八ッ峰 |
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所在地 | 富山県立山町 | |
登山口 | アプローチ | アルペンルート室堂より |
室堂標高 | 2450m | |
剱岳標高 | 2999m | |
1日目行程 | 8.0Km 累積(+)1,120m 累積(−)965m | |
2日目行程 | 3.8Km 累積(+)725m 累積(−)725m | |
3日目行程 | 7.8Km 累積(+)910m 累積(−)1,070m | |
登山日 | 2008年7月19日〜21日 | |
天 候 | 19日晴れ 20日雨 21日晴れ | |
同行者 | 山岸、文山、長勢、岸、BOW | |
コースタイム |
19日 室堂ターミナル(30分)浄土沢(1時間3分)別山乗越<休憩42分>(1時間10分)長次郎谷出合<休憩40分>(35分)岩屋<休憩40分>(50分)熊ノ岩 合計6時間10分<休憩2時間2分含む> 20日 熊ノ岩(1時間5分)長次郎のコル<休憩25分>(28分)剱岳本峰<休憩17分>(2時間45分)剣山荘 合計5時間<休憩42分含む> 21日 剣山荘(25分)剱沢野営場<休憩1時間10分>(35分)別山乗越<休憩35分>(35分)雷鳥沢野営場<休憩15分>(30分)みくりが池温泉<休憩1時間35分>(15分)室堂ターミナル 合計5時間55分<休憩3時間35分含む> |
7月19日 |
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剱岳の西側にあるのが早月尾根で南側にあるのが別山尾根だ。どちらにも登山道がある。北側には北方稜線があり、こちらには登山道がない。 東側には源次郎尾根と八ッ峰。主稜の近くにあるのが源次郎尾根でこちらは2つのピークがあり、T峰の25mほどの懸垂下降を除けばフリーで登られる尾根だ。 |
その源次郎尾根の北側に長次郎雪渓をはさんで八ッ峰がある。こちらはT峰から八ッ峰の頭まで九つのピークを持つ長大な尾根となっている。 未踏はこの八ッ峰だけだ。この尾根を残したままでは剱岳を語れないような気がして落ち着かない。海の日が月曜日にずれこんた3連休に挑戦する。 |
6時に立山駅に集合。共同装備はテント2張り、30mザイルが2本、スコップが1本だけ。それぞれ分担して持つ。リュックは18Kg。 6時30分のケーブルに乗る。今日は長次郎雪渓の熊ノ岩までなので時間は充分にあり、急がない。 |
玉殿の湧水で水を補給して8時ちょうど、室堂ターミナルを出発する。ゆっくり歩いて浄土沢の橋まで30分。ここから別山乗越まで1時間。18Kgは重い。 剱御前小屋で水分補給(缶ビール)する。いつものお兄さんが笑顔で迎えてくれる。 |
別山乗越からはX・YのコルとX峰が源次郎尾根U峰の陰になって見えないだけで、ほぼ八ッ峰の全景が見わたせる。 明日の今頃はW峰かX峰か。とにかくあの尾根のどこかにいるはずだ。テンションは徐々に上がってくる。 |
平蔵谷雪渓、源次郎尾根取り付きを左に見ながら剱沢を降る。11時25分、長次郎谷出合。別山尾根から1時間10分。昼食とする。 蒲鉾をかじりながら水割りを飲む。ふと、かたわらの岩の上を歩く小さな虫がいることに気づいた。 体長5mmほどしかないのに、よく見ると体の表面に鷹のような絵が見えた。王家の紋章のように...。何という虫だろう。 |
(kenさん、ひとみさん、ありがとう) |
長次郎出合と熊ノ岩の中間に岩屋がある。この岩屋の右の雪渓をたどると八ッ峰のT峰とU峰の間のコルに出る。 雪渓が切れているとさらに右の藪に入ってU峰近くに出る。急な斜面でいやなところらしい。 |
岩室の対岸(長次郎雪渓の右岸)で水を2リットル補充する。リュックは19Kgを越えているはず。重い。 熊ノ岩の下のテン場を右側から巻かずに水が流れている岩場を直登する。右側から点の記の撮影が終わった一団が降りていった。 |
テントを張ってしまえばやることがない。八ッ峰を眺めながらテント宴会を始める。早月尾根からやってきたという4人パーティーが横でテントを張った。 明日は源次郎尾根をやると言っている。最後は真砂沢から黒部ダムに抜けるという、富山県に住む者には思いつかない面白いコースだ。 |
7月20日 |
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シュラフカバー無しでシュラフは夏用。寒かったら起きていればいいと嘘ぶいていたが、10時半に目が覚めてから本当に眠られない。寒い。 フライシートのない2人用のテントだからなおさらかもしれない。横向きになると少しは寒さが和らぐような気がするがすぐに疲れる。寝返りを打ちながら朝を待つ。 |
