白骨温泉源泉



白骨温泉の源泉にあった野天風呂の3番湯(2008年6月14日撮影)

所在地松本市安曇
白骨温泉 アプローチ国道158号線湯川渡から白骨温泉へ
登山口標高1465m
標   高1980m
片道標高差単純485m
沿面距離上山6.1Km 下山6.7Km
登山日2008年6月14日
天 候晴れ
同行者山岸、長勢、岩城、BOW
コースタイム 白骨温泉8時30分出発(1時間10分)林道終点(2時間)源泉<休憩他3時間25分>
15時5分源泉出発<水平道途中ギョウジャニンニク採取他30分>(2時間35分)白骨温泉
合計9時間40分<休憩他4時間含む>



林道終点からは何でも有りみたいなコース 登りが赤色で降りが青色
 
 昨秋、新雪が積もるゴウド沢を湯川源泉を求めていったりきたりした。2時間半かけても見つからなかった
 2万5千図に載っていた温泉マークが林道終点のすぐ近くだった。だから、よく調べもせずに出発した。実際は地図に載っている温泉マークより、2Kmも上流だった。


スーパー林道から林道に入る(言い回しが変?)
 

入って100mほどにあるゲイト
 
 今回は「前人未湯」という本やネットの情報から、源泉の場所のだいたいの見当はつけてある。硫黄岳から南東の方向に水平距離で700mの地点だ。
 源泉があるのはゴウド沢じゃなく池ノ沢だ。コースはゴウド沢や池の沢を詰めるのではなく、その間の尾根を行く。らしい。


行く手に乗鞍岳の一画の硫黄岳が見える その斜面に青い部分が見える
 
 神通川第二ダムに6時半に待ち合わせる。通勤割引が使えるかどうかが大きい。魚津、婦中町、金沢、八尾から4人が集まった。
 国道41号線を南下して神岡から471号線に入る。今回は長勢号だ。運転しなくてもいいというのはいい。それだけで遠足気分になれる。


その部分を拡大してみるといかにも温泉が噴き出していそうな雰囲気だ
 
 白骨温泉には高崎からの山岸が待っている。8時の約束だったが今回はこちらの方が遅れてしまった。
 林道入口の空き地に車を停めて身支度を終える。8時30分出発。皆、今回は見つかるという(根拠のない)自信に満ちている。


右手に十石山を見ながら行く
 

林道終点にあったナンバーのない3台のバイク
 
 林道の右手に見えるのは十石山のようだ。正面に見えてきたのは硫黄岳あたりだろう。よく見ると山肌の一部が青く(白く)なっている。
 硫黄が吹き出している証拠だ。源泉があるのは、あのあたりのようだ。見た目、思っていたより遠かった。


林道終点からゴウド沢に降りる
 

ゴウド沢と池ノ沢の間の尾根を行く
 
 林道終点からゴウド沢に降りる。降りた対岸に踏み跡が見えた。徒渉してからいったん下流に向かい左岸の尾根に取り付く。
 踏み跡はしっかりしていて今日の探検は楽勝だと思った。これが甘かった。500mほど進んだところで踏み跡が竹藪に消える。


左からの水平道と謎のトンネル
 

トンネルを後に沢を詰めて尾根に出る
 
 右に行っても、左に行っても踏み跡はない。ゴウド沢に降りる事も考えたが、しばらく藪を漕ぐことにする。藪を漕いでいるうちにかすかな踏み跡を見つける。先ほどの踏み跡の続きのようだ。
 藪こぎよりはましという程度の踏み跡が徐々によくなってくる。このまま源泉かと思っていると、いきなり広場に出た。
 左側からの広い水平道が沢を越えて広場を横切り、隧道に突き当たっている。隧道は高さが1m50cmぐらいで入口の鉄の扉には鍵がかかっていた。


行き過ぎたような気がして沢を降ると道が
 

雪渓に出る
 
 広場から先に延びている踏み跡をたどる。踏み跡は沢に入り込み、雪渓も出てきて踏み跡とは言えなくなってくる。出てきた支流は全てカンで方向を決めた。
 雪の残った尾根に出てからはその尾根をたどる。登りすぎたような気がして池の沢方向に降る。降っていくと水平に走っている踏み跡に出た。


雪渓の右側に、麓から眺めた青い地肌の斜面があった 源泉は近い?
 
 この踏み跡を左に300mほどたどると広い雪渓に出た。雪渓の向こう側には林道から見た青い斜面が見える。源泉近くまでたどり着いたようだ。
 雪渓を降って河原に降り立つ。青いシートがいくつも捨てられている。使われていない木枠の升も沢山あった。源泉(湯船)を探す。


捨て去られた人工物が散乱している
 

使われなくなった木の升も沢山埋まっている
 
 河原の中に湯船を見つける。本に載っていたものとはちょっと違うが河原の湯船なんか大雨が降れば一晩で変わる。
 本には3段と書いてあった。縦になったドラム缶みたいなのを入れれば3段だ。湯温を図ってみると1段目が42.4度でちょうどいい。
 2段目は深さは50cmほどあるが、下から水が湧いていてまぜるとぬるい。3段目は30cmほどだったので、出口をせき止めて40cmぐらいにする。


