪華。薄揚げも載っていてその上にワサビ菜が載っている。700円は安い。


馬場島荘レストランから剱をのぞむ

 

馬場島荘の山菜そば(山菜は揚げたて天ぷら)

 
 空いていたお店がいつのまにかいっぱいになる。気がついてみると嶋田さんがいる。大猫さんに声をかけられる。荒象さんもいたらしい。一緒にいたのはエロホースさんとか。
 ぼーっとしていたのを見られてしまったようだ。もともと緊張感のない男なので、素のまま。しょうがない。