富士ノ折立(丸山尾根)



(2010年8月27日撮影)

所在地富山県立山町
室堂登山口 アプローチアルペンルート室堂
登山口標高2430m
富士ノ折立標高2999m
標高差累積(+)1050m 累積(−)1050m
沿面距離8.8Km
登山日2010年8月27日
天 候晴れ
同行者中嶋
コースタイム  室堂(1時間40分)真砂岳鞍部<休憩15分>(55分)丸山尾根<休憩20分>(1時間25分)富士ノ折立(30分)雄山<休憩40分>(55分)室堂
合計6時間40分<休憩1時間15分含む>


 剱岳南壁に続いて中嶋と富士ノ折立東陵に行く。平日にも休日がある中嶋とはこれからもザイルを結ぶ事が多くなりそうだ。
 富士ノ折立東陵は前年、内蔵助山荘から眺めただけで諦めた尾根だ。風が強く、時々ガスで覆われることも多く、単独で行くにはリスクが多過ぎた。


ボッカ道から登ってそのまま内蔵助沢へ降り、丸山尾根へ取り付く
 

富士ノ折立鞍部から裏へは雪渓を降る
地図によっては点線の登山道が記されている

 登攀用具と30m×8.6mmザイルを持ち込む。クライミングシューズは持ち込まず、登山靴で登る。
 室堂にある立山自然保護センターで渋谷さん(「愛山記」の著者)から情報を仕入れる。山岳警備隊の木村隊員(朝日岳でいっしょになった)にも偶然会って話しを聞いた。が、彼からは特にコメントはなかった。


ボッカ道の終点近く 富士ノ折立から降りてくる登山者が見える
 
 登りは富士ノ折立と真砂岳の鞍部に一番近いボッカ道を使わせてもらう。距離的にも標高差もこれが一番近い。
 こんな便利な道を一部の人達だけに解放しているのは不公平だと思う。関係者以外立入禁止の看板にも誰が関係者か書いてない。
 「私は山が好きな山の関係者だ」と言ってしまえば、それはそれで通るような気がする。


ボッカ道終点から富士ノ折立をのぞむ
 

内蔵助谷側へと雪渓を降る
 
 10時30分、稜線に出る。その鞍部で15分ほど休憩を取る。ここから直接、内蔵助カールへ降る登山道が点線で書かれている地図もある。
 今回は雪渓がびっしりと残っていて登山道は見えなかった。この雪渓の降りで中嶋がびびっていた。平蔵谷のガレ場といい、どうも降りが苦手なようだ。


内蔵助山荘よりのぞむ丸山尾根(2009年9月11日撮影)
 

同じく内蔵助山荘よりのぞむ丸山尾根核心部(2009年9月11日撮影)
 
 昨年、内蔵助山荘から眺めた富士ノ折立丸山尾根。20m×8mmのザイルを持ち込んだが単独でのリスクが大きすぎると感じた。
 風が強く、天候が安定していなかった事もあった。ガスがかかっている事が多かったのも嫌だった。要するにびびったのだった。


小屋の跡の石垣
 

石垣の内側にあった五右衛門風呂の釜
 
 内蔵助カールの底には石垣の跡があり、五右衛門風呂の釜まで残っていた。ここに山小屋があったようだ。
 今の内蔵助山荘が以前建っていたところかもしれない。どう見ても雪崩をまともに受けそうなところだ。


丸山尾根から望む富士ノ折立〜真砂岳の稜線
 

丸山尾根からの最初の壁
 
 小屋跡から丸山尾根の鞍部に直接登る。ガレ場だが崩れる事もなく意外に簡単に登る事が出来た。
 内蔵助沢の登山道は下の方で丸山尾根近くを通っているが登攀の対象にはならないような尾根だ。このルートが近くていちばんいいと思う。


丸山尾根からも黒部湖が見えた
 

左に見えるのは雄山東面の第4尾根
 
 丸山尾根の稜線に出ると後立山連峰のスバリ岳や針木岳、眼下には黒部湖をのぞむ事が出来た。
 小休止を入れ、ハーネスなど登攀用具を装着する。必用ないかもしれないが念のため。核心部でやっている暇はない。


こういうピークは登ったら降りなきゃいけないので巻く 問題はどちらから巻くか?
 

細いリッジを行く中嶋
 

自分たちでルートを探すだけでも楽しい
 
 ほとんど情報がないので、自分たちでルートを探る。切り立ったピークは登らず、巻き道を探す。
 探すと行っても右か左かの2択でしかない。行ってみてだめなら戻ればいい。


このピークは右から巻いた 正解だったかもしれない
 
 リュックを置いて偵察に行った事が1回あっただけで、行き詰まって戻った事はなかった。
 運がよかったのか、どちらからでも登れたのかは不明。次回があったら両方から試してみたい。


(リュックを置いて)左から巻けるか偵察に行く
 

V級前後の岩場が続き
 

ザイルは出さずに行く
 
 ところどころに古いハーケンが残っていたが、ザイルを出すほどでもなくフリーで行く。
 頂上まで行けば一般ルートがあるというのは、降りの心配をしなくていいということなので精神的にも楽だ。


横からは見えなかった狭いガリー
 

視界が効かなかったのがちょっと残念
 

あまり人が来ていないのは
 

岩肌の感触で解る (ざらざらしている)
 

行ってみないと先が分からないのが面白い
 
 真砂岳付近から見えていた最後のキレットが核心部だった。取り付きの右側は真砂沢カールに向かって狭いガリーが落ちている。
 そのガリーを少し降ったところから延びているチムニーは途中でかぶっていて危険な匂いがする。
 選んだのは、鞍部からカチしかないホールドと靴のフリクションだけでスラブを右上へ斜上するコース。


富士ノ折立ドームのスラブはホールドが危うい核心部(W級)
 
 ここで落ちたら右側の狭いガリーをどこまで転がって行くのだろう、などとちょっと考えてしまった。
 最後は右手で持っていたアンダー気味のホールドを左手に持ち替えてスラブを乗り切る。


ドームの確保地点にあったハーケンとスリング
 

こちらも怖くて使う気がしなかった
 
 


ドームを登り切れば富士ノ折立はすぐそこに
 
 


ギャラリーはいませんでした(^_^;)
 

雄山神社社務所の前で浮いている中嶋
 
 


雄山神社東側のこの短い尾根も面白そう
 

浄土山西側のこの岩壁も面白そう
 
 


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