3時半、我慢できずにストーブに火をつけて長勢をおこしてしまう。4人パーティーも起き出したようだ。夜明けは近いので長勢も勘弁してくれるだろう。 2時頃から降り出した雨はあがっていた。だが、星は見えない。寝不足なだけではなく気分は最悪。限りなく沈んでいく。 |
夜が明けてからも雨は降ったりやんだりだ。1峰から頭まで全部やるのは無理となる。下半だけか?それもと上半だけか。 午前10時。どちらのチャンスもなくなった。長次郎の雪渓に留まる意味もなく、テントを撤収。剱沢か雷鳥沢のテン場に戻って宴会のやり直しだ。 |
ガスのかかった長次郎の雪渓を登る。視界が効かないと雪渓といえども方向を間違える。広い雪渓はなおさらだろう。(帰ってからGPSを見ると剱岳本峰に向かっていた) 高さ10mほどのクレパスに遭遇する。垂直の壁は登れない。左に繋がっているところが見えたので偵察に行く。その次のクレパスは完全に切れてしまっていた。 両側が切れ落ちた幅5mほどの雪渓を右にトラバースする。足に合わずに(新しい靴に合わせていなかった)2回もはずれたアイゼンが信頼できない。ピッケルもリュックにくくりつけたまま。滑り落ちたら高さ10mのクレパスだ。嫌なトラバースだった。 |
トラバースを終え、長次郎のコルに向かう。斜度もゆるみ怖いところはなくなった。コルに出て一安心する。 北方稜線と言ってもここから本峰までは危険なところはない。岩場をたどり、12時53分、剱岳本峰に立つ。 |
雨は降ったりやんだりでゆっくりしている気分ではない。文山の作った水割りを少しもらい、行動食をとる。 13時10分、本峰頂上をあとにする。重いリュックは降りも辛い。蟹のヨコバイを降り、ハシゴ場を降って平蔵のコルに降り立つ。 |
降ったりやんだりしていた雨が剣山荘手前で本降りとなった。剣山荘に飛び込んだらもう、テントを張る気力がなくなっていた。 長勢はテントを張ると言ってテン場に向かった。2人用テントで1人なら、濡れたものを乾かすスペースもあるだろう。 |
畳1枚に1人というのも泊まる気になった理由だった。実際に5畳の部屋に5人で個室対応だった。食料は売るほどあるので素泊まり(6000円)とする。 シャワーで汗を流し、部屋でゆったりと宴会を始める。今日は温かく眠られそうだ。 |
下に「とやま山歩記」のファンがいるよと言って部屋を追い出された。べろべろの酔っぱらいがいたら布団が引けないと思ったからだと言う。(悪かったね) 売店前にいたのは群馬からの市川さん。山岸と同郷だ。再び群馬の山で出会うかもしれない。山には人を結びつけていく不思議な力がある。 |
7月21日 |
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朝食はインスタントラーメン。他にも食べるものは沢山あるが食欲がない。自炊用のテーブルでストーブを使う。 素泊まりは我々だけだったようだ。「点の記」の撮影で仲村トオルが泊まっていたらしいが顔を見ることはなかった。 |
キャンプ場で長勢と合流、と思ったらいっしょにいたのは元サンの奥さんだった。剱沢でテントを張っていて昨日は長勢と宴会だったらしい。 元さんは1人で剱岳に向かっているとのこと。街で会えない人とも山でなら会える。山は面白い。 |
急がなければならないことは何もない。天気もいい。ゆったりとくつろぐ。キャンプ場にあった大きな岩でボルダリング大会が始まった。 四方八方から取り付いてみる。登れたと言って喜び、落ちたと言って悔しがる。まるで子供の世界だ。 |
剱御前小屋の前で「点の記」の撮影隊とぶつかった。BOWが記念撮影をお願いした松田龍平はかっこいいと思ってしまった。 写真を撮られるとき、サングラスをはずしたのにもプロ意識を感じた。話は変わるが写真は撮られたら負けだと言うことが、最近、よく解った。特にBOWには... |
重いリュックを背負い雷鳥沢を降る。雷鳥沢キャンプ場で一休み。地獄谷を経由してみくりが池まで戻る。 ここで解散して帰る者とみくりが池温泉に寄る者と別れた。小屋の前でゆったりした時間を過ごす。 |
いったい何個食べればいいんだ〜 |
みくりが池温泉は以前は山小屋だった。いまはちょっとしたホテルのようだ。山小屋風(?)のレストランはいい感じだし、喫茶も売店も明るい。 みくりが池温泉名物の「閻魔様の黒たまご」には笑ってしまった。半熟気味の熱々たまごは100円で手頃。ついつられてしまった。罪が軽くなるというのが面白い。 |