大明神山



予想通り、大明神沢は落石の巣(2009年6月2日撮影)

所在地魚津市
登山口 アプローチ片貝山荘先で阿部木谷に入り左岸に渡ったところ
登山口標高870m
標   高2082m
標高差単純1212m
沿面距離片道4.3Km
登山日2009年6月2日
天 候晴れ
同行者単独
コースタイム 7時50分阿部木谷広場(25分)最終堰堤(30分)大明神沢出合(55分)コル(35分)大明神山頂上<休憩1時間45分>(20分)コル(30分)大明神沢出合(25分)最終堰堤(25分)阿部木谷広場14時35分
合計6時間45分<休憩1時間45分含む>



阿部木谷を左岸に渡った広場に車を停める
 

大明神沢を途中から右の雪渓に折れ、そのあと左の雪渓に折れる
 
 昨年、大明神山に片貝第四発電所の尾根から登ろうとして、第二発電所から歩いた。
 導水管から上のイバラの藪漕ぎがイヤになって、結果、山菜採りに終わってしまった...未登のままで気になっていた山だ。


高速を降りて片貝川を上る 目の前に毛勝山と大明神山
 
 6時過ぎ、家を出て、富山インターから高速に入る。時速80Kmのトラックの後に続く。一番燃費のいい速度らしい。
 魚津インターで降りて片貝川をのぼる。前方に見える毛勝三山がかっこいい。見えているのは毛勝山と大明神山だろう。


片貝川の堰堤の上を渡る
 

渡りきった左岸の広場に車を停める
 
 片貝山荘の先で右に折れて橋を渡る。「工事関係者以外立入禁止」の看板。「発破時間が云々」という看板まであったような...
 見なかった事(見えなかった事)にしよう。
 片貝川の右岸から堰堤の上を左岸に渡った先は除雪されていなかった。広場に車を停めて7時50分、出発する。


片貝川最終堰堤
 

堰堤の上のゴーロ帯
 
 荒れて灌木の生えた林道を行く。25分で最終堰堤に到着。堰堤を右から巻いてゴーロ帯に出る。
 いつもはゴーロ帯を数十メートル行った先は雪渓だった。が、今回は普通に川だった。時期が遅いのか?雪が少ないのか?


いつもは雪渓だったところが川に...雪が少ないのか時期が遅いのか?
 
 靴を濡らす事なく雪渓までたどり着く。雪融けが進んだ帰りの(午後の)水量がちょっと気になるが、帰りなら濡れてもいいか?
 8時45分、大明神沢出合に着く。左に行けば毛勝山。今日は右の大明神沢に入る。


左が毛勝谷で右が大明神沢
 

出合より望む左側の毛勝谷
 

出合より望む右側の大明神沢
 
 大明神沢を下から見ると、左側の真っ白な沢が上部で繋がっているように見える。茶色く染まった大明神沢より安全そうだ。
 だが、上部で合流している沢なんかあり得ない。右の真っ茶色の大明神沢を選ぶ。


大明神沢を行く 中央右のブラインドの沢が主大明神沢
 
 大明神沢には人の大きさぐらいある落石が沢山転がっていた。雪面がまったく見えない。
 この雪渓の右端に落石の少ないところが幅3mほどで続いていた。ここに回り込む。
 真っ直ぐに詰めている雪渓の中央は茶色く染まっている。安全そうな右の沢に逃げる。


大明神沢は予想通りの落石の巣となっていた
 
 右の沢を詰めていくとあと少しと言うところで3本に分岐していた。右の沢は頂上に向かって突き上げていて最短だ。だが、急すぎる。
 真ん中の沢は頂上に近いが上部が岩場となっている。一番遠い左の沢はコルまで綺麗に雪渓が繋がっている。安全策を採る。


落石の巣を右側から巻いて右の沢に逃げる
 

右の沢から比較的なだらかな左の沢に折れる
 
 尾根を登るのは簡単だ。尾根は収束していくので高いところへ向かえばいい。だが、沢の登りは違う。沢はどんどん分岐していくからだ。
 視界が効かないことも沢の登りを難しくしている。大きさだけで主沢と支沢の判断が出来ないこともある。読図だけでは判断できない現場での勘のようなものも必用だ。


振り返ると大明神沢の彼方に僧ケ岳と駒ケ岳
 

右手に大明神山 雪渓の斜度は40度?
 
