剱岳南壁(A2稜) |
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所在地 | 黒部市、上市町 | |
室堂〜剱岳 | 室堂標高 | 2430m | 剱岳標高 | 2999m |
剱沢テン場標高 | 2520m | 延面距離 | 初日4.2km 2日目13.5km |
本峰南壁A2登高差 | 150m | |
登高日 | 2010年8月23日 | |
天 候 | 晴れ | |
ザイルパートナー | 中嶋 | |
コースタイム |
室堂(30分)雷鳥平(1時間30分)別山乗越<休憩17分>(23分)剱沢テン場 剱沢テン場(2時間30分)南壁取付<登攀準備他1時間>(2時間)剱岳本峰<休憩20分>(1時間50分)剣山荘<休憩15分>(30分)テン場<テント撤収40分>(40分)別山乗越<休憩35分>(1時間50分)室堂 |
中嶋から剱岳南壁の誘いがはいる。ネットでは情報が少ないとの事で立山駅裏にある登山研修所で聞いてみた。 研修所の所長が書籍のコピーまで取ってくれて色々教えてくれた。ありがとうございます。 |
8月22日 |
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13時30分に(立山駅の)仕事を終えて50分のケーブルに乗る。仕事を終えてから20分以内にケーブルに乗る事が出来る職場はそんなに多くないだろう。羨ましいでしょう?(自慢話ではありません) ちなみに「自慢じゃないが...で始まる話のほとんどは自慢話である」と、ある本(名前は忘れた)に書いてあった。気をつけよう。 |
剱沢までなので急がない。室堂でゆったりとくつろぎ、15時15分出発。みくりが池から地獄谷を経由して雷鳥平へ向かう。 雷鳥平を雷鳥沢と呼んでいる人が多いが正しくは雷鳥平である。流れている沢は浄土沢。 雷鳥沢は別山乗越から浄土沢へ流れ落ちている沢である。雷鳥沢は沢の名はついているが水流は見た事がない。 |
雷鳥沢の登りで文さんとすれ違う。文さんとは今朝、立山駅で顔を合わせている。 トレーニングだと言っていたが平蔵のコルまで行ってきたらしい。「頂上まで行けたかもしれないが無理はしなかった」と... |
17時15分、別山乗越に到着。室堂から2時間。テント一式とザイルやガチャ類を背負ってならそんなものか? 夕日に映える剱岳がいい。頂上のやや右に見えるのがA1稜で、やや左に見えるのがA2稜だ。 17時55分、剱沢のテン場に到着。明るいうちにテントを張る。テン泊には、もれなくついている小宴会。飲み過ぎませんように... |
8月23日 |
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酒を飲んだら、いつ寝たのか記憶がないのはいつもの事。0時半頃に寒さで目が覚める。8月だからシュラフ1枚でいいと思っていたのがあまかった。シュラフが薄過ぎた。 テント内に風を感じる。結局、寒さで朝まで眠られなかった。自由に動く事も出来ず、長い夜だった。 |
3時半頃から外が騒がしくなってきた。ストーブに火をつけてテント内を温める。風が入ってきていたのはテントの上の風穴からだった。 早く起きたわりに、テン場出発が5時30分。モタモタし過ぎか? |
剣山荘前で小松の三井に会う。2泊で八ッ峰の下半と上半を単独でやってきたと言う。彼女は、やっぱり、すごい。 剣山荘からはダラダラと歩いて7時50分、平蔵のコルに到着。剱岳の別山尾根は往路と復路に別れている。それらは全て右側通行になっている。気がつかなかった。 |
A2取り付きには分かりやすいテラスがある。平蔵のコルから70〜80mほど降ったところだ。 中嶋はこのガラ場の降りがいちばん怖かった(核心部だった)と言っていた。走ってでも降りられそうなところなのに... |
A2テラスで身支度を終えザイルをむすび、何も考えず、いきなり取り付く。考えて見ればいつもそうだ。 気負いとか迷いみたいなものは何もない。あるのはかすかな恐怖感。 |
浮き石だらけだが下に中嶋がいて、クリーニングは出来ない。ハーケンはサビサビでグラグラ。 まとめて2つにかけたり、中嶋が持ってきたカムを使う。カムは想像以上に便利なツールだった。少し揃えようと思う。 |
核心部の5ピッチ目。ルートが分からない。正面の凹部(ディエードル)が弱点だと思った。 だが、取り付いてみるとかぶり気味でホールドが少ない。左に見えていたクラックはその先が不安。そのまま正面突破を試みる。 |
どうしても行けない。中嶋に代わろうと思った瞬間、恐怖心が消えた。岩の弱点が見える。やった事のないキョンが決まる。こぶし大のハンドジャムが決まる。 手を突っ込んだクラックで腕時計が岩にすれてガリガリ音をたてていた。岩場での腕時計は邪魔なだけだと知った。 |
日本登山大系に南壁のA2は3ピッチと書いてあったが登高差150mだから安易に3ピッチと書いたのではないか? 「剱岳・登攀ルート解説」(高須茂、高瀬具康 1956年7月初版)には7ピッチと載っている。我々もちょうど7ピッチだった。 7ピッチに切ってさえクライマーとビレイヤーがいつもブラインド状態で、ザイルの流れも悪い。時間がかかっても細かく切ったほうがいいルートだと思う。 |
7ピッチを終えたところでザイルを解き、ガラ場をたどる。取り付きから最後まで左手にギャラリーがいる楽しいコースだ。 11時ちょうどに剱岳頂上に立つ。祠を廻ってみると仲間が待っていた。早月尾根から竹村。北方稜線から浜ちゃんと池ノ平小屋スタッフ。別山尾根から剣山荘スタッフ。 |
11時20分、頂上を後にする。右側通行だから降りはカニノヨコバイ。ここは横になって歩くと歩きにくい。真っ直ぐ前を向いて歩いた方が安全だ。と、思う。 だが、足を滑らせたときの保険として、右手で軽くクサリを握っておいた方がいい。 |
剣山荘まで戻り、缶ビールを一本。生き返る。テン場への帰路、シュンちゃん達一行とすれ違う。剣山荘で一泊して剱岳登山との事。 野営管理所まで戻ると北山さんがいた。缶ビールをご馳走になる。やっぱり山は狭い。 |
14時35分、テン場出発。リュックは推定16〜18Kg。じっくり歩く。缶ビールが効いたのか体は意外に軽い。 別山乗越でも時間をとって剱岳を振り返る。終バスは17時。あと辛いのは地獄谷の階段だけだ。 そのうち南壁のA1もやってみたい。登高差が50mほど長いが難易度は変わらない。W級程度が2ヶ所ほどあるだけだ。 剱岳を見おさめて、雷鳥沢を降る。心地よい達成感が疲れを忘れさせてくれた... |