称名川上廊下(ツバクロの滝)



ツバクロの滝の2段目を高巻きからのぞむ(2012年8月20日撮影)

所在地立山町室堂
室 堂 アプローチ室 堂
登山口標高2430m
標   高2170m
標高差単純(−)260m
沿面距離往復6.5Km
登山日2012年8月20日
天 候晴れ
同行者単独
コースタイム 室堂ターミナル(35分)雷鳥沢出合(40分)ツバクロの滝落ち口(35分)ツバクロの滝下流(25分)加羅駝山裏側窪地<昼食休憩1時間40分>(1時間15分)室堂ターミナル
合計5時間10分<休憩1時間40分含む>



雷鳥沢出合から称名川を降り、支流から戻った
 

4段に折れたツバクロの滝を左岸から高巻いて降りた
 
 暑さを避けて高い山へ。どこに登るあてもなく室堂に向かった。
 稜線には雲がかかっていたので、気になっていた称名川上廊下のツバクロの滝を見に行くことにした。


玉殿の湧水で飲み水を汲む
 

地獄谷への階段はガス濃度が高く立入禁止
 
 岩井谷敗退の教訓から沢は降らないことにしている。だが戻ることを前提にしている沢は別だ。
 これ以上は危ないと感じたところで戻ればいい。その判断は微妙だが戻れるか戻れなくなるかの見極めだと思う。


地獄谷は閻魔大から見下ろすだけ
 

亜硫酸ガスで涸れたハイマツと雷鳥荘
 
 地獄谷の亜硫酸ガスの吹き出し口の位置が変わった。雷鳥荘の裏側あたりに大きな噴気口が出来ている。
 そのため、雷鳥荘の近くのハイマツが枯れてしまっている。雷鳥荘で働く人たちは大丈夫なのだろうか?


雷鳥平キャンプ場
 

雷鳥沢出合の橋を渡らず左岸を下る
 
 称名川に架かる橋を渡らず、そのまま左岸を降る。
 広い河原の左岸いっぱいに流れが片寄ってきたところで4mほどの段丘に上る。
 そこに幅3mぐらいの間隔で石を並べた古い登山道のようなものがあった。


広い左岸を行く
 

左岸の上に登山道のような人工物があった
 
 登山道のようなものをたどると小さな沢に降りる。その沢は地獄谷の沢と合流し、最後は称名川と合流する。
 地獄谷の沢は白く濁っていて手を入れてみると体温に近い温度だった。露天風呂が出来るぞ?


地獄谷からの白く濁った水は温かかった
 

左岸のガラ場を行く
 

強酸性(Ph4)の水が流れている所にしか生えない「チャツボミゴケ」
 

日本では草津温泉や阿蘇に自生している他は珍しい植物らしい
 
 見たことのない植物を発見。最初に見たのは枯れてしまったもの。その下流で緑の絨毯のような群生に出会う。
 厚さは10cmぐらいありそうだ。後日「チャツボミゴケ」と判明。(山順さんにメールで教えてもらいました)


上流でみつけた「チャツボミゴケ」が枯れたもの
 
 「ふらり旅 ぶらり釣り ふにゃり…」というブログにこんな事が書かれています。
 この地(奥草津国民休暇村)に生育するコケは極めて珍しいもので、九州の阿蘇地方、愛媛の銅山跡地、そして本州では唯一ここにしか残っていない「チャツボミゴケ」。
 愛媛では絶滅が危惧されています。チャツボミゴケは、強い酸性の水が流れる場所でしか生育できない性質のコケだそうで、生命の不思議さを感じさせてくれます。

 本州では唯一ここ(草津)にしか残っていないと言うチャツボミゴケが立山に...貴重な発見かもしれない。


右岸の先端が前回、落石にあったところ
 

ここから流れが急になり
 
 左岸を降り、前回の右岸からの最終到達点まできた。その時は目の前に落ちてきた石の音が沢の音で聞こえなかった。それ以上は危険だと判断して引き返したのだった。


幅50cmほどの水路からすそを広げ
 

落差10mほどを滝壺に向かって流れ落ちる
 
 どちらにしても右岸からはそこまでしか降れなかったようだ。その先は絶壁になっていた。
 最初の滝は落差約10m、長さ20mほどの細い流れから裾を広げて滝壺に流れ込むもの。
 滝壺の左側には行き先を失った流木が何本も渦を巻いていた。