 コル直前で斜度は最大となる。滑ったら止められる自信はない。こちらの沢にも落石は中央部に帯のように溜まっていて危険だ。アイゼンを二度蹴りしてステップを切りながら行く。


大明神山に直接突き上げている沢は登れるかもしれないが
多分、まともには降れない。足スキーは無理だろう

 選んだ沢は間違いなかったようだ。一番右の頂上に突き上げている沢はちょっとしたミスで滑落は避けられそうもない。
 次の沢は稜線近くがもろい岩場となっていて、越えるのが難しそうだ。左側の沢は落石の巣だった。


大明神沢を登り切り、コルから僧ケ岳、駒ケ岳をのぞむ ホッとした瞬間
 
 コルに着いた瞬間、嬉しいのは登り切ったという安堵感と共に、いきなり目の前に広がる景色の素晴らしさだろう。
 稜線まで登らないと見えない山々。来てよかったと思う瞬間だ。


コルから大明神山への稜線
 

雪渓に乗るのは怖く、藪を行く
 
 コルから右に折れ、大明神山に向かう。拾えるところは雪渓の上を行くが、雪渓ごと落ちそうな所は稜線の藪を行く。
 単独の場合、出来るかぎりの安全策を採るようにしている。アンラッキーな事故は避けられないが、不注意なミスは極力避ける。


緊張の連続から解放された後のなだらかな頂上は優しさでいっぱい。
 
 大明神山の頂上は細長くてはっきりしない。向かうときは最西端が頂上に見えたが振り向くと今来たところがこちらよりより高く見えた。


剱岳、剱御前、浄土山、奥大日岳、大日岳 手前は東芦見尾根で中央付近が大猫山
 
 南側に剱岳、別山、剱御前山、浄土山、大日連山、鍬崎山とそうそうたる山々が連なる。
 どの山からも大明神山が見えていた。今、その大明神山からそれぞれの山々を眺めている。ちょっと妙な気分だ。


チシマザサ(クマザサ)に覆われた三等三角点
 

ちょっとだけ廻りをクリーニング
 
 大明神山の三角点は意外に簡単に見つかった。笹藪に囲まれてうっとうしそうだったのでナイフで少し廻りを刈り開けた。
 次の登山者には簡単に見つけてもらえるだろう。


ほぼ富山湾の全域が見渡せる
 

1時間45分の大休憩(寝てしまった)後、下山開始
 
 缶ビールを雪で冷やして乾杯。ラーメンとおにぎりで昼食。そのまま笹藪で寝てしまった。
 顔がヒリヒリして目が覚める。日焼け対策を何もしていなかった...まっいいか。女じゃない、男だし...
 13時丁度、頂上をあとにする。


急斜面の足スキーは思い切りと残置体力が必用
ちょっとでも迷ったらやめた方がいい 危険だ

 大明神沢コルからの降りに足スキーを使う。グリセードと違うのはピッケルで補助的なバランスを取らずに、登山靴だけでスキーのように滑り降りるところだ。
 慣れるとスキーのように左右にターン出来る。足を真横にしてストップするのもスキーと同じだ。


落石の巣を通過して、今日の山行きの成功を確信する
 
 落石の巣の沢を駆け下り、今日の登山が無事終わったことを確信する。落石の音はいくつもあったが大きなものは無かった。
 大明神山は阿部木谷の下流が徒渉になる可能性はあるが、落石が落ち着いた今の時期が旬かもしれない。


なだらかな阿部木谷を降る
 

水量は思ったほど増えていなかった
 
 槍ヶ岳、早月尾根に続いてこの日も完全単独。誰にも会わなかった。平日の山とはこんなものか?
 これからこんな山行きが増えそうだ。


林道を歩きながら阿部木谷を振り返る
 

キクザキイチゲ