臼越山



半月状に長く延びた臼越山頂上(2008年4月20日)

所在地富山県上市町、立山町
登山口 アプローチ千寿ケ原より称名滝に向かい2.3Km 人津谷出合
登山口標高580m
標   高1421m
標高差単純841m 累積(+)875m 累積(−)34m
沿面距離片道4.6Km
登山日2008年4月20日
天 候曇り
同行者単独
コースタイム 人津谷出合(2時間40分分)臼越山<休憩50分>(1時間25分)人津谷出合
合計4時間55分<休憩50分含む>



稜線から左に行けば七姫山で、登山道がある。 右が臼越山で登山道はない

 
 天候が読めなかったりで、行き先がなかなか決まらなかった日の山行きはたいがいよくない。準備不足だったり、寝不足だったりする。
 今回も真夜中になってようやく人津谷から前大日、早乙女へのコースを思いつく。だが、時間的にすでに手遅れ気味である。


人津谷出合のゲート

 

出合近くは舗装道路を行く

 
 翌日、結局、出発が遅れてしまい、大日岳が遠くなってしまった。車を走らせながら、ふと臼越山を思いつく。登山口が同じだ。
 大日岳に行ってくると言って家を出ていたので、行き先の変更だけでも、と電話を入れる。反応がない。よくみるとバッテリーがあがっていた。今日は、無理は出来ない。


15mほどの区間が崩落

 
 人津谷出合から200mほど下流の七姫平に車を停める。人津谷出合にはクムジュンというレストランがあり、その近くの空き地に車が3台停まっていた。登山者がいるようだ。
 8時42分、人津谷林道のゲートをくぐる。


右側の山が七姫山

 

遠くに見えるのが臼越山

 
 しばらくは舗装道路が続く。途中、崩壊していたところは、幅約20mほどで昨年とあまり変わっていないように思えた。
 少しずつ林道に残雪が現れて来る。取水口でユーターンしてからは林道が川になっていて歩きにくい。
 足を突っ込めば間違いなく濡れてしまうぐらいの水量だ。


雪が堅いと嫌なトラバースになるだろう 今日はキックステップで通過

 
 残雪が多くなってきて林道が分からなくなってくる。5万図じゃなく2万5千図を持ってくればよかったと反省する。左側の斜面に延びる林道を見つけてほっとした。
 標高を稼がない林道だが無理をしないよう林道を行く。昨年七姫山へ登ったのは4月30日だったが、このあたりに雪はなかった。今年は雪が多いのか、10日早いからか。


林道終点

 

七姫山への登山道入口

 
 西斜面になっている林道はきれいに雪で埋まっていた。このトラバースは雪が堅いときは嫌なところだろう。
 キックステップで通ったが、けり込めたのは靴底の半分ぐらい。だが、滑り落ちても擦り傷で済むぐらいで危険と言うほどではない。


振り返って眺める弥陀ヶ原 溶岩台地だったことが解る

 
 せまい沢に出てから林道は右の尾根にジグを切る。小刻みなユーターンが続き、標高1100mあたりで林道は終点となる。
 終点の土手に下がっているトラ縄が登山口の目印になっている。50mほどで稜線に出る。向こう側は上市川水系だ。
 ここから稜線を左にたどれば七姫山で、右にたどると臼越山となる。臼越山へはいったんコルへ降るのがシャクだ。


臼越山への尾根にスノーシューの跡 MSRライトニングだ

 
 コルからの細尾根にスノーシューの跡が残っていた。先週のものか?形から判断するとMSRのライトニングのようだ。


途中一箇所だけ広い尾根があり、降りに気をつけたところ

 
 ガスがかかってきて視界が悪くなる。途中の広尾根は登ってきた方向を頭の中にインプットしておく。
 いい加減な地図しか持ってきていないので頂上までの距離が分からない。右の方に雪面が続いているところで、何故か、ふと、左側が頂上かもしれないと思った。


視界が悪くても頂上である ゆったりと50分を過ごす

 
 11時22分、左にコースを変えて登ってみると頂上だった。長い頂上は砂丘のように大きく湾曲している。
 「富山県山名録」によれば『山頂の小瘤が湾曲した尾根に並ぶ様は、東方の雪見平からは恰も臼歯を思わせる』とある。
 ガスで見通しが悪いが長さは50m以上ありそうだ。毛勝三山から剱岳、大日岳、弥陀ヶ原高原や薬師岳などの展望台とあった。今日は残念。


視界が悪かったので同じ道を戻る

 

うっかり水流の上で雪渓を胸まで踏み抜く

 
 12時12分、頂上を後にする。人情的に弦の先端から降りたくなる。いったん向かいかけたが登ってきた方向と違う。
 戻ってみると方向は思いも寄らぬほど違っていた。登ってきた尾根は南南西で、弦の先端は北北西に長く延びている。
 登ってきたコースは尾根というより稜線の側面でしかない。視界が効かないときに逆方向から(人津谷乗越から)縦走してくると、間違いなくここを直進してしまうだろう。


川と化した林道 だから踏み抜くんだ

 

わだちの跡が2本の川となっている

 
 人津谷乗越まで縦走して人津谷を降る周遊コースも考えていたがやめる。言い残してきた行き先とは違うし、視界も悪く楽しみもない。
 最後のコルから沢を降りて行きたくなったのも我慢する。登るときに見えた沢は何ヶ所かブロック雪崩がおきていた。忠実に来た道を戻る。


フキノトウの雄花 こちらの方が美味しいらしい

 

フキノトウの雌花 当然こちらも食べられる

 
 人津谷出合付近でフキノトウを摘んだ。今年はまだ口にしていない。出がけのものじゃなく、やや大きくなったものを摘む。こちらの方が美味しい。
 意外に知られていないのがフキノトウに雄花と雌花があることだ。葉が大きく柔らかそうなのが雄花で葉が細く堅そうなのが雌花だ。色も違う。
 雄花の方が美味しいと聞くが一緒に茹でてしまうので、未だにその違いは分からない。


人津谷出合に建っているクムジュン
 

コーヒーを飲みながら眺める桂台有料道路
来週は見張りで、終日立っているところだ
 出合に戻ってみるとクムジュンが営業していた。先週の弥陀ヶ原ホテルを思い出し、コーヒーをいただく。下山後のコーヒーは美味しい。

 日はまだ高く、帰る気がしない。窓の外に目をやる。額にかかった絵のように風景は動かない。ガスの中を駆け下りていたときとは違う時間が流れていた。


ログハウスのクムジュン室内

 

コーヒー(400円)