左岸を高巻いて正面のピークを目指す
 
 この先を見たい。見ずには帰れない。左のガレ場のさらに上を高巻くことにした。
 正面に見える小さなピークまで行けば何か見えるかもしれない。


高巻きの途中で1段目の滝を見下ろす
 
 高巻いていくうちに2段目の滝が見えてきた。1段目の滝壺からソーメン滝きのように広がって流れ落ちている。
 落差は20〜25mぐらいだろうか。


落差20m以上はありそうな2段目の滝
 

2段目の滝を正面から見る
 
 ここには明瞭な滝壺はなく、ゴルジュとなって右に流れていき、左に折れている。
 地図には滝のマークが2つあった。2段目の滝とその先にあるはずの3段目の滝が地図に載っている滝だろうと想像する。
 (これは間違いで1段目と2段目の滝は地図に載っていない滝だった)


2段目の滝が右に折れて、突き当たりを左に3段目が落ちる
 

加羅駝山を裏側から見る
 

平坦な窪地になっている不思議な場所
 
 高巻いた所に面白い場所があった。広い窪地になっている。砂地の所もあり、快適なテント場となりそうだ。
 この枯れ沢の右上の山が祠のある加羅駝山だ。この枯れ沢を詰めて右に登れば加羅駝山に登れる。
 いつか、こっそりと登ってやろう。祠を見てみたい。


小ピークの鞍部に向かう尾根に足跡があった
 

鞍部から加羅駝山の方向を振り返る
 
 ザレ場を降って小ピークへの鞍部へと向かう。このザレ場の尾根に動物の足跡が残っていた。形は熊か?
 小ピークを称名川側から巻いて、急峻なルンゼの間から下部をのぞき見る。50〜60mほど下にゴルジュが見えた。


小ピークのルンゼの間から見下ろすゴルジュ
 
 位置関係からゴルジュの前に3段目の滝があって、ゴルジュの先に4段目の滝があるらしい。
 地図に載っているのは3段目の滝と4段目の滝のようだ。


3段目の滝と4段目の滝の間にあると思われる
 
 3段目の滝を見るのは無理そうだ。せめて4段目の滝だけでも見てみたい。
 小ピークの鞍部から降れば下流から眺められるかもしれない。それに滝は下から見た方がかっこいい。


小ピーク鞍部から下流に向かって降る
 

降ってきた斜面を振り返る
 
 落石、浮き石に気をつけながら慎重に降る。最後は小ピークの西面下の草付きをトラバースする。
 西面は落石が起こりそうな急な岩壁でヘルメットを被っているのは気休めでしかなさそうだ。


小ピーク西面下の草付きをトラバース
 
 西面を回り込んで東に向かったところで雪渓に行く手を阻まれる。
 雪渓に登れるか?登れても雪渓が割れないか?右側のシュルンドから行くか?落石は?


小ピーク北面の称名川にはまだ雪渓が
 

残っていて、行く手を阻む
 

折れそうなスノーブリッジとシュルンド
 
 近づいてみたが4段目の滝は見えなかった。雪渓を超えられたとしても向こう側は狭そうなゴルジュの雰囲気だ。
 迷ったときは引き返す。お腹もすいてきた。危険地帯に長居は無用。謎の窪地まで引き返す。


ツバクロの滝の下流は簡単に歩けそうだ
 

左岸を登り返す
 

降雨時は沢になるようだ
 
 謎の窪地で缶ビール1本とラーメンと裸になっての昼寝。紫外線は肌に悪いが、たまになら健康にはいいらしい。


加羅駝山裏側の広い窪地でゆっくりとランチタイム
 

見下ろす1段目の滝と2段目の滝の落ち口
 

見下ろす1段目の滝
 

1段目の滝の上の広い流れ
 
 来たときよりも帰りの方が高いところを歩いているようだ。来たときは広い河原の横を歩いていた。
 途中で右に地獄谷の沢を選び、その先で左側の小さな沢を選ぶ。この沢にブルトーザーの残骸のようなものが落ちていた。何だろう?


地獄谷と称名川の間の沢に
 

こんなものが残っていた
 
 連峰ロッジとキャンプ場をつなぐ登山道の小さな橋で冒険は終了。次回はここから降ろう。


その沢の源流
 
 前方に登山者の長い列が見えた。高岡市能町の小学生210名とのこと。
 雷鳥荘とみくりが池温泉の間で全員追い抜いた。追い抜きでも「こんにちは攻撃」を浴びる。210名の...


キャンプ場から室堂への登山道を埋め尽くす小学生の団体
 

みくりが池温泉前
 

みくりが池と浄土山
 
 登山道以外の所に入るのはいけないのだが、沢歩きは植物への影響が少ないと思う。
 登山道からも見えないコースなので許してください。ごめんなさい。


ミヤマリンドウ
 

シロバナミヤマリンドウ
 

ミヤマホタルイ(?)
 

アオノツガザクラ
 

チングルマ
 

コイワカガミ
 

イワイチョウ
 

ヨツバシオガマ
 

ツガザクラ(?)