阿弥陀山



阿弥陀山からのぞむ烏帽子岳 遠くに鉾ヶ岳と権現岳

所在地糸魚川市
焼山温泉 アプローチ糸魚川市の早川を上り焼山温泉から林道をたどる
登山口標高520m
標  高1511m
標高差単純990m
沿面距離片道5.1Km
登山日2009年3月21日
天 候快晴
同行者文山、長勢、岩城
コースタイム 林道分岐点(1時間)昼闇谷(50分)林道横断(1時間45分)阿弥陀山コル<休憩50分>(35分)阿弥陀山<休憩55分>(1時間35分)昼闇谷(35分)林道分岐
合計8時間7分<休憩1時間45分含む>



駐車場所から阿弥陀山までの5.1Km(五万図)
 

吉尾平から阿弥陀山右の雪渓を直登して裏の雪渓から回り込む(2万5千図)
地図では分かりにくいが下(南側)のラインが登りの尾根筋で上のラインが降りの沢筋

 前回(3月7日)吉尾平までしか行けなかった阿弥陀山に文山と岩城を加えて4人で再アタック。国道8号線を右折して早川に入るとすぐに左に鉾ヶ岳、中央に火打、焼山、昼闇、右に烏帽子岳が見えてくる。


国道8号線を右折して早川を上る
左から火打山、焼山、昼闇山、前烏帽子岳、烏帽子岳

 奥行きのない早川を馬蹄形に囲んだこれらの山々は標高が低いのに雪深く、切り立った岩壁を持ち、興味深い山域となっている。
 2007年に放山、2008年に昼闇山を登ったとき眺めた烏帽子岳と阿弥陀山が妙に気になる山として記憶に残っていた。
 テントを担いで高松山から烏帽子岳まで周遊する計画を立てたほどだった。


昼闇谷から阿弥陀山南峰、阿弥陀山北峰(本峰)、烏帽子岳をのぞむ
 
 焼山温泉への橋を渡ってすぐに左折し、鉄柱だけが残った焼山温泉スキー所跡を通り抜けて林道を進む。
 工事現場手前の広場に車を停め、7時43分、出発。途中から雪道となるが、凍った雪は硬く、つぼ足のままで行く。


昼闇谷へと降る
 

昼闇谷に残っていたスノーブリッジ
 
 昼闇谷は前回とは違ったところに(下流に)スノーブリッジが残っていてそれを渡る。次の西尾野川支流は前回のスノーブリッジがなくなっていて、上流へと徒渉箇所を探す。
 途中、ピッケルでステップを切って河原に降り立ってみたが河原の石は全て凍ってつるつるだった。飛び移るのは無理。


吉尾平からのぞむ烏帽子岳は錫杖岳に似た前衛峰を持っていた
 
 次の落合のところで2つの谷が雪で埋まっていた。そこを渡り吉尾平へと出る。ブナの木が一定の高さでスッパリ切れているのは表層雪崩でやられたに違いない。
 その後に生えてきたブナの木がやられたブナの木と同じ太さにまで育っているので不思議な風景となっている。


表層雪崩(多分)にやられたブナ林
 
 

 吉尾平から阿弥陀山、もしくは烏帽子岳を攻めるとしたら? 見た目、ルートは一本しかない。
 阿弥陀山と烏帽子岳の間の雪渓を詰めてコルに出る。それから稜線をたどって頂に立つ。それしか考えられない。


左に鉢山をながめ
 

正面に阿弥陀山を眺めながら行く
 

標高を上げると昼闇山が見えてくる
 

鉢山も真横に見えてくる
 

阿弥陀山と烏帽子岳の間の雪渓を行く
 
 これは個人的な感覚もしれないが沢筋はどうも気がすすまない。特に未知の降りはイヤだ。(焼岳の黒谷の降りは不安だった)
 沢筋を行く皆と離れて尾根筋を行く。目の前に迫ってくる大きな岩を目指す。


皆と少し離れて尾根筋を行き大岩を目指す
 

大岩を右側から巻いたところ
 
 大きな岩を回り込んで、岩の上に出る。この急な登りが日陰で堅く、MSRの爪だけでは不安だった。こういう斜面にストックは限りなく頼りにならない。
 回り込んで出た尾根は視界もよく快適だった。左に見える阿弥陀山南峰との間の雪渓はデブリで酷い。あれに巻き込まれたら助からないだろう。


阿弥陀山南峰との間の雪渓はデブリが酷い
 

このデブリに巻き込まれたらヤバイかも... 遠くは鉢山
 

雪渓中央を行く長勢
 

烏帽子岳前衛峰は雪渓の陰に消えていく 遠くは鉾ヶ岳、権現岳
 

阿弥陀山主稜尾根を行く 眼下に広がる吉尾平
 
 コルに出てアイゼンに履き替えた。ここから裏の雪渓に回り込んで頂上をねらう。斜度は45度前後か?見た感じ、ほとんど壁だ。
 長勢がクレパスを利用して右の尾根に回り込み、尾根から頂上をねらおうとする。だが引き返してきた。
 ヒドンクレパスが深そうで危ないらしい。雪渓の直登を選ぶ。


阿弥陀山南峰
 

烏帽子岳の名前の由来が理解できた
 

昼闇山と鉢山
 

コル手前の岩の下
 

コルから右に回り込んで頂上北側の雪渓を直登する
 
 雪面はそれほど堅くなくキックステップが気持ちよくきまる。逆にピッケルがスカスカであてに出来そうもない。
 登り切った尾根は裏がスッパリ切れたナイフリッジだった。またいでみたが右側と左側の雪質がまったく違う。歩きにくい。左斜面のトラバースに変えた。


頂上手前の切り立った雪陵を行く岩城 バックは火打山と焼山
 
 この雪陵のすぐ先が頂上だった。阿弥陀山を攻め落とす。他の山にはない、ちょっとした快感を味わう。
 大げさだが自分たちでコースを見つけ、自分たちの技術で頂上に立つ。これは山の醍醐味の中でも最大級のものだと思う。


阿弥陀山頂上からのぞむ火打山、焼山、昼闇山、鉢山
 

阿弥陀山頂上からのぞむ雨飾山、鋸岳、鬼ヶ面山、頸城駒ケ岳
 
 その頂上は360度のパノラマで北に日本海、南に火打から焼山、雨飾、頸城駒。遠くに唐松から朝日岳までが見渡せる。しばらく時間を忘れた。
 長勢が一本しかないビールをちびちび飲みながら「美味い−!」と叫んでいる。美味いビールを飲むためには、大変な思いをしなければいけないようだ。


阿弥陀山頂上で昼食
 

頂上には平らなところがなかった
 

帰りは北側から雪渓を降る
 
 帰りは西側の尾根から雪渓に飛び込む。急な斜面は怖じ気づくとかえって危ない。腰が引けて斜面に垂直に立てなくなるからだ。
 思い切って踏み込んだ方が安全なのだが、知識と実践は違う。慣れるしかないだろう。


急な斜面は果敢に攻めないとかえって危険
 
 雪崩の心配もなさそうなので沢筋から一気に降る。尾根筋の降りは滑落したとき、どちらに落ちるか分からないのでちょっと不安な面もある。
 吉尾平に降り立ってからは、ただ降るだけとなった。もう危険なところはない。退屈な歩きが待っているだけだった。


吉尾平のブナ林を降る もう危険な所はない
 
 15時50分、駐車場所。各自の都合もあり、焼山温泉にも笹倉温泉にも入らず、糸魚川インターへと急ぐ。
 車の運転をしなくてもいい約2名が車中、缶ビールで乾杯していた...うっ、うまそう...