池ノ平小屋開け



水源地を掘っているときにガスがひいて八ッ峰の頭が姿を現す(7月8日撮影)

所在地黒部市宇奈月
阿曽原〜
池ノ平小屋
〜仙人ダム
登山口標高850m
下山口標高870m
標   高2040m
登り標高差単純1190m 累積(+)1300m 累積(−)110m
降り標高差単純1170m 累積(+)170m 累積(−)1340m
沿面距離登り5.2Km  降り5.8Km
登山日2012年7月7日〜9日
天 候7日雨 8日曇りのち晴 9日晴れ
同行者総勢14名
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
阿曽原(3時間10分)仙人温泉小屋(2時間)仙人池ヒュッテ(15分)仙人峠(30分)池ノ平小屋 合計5時間55分

池ノ平小屋(30分)仙人峠(15分)仙人池ヒュッテ(1時間10分)仙人温泉小屋(1時間50分)水平道(50分)仙人ダム 合計4時間35分
コースタイム 阿曽原(45分)阿曽原峠<休憩15分>(3時間50分<途中休憩35分含む>)仙人峠<休憩5分>(25分)池ノ平小屋
合計5時間15分<休憩1時間含む>

池ノ平小屋(25分)仙人峠<休憩13分>(2時間5分)阿曽原峠<休憩10分>(55分)仙人駅
合計3時間35分<休憩23分含む>



往路 阿曽原〜旧道〜仙人谷雪渓〜仙人峠〜池ノ平小屋
 復路 池ノ平小屋〜仙人峠〜仙人谷雪渓〜旧道〜仙人ダム

 昨年に引き続いて池ノ平小屋の小屋開けに行く。3回目となる。
 弥陀ヶ原ホテルのホテル開け(?)も何回もやった事がある。水源地の掘り出しが急務となるのはどこも同じだ。

7月7日



7時11分発の工事列車に乗る
 

欅平に到着
 
 宇奈月で名古屋組と合流して始発の工事列車に乗る。眼下に流れる黒部川の濁流がちょっと気になる。


黒部川上部軌道の入口
 

トンネルとエレベーターで上部軌道へ
 
 欅平で降りて、そのままホームを進み、上部軌道へのエレベーターに乗る。
 上部軌道は黒四発電所までのトロッコで、途中に高熱隧道がある。今は気付かないくらい温度が低くなっている。


上部軌道阿曽原駅で下車
 

トンネルを50mほど歩くと阿曽原テント場
 
 阿曽原駅で下車して、トンネルを50mほど抜けると阿曽原のテント場だ。
 以前、黒部ダムから水平道を歩いて、ここでテントを張ったことがあった。


仮設がすんだ阿曽原小屋の前で出発準備
 

旧道の左下に仙人谷が見える
 
 阿曽原小屋の前で身支度を終え、9時40分出発。予報に反して天候は晴。気持ちよく出発した。
 ところが歩き出してしばらくすると雨。雨具の上着とザックカバーを出す。仙人峠を越えてから本降りとなった。


仙人谷は雪融けが早く
 

危険なところが多かった
 
 仙人谷に降りてアイゼンをはいた。なくても大丈夫だと思ったが、途中ではくのは面倒だ。皆にあわせる。
 雨にも負けず、アマナ、ウド、ススタケを採りながら行く。仙人湯小屋のあたりが雪渓が切れていて危なかった。


水量も多く、落ちたらかなり危険
 
 その後は危険なところもなく、ひたすら雪渓を行くだけ。遅れている人を待つのをやめて先に行く。
 いつ振り向いてもワダッチがすぐ後ろにいる。無言のプレッシャー。安易に休みが取れなかった。


いっしょに歩いているつもりでも上の方に来るとかなりばらけてくる
 
 2時30分、仙人峠に着く。一安心だ。若干の休憩(5分)を入れて小屋に向かう。
 ここから小屋までが唯一、アイゼンが必要な場所だった。


2時30分、仙人峠
 

最後まで一緒に歩いたワダッチ
 
 14時55分、小屋に到着。入り口床下のバールを出して小屋の入り口を開ける。
 窓のパネルを外し、トイレのパネルを外し、離れ(別棟)のパネルを外す。
 すでに全身ずぶ濡れなのに、さらに袖から雨水が入ったりして体を冷やす。寒い。


