戸田峰 |
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所在地 | 富山市八尾町 | |
小井波峠 登山口 |
アプローチ | 八尾町から黒瀬谷をのぼり桐谷集落から小井波峠へ |
登山口標高 | 492m | |
標 高 | 1227m | |
標高差 | 単純725m 累積(+)870m 累積(−)135m | |
沿面距離 | 片道6Km | |
登山日 | 2010年2月21日 | |
天 候 | 晴れ | |
同行者 | 単独 | |
コースタイム |
小井波峠(2時間25分)874mピーク(1時間30分)1002mピーク(1時間55分)戸田峰頂上<昼食休憩25分> 戸田峰頂上(55分)1002mピーク(55分)874mピーク(1時間10分)小井波峠 合計9時間15分<休憩25分含む> |
めずらしく、前日に行き先を決めていた。単独で行ってみたかった戸田峰だ。 ここ数日、降雪があったので条件はそれほどいいとは言えない。だが、条件を選んでばかりもいられない。 |
5時半にセットした目覚ましに反応できず、起きたのが7時。簡単な朝食を作って食べ、パッキングを終えて家を出たのが7時45分。 相変わらず学習能力がない。小井波峠に車を停め、身支度を終えて出発したのは8時30分だった。ちょっと遅い。かな? |
道路から除雪の壁を越えて林道に出るのが最初の難関だった。やや湿雪気味の雪を踏みしめて林道をたどる。 距離が長いので頂上までラッセル出来て時間内に戻れるペースをイメージしながら行く。 |
蛇行している林道に嫌気がさして尾根に向かう。雪崩止めの段差に苦しみながらも尾根に出る。 尾根に出てから軽いアップダウンが続き高度を稼げない。もう少し林道をたどった方がよかったようだ。 |
鞍部から登りが始まる。雪質は軽いが膝のラッセル。874mのピークに出る。以前、浜治が尾根を間違えて桐谷ダムへ降りてしまったところだ。両手、両足を擦り傷だらけにしていた。 上から降りてきて真っ直ぐ行ってしまうとアウト。正しい尾根は左に直角に曲がらないといけない。そちらに赤布をつける。 |
気温が上がり、枝にたっぷり積もった雪が爆弾のように落ちてくる。一度だけ直撃されそうになったが、バックステップで避けた。 もともと視界の効かない杉林と雪が積もった広葉樹林で廻りの山は見えない。広尾根、広いピークが多く、その都度微妙にコースが変わる。GPSで現在地を確認しながら慎重に方向を決める。 |
時々、木々の間から左に見える山が戸田峰らしい。歩いているのに頂上に近づいている気がしない。 時間は13時を廻った。頂上に届くのか? とりあえず14時まで、行けるところまで行くと決めた。 |
大きく左に回り込んで、ようやく頂上を進行方向に捕らえる。精神的にはこの方がいい。頂上も見えてきた。行けそうだ。 ところが頂上だと思ったのは手前のピークだった。よくあることだが、今日はダメージ大きい。 |
時間はタイムリミットとして決めていた14時。疲れた体でラストスパートをかけたので心臓がバクバクいっている。 ここを最高到達地点として引き返す理由は充分にある。気持ちが負けそうになる。 |
99の苦労をして、あとひとつで物事が達成する場合、そのひとつが困難なときどうするか? 99の苦労を無にするか、99の苦労を実らせるために頑張るか? |
エベレスト登山などで、関係者の協力を得、日本から数ヶ月をかけ、膨大な資金と労力をかけ、もう少しで登頂できるという時、天候が悪化するからといって撤退するだろうか? 行ってしまうかもしれない。 スケールは違うがそんなイメージだ。 |
頂上付近の木の大きさから判断すると30分以内に行けそうな気がする。頂上で14時半。 引き返そうと思っていたのに足が頂上に向かいだした。気持ちと関係なく体が勝手に動いている。 半分やけくそ。帰りはヘッデン覚悟。気持ちを切り替える。 |
14時20分、頂上に立つ。すぐに戻らないといけないのだが、シャリバテ気味で登山口まで持ちそうもない。 すぐにお湯を沸かしカップ麺を作る。食べるものはそれしかない。麺を食べながら降りの水を作った。 |
単独の場合の降りでは登りのトレースは使いにくい。トレースというより並んで開いている穴でしかない。歩幅も合わない。 急なところは新雪に飛び込んだ方が早いし楽だ。だが、なだらかなところがやっかいだ。 新雪をラッセルする気にもならないので、穴に足を突っ込んだり、穴以外の所を踏みつけながら降る。 登り返しはさらに歩幅が合わない。単独行は帰りも半分ラッセルみたいなものだ。 |
帰るべきか悩んだところ。その時の時間はタイムリミットの14時だった。 |
874mピークから降ったあとの尾根歩きがアップダウンが続き、標高を下げない。降りなのに歩くのが本当に嫌になった。 途中に木に書かれた矢印があった。林道に降りるコースかもしれない。だが、谷まで降るコースだったら体力も時間も足りない。安全を期して登りに使ったアップダウンのトレースをたどる。 |
子供の頃、長屋の隣のご主人が亡くなった事故があった。山に入って吹雪に遭い、家(大津山)まで戻れなかったのだろう。 なんとかラッセルを続けて、国道41号線沿いの茂住集落まで降りた。そこで雪の壁にもたれて座ったまま亡くなっていた。 民家のあるところまで降りて安心したのだろうか?ちょっと一休みのつもりで腰をおろしてそのまま眠ってしまったのだと思う。 せっかくそこまで降りたのに寝てしまうなんて馬鹿だと思ったが、今ならその気持ちが、なんとなく解る。 |
薄暗くなって小井波峠まで戻る。相変わらず携帯は圏外だ。急いで車を走らせて電波の届くところまで戻り、連絡を入れる。 心配しているかと思ったのだが「どうしたの?」みたいな返事。「いや、別に...」で電話を切った。 我が家には山の知識というか常識みたいなものが欠落しているような気がした。(近くの山なのに暗くなっても戻らない=何かあったかもしれない)という発想はないらしい。 |