見つけた源泉の野天風呂(1番湯と2番湯) この奥(下)に3番湯
 
 秘湯が好きで山が好きな人にはたまらないコースだろう。だがここはたどり着くのがちょっとむつかしい。
 「前人未湯」にもかなり苦労したような事が書いてあった。途中でフィックスロープにぶら下がった写真も載っていた。今回のコースとは又、違うコースもあるようだ。


入浴の前にまずは腹ごしらえ
 

アマナとギョウジャニンニクとススタケを茹でる
 
 温泉も好きだが乾杯はもっと好き。持ち込んだ材料と途中で摘んできた山菜でつまみを作る。山菜は山で調理するのが一番美味しい。
 最近のトレンドは練り物をボイルド気味に温めて、醤油で味付けしたもの。薩摩揚げ、蒲鉾、厚揚げ、ごぼ天などが安くて美味しい。
 薬味にネギとショウガがあればもっといい。


左から土管型の1番湯とその下の2番湯、そして湯ノ花にまみれた3番湯
 
 覆うものが何もないのが本当の野天風呂。それがここだ。だが今回は一応(?)野郎ばかりじゃないのでタオルで隠す。ちょっと残念。
 それでも湯につかってぼんやりしていれば、目に入ってくるのは白い雪渓と、新緑と、青い空。時間が止まってしまう。金では手に入らない贅沢だ。


登場している骸骨と白骨温泉との因果関係はありません
 


湯温42度の1番湯(最高) 無色透明
 

その下の2番湯は下から水が湧いていた
 
 温泉から上がって近くの探検に出る。本に載っていた湯がひょっとしたら他にあるかもしれないと思ったからだ。
 400mほど先にある滝も気になる。この滝は近づいてみると結構大きい。滝壺は雪渓の下になっていて見えないが落差は20m近くありそうだ。


源泉から約400m上流にあった大滝
 
 右(左岸)の壁はフリーで登れそうだ。左側からも迂回できる。そのまま十石尾根に出れば2005年に開通した平湯乗鞍登山道が使える。
 地図で見ると十石尾根まで1Kmしかない。おまけに藪のない沢歩きだ。稜線から乗鞍スカイラインまで登山道で350m。面白みには欠けるがこちらの方が断然近い。


大滝の落差は約20m
 
 15時5分、源泉を後にした。来た道を戻ったつもりだったが道がきれいすぎる。幅が1mほどもある水平道が続く。
 来た道とは別の道を歩いているのは分かったが何処で間違えたのか分からない。その水平道も鍵のかかったトンネルで行き止まりだった。
 謎は解けた。引湯管が尾根を貫いているのだ。少し戻って雪渓を登り、登山道を左に入る。この道が沢を詰めて出た尾根に続いていた。


帰りの道は何故か立派な水平道
 

その水平道はトンネルで行き止まり 戻る
 
 尾根から沢道を降り、反対側のトンネル入口に降りる。ここから水平道をたどる。来た道を戻った方が安全だが、水平道も気になる。それに歩きやすそうだ。
 所々に引湯管の点検口があり、湯気の出ているところもある。快適に降る。いや降らずに水平に行く。気がついてみると左手の十石山が低く見える。

 林道はもっと低いところを走っているはずだ。GPSで現在の位置を確かめるとやっぱり変なところにいる。
 地図上で水平に戻ってみると白骨温泉から乗鞍への登山道とは600m前で交差していたことになる。気がつかなかった。


戻って少し上にある別の歩道の丸太橋
 

上山に使った沢道に戻る
 
 行き先の分からない水平道を行くか、登山道の交差しているところまでまで戻るか。迷っているとき、下へ降りる踏み後が目に入った。赤符もついている。
 安易にここを降った。これが失敗だった。この踏み跡と赤符は材木の伐採のためのものだったようだ。踏み後はすぐに消えて伐採された斜面を降るはめになってしまった。
 倒された唐松の枝が邪魔で歩きにくい。林道に戻る手前で登山道に合流する。その歩きやすさに600m戻って登山道を降った方がよかったと反省。急がば廻れだった。


水平道から藪を漕いで林道に戻る
 

収穫はギョウジャニンニク、ヨシナ、ウド
 
 白骨温泉へ戻ったのは18時10分だった。楽しみにしていた「泡の湯」にも入れず、富山へと車を走らせる。
 これで山の地形といくつかある源泉への道は分かった。もう間違えることはない。だが次回があれば今度は上から(十石尾根から)かもしれない。


行きは赤色で帰りは青色 全体像が頭に入ってきた 次回は間違えない
 
 帰ってから分かったのだが、湯川源泉は白骨温泉のものじゃなく乗鞍高原温泉のものだった。そしてこの水平道は乗鞍高原へ続いていたのだった。
 あのまま歩いていたら、たどり着いた先で見た湯煙は乗鞍高原温泉のものだ。煙に巻かれたような思いをしたことだろう。←下手な洒落だ


ギョウジャニンニク
 

アマナ
 

ウド