2時55分、池ノ平小屋
 

雨風の中、全員無事に到着
 
 部屋を片付けてストーブをつけて皆の到着を待つ。雨風が強くなっていて、ちょっと心配した。
 17時過ぎに全員集合してとりあえず一安心。乾いた服に着替えて、何はともあれ乾杯。このひとときがいい。

7月8日


 朝から雨で気が重い。小屋開けボランティアのリーダー吉澤さんは朝から弱気だ。
 今日は停滞みたいな事を言っている。
 屋根に登っての仕事や、チェンソーを使う水源地の掘り出しは確かに危険な仕事だ。


少しずつ雨がやんでくる
 

濡れているものを乾かす
 
 雨がやんできて、本館と離れの間の屋根をかける仕事にかかる。昨年は初日に終わった仕事だ。
 午後からの水源地堀のために雪渓のトラバース部分に道を掘る。


午前中は厨房と小屋の間の屋根をかける
 
 早めのランチはうどん。力仕事に向けて皆、うどんをおかわりした。珍しいウドうどん。


水源地までの道を掘った後小屋でくつろぐ
 

厨房も昨年の水しかない
 
 今年は一点集中でチェンソーを1台にする。そのかわり、掘り出す幅を狭くする。
 下に人がいないので掘り出した雪を放るのも楽だ。


午後からチエンソー1つで掘り始める
 

昨年より幅を狭くした
 
 チェンソーを止めて耳を澄ますと下から水の流れる音が聞こえてきた。
 さらに幅を狭めて50cmほどで掘り進む。


さらに幅を狭くして1mの幅で掘り進む
 

水の音が聞こえた時点でホースを施設する
 
 別に3人でチームを組んでホースの施設に向かう。何カ所かにまとめてあったホースを延ばし、小屋までひく。
 ひき終わった頃に水源地を掘り当てる。ピンポイントで水を集める樽を置く岩の部分を掘り当てていた。


ピンポイントで水源地を掘り当てた
 
 5時過ぎには小屋まで水が引けて、厨房の蛇口から水が出た。池ノ平小屋の最短記録だと思う。
 小屋あけの責任を果たせたようでほっとした。明日は心置きなく帰ることが出来る。


パイプを施設して夕方5時に通水を終える
 

明日は風呂を沸かすらしい
 
 この日は何も考えることなく飲ませてもらった。明日は帰るだけ。気持ちがいい。
 昨年は1日かかっても水源地を掘り当てられなくて、心残りな下山だった。

7月9日


 金沢チームが9時半過ぎの工事列車に乗りたいというこで早めの出発となる。
 4時過ぎから起きておにぎりや味噌汁を作ってくれた女性陣に感謝。


5時20分出発 皆起きてきて見送ってくれた
 

ワダッチとテンコ
 
 仙人峠から振り返る八峰は格好良かった。まだ行っていないのが信じられない。
 自由に連休が取れるようになったら...行くぞ!


仙人峠からのぞむ八ッ峰と小窓の王
 

仙人峠のBOW、文さん、Kenさん
 
 3時間半で仙人ダムまで降りればいいだけ。気持ちはとても楽だ。山菜を採りながら降りる。


仙人峠からのぞむ後立山連峰
 
 仙人湯小屋近くでは旧道を歩く。二日前より雪解けが進んでいればさらに危険になっているはず。
 仙人湯小屋は廃墟寸前のように見えた。人が入ればそうでもないんだろうが、それにしてもひどい。


仙人温泉小屋は
 

廃墟のようだった
 

ひたすら仙人谷の雪渓を降る
 
 仙人峠から仙人ダムに向かう道を使わず、阿曽原に向けて降り、水平道を行く。
 仙人ダムへの道はアップダウンが続き、急降までに40mほどしか標高を下げない。昨年はこの道を使い、酷い目にあった。


仙人峠から阿曽原へ向かい
 

水平道を行く
 
 9時前に仙人ダムに到着する。小屋で作ってもらったおにぎりをいただいた。
 「ごちそうさま」より「ありがとう」の言葉が似合う。感謝。


仙人ダム駅
 

仙人ダム
 

上部軌道で欅平へ
 
 これから先、管理人の菊池さんがいるあいだは池ノ平小屋との付き合いが続いていくと思う。
 体力の続くかぎり、手伝わせてもらおう。