前穂北尾根 |
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5月6日 |
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所在地 | 松本市安曇上高地 | |
上高地 | アプローチ | 平湯温泉からバスで上高地へ |
河童橋標高 | 1505m | |
涸沢標高 | 2295m | |
標高差 | 単純790m | |
沿面距離 | 15Km | |
登山日 | 2013年5月6日 | |
天 候 | 晴れ後雪 | |
同行者 | 中嶋 | |
参考コースタイム 山と高原地図(昭文社) |
河童橋(1時間)明神館(1時間)徳沢園(1時間10分)横尾山荘(3時間)涸沢ヒュッテ 合計6時間10分 | |
コースタイム |
河童橋(40分)明神館<休憩10分>(50分)徳沢園<昼食30分>(50分)横尾山荘<休憩10分>(2時間50分)涸沢ヒュッテ 歩行5時間10分+休憩50分=6時間 |
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中嶋から前穂北尾根の誘いが入っていた。一度行ったことのあるルートだ。安易にオーケーサインを出す。 慎重に計画を練らなかったことを、後で反省することとなる。 |
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初日は涸沢ヒュッテまでなので、ゆっくり7時に大沢野バローで待ち合わせる。 国道41号線を南下して、神岡から平湯へと向かう。 |
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アカンダナ発9時20分のバスで上高地へ。料金は往復で2000円。河童橋を10時15分に出発する。 連休最終日なので、追い越す人も追い越される人もいない。下山してくる人ばかりだ。 |
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徳沢園でランチタイムをとる。前日の昼食と夕食がカレーライスで、今朝の朝食がうどん。 そして、今日の昼食がカレーうどん... |
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横尾あたりから天候が悪くなってくる。13時25分、横尾出発。降りてくる登山者は6時の終バスに乗るつもりなのだろう。(明日から終バスは5時) |
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見えていた登山道も雪の下になり、谷沿いのトレースをたどる。 雨がふってきて雨具を着る。そのうちに雪に変わっていった。風も出てくる。 |
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16時15分、涸沢ヒュッテ到着。途中で、数パーティー追い抜いた。 |
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フロントでチェックインする。対応が感じよくない。連休で疲れているのだろう。気持ちは解るような気がするが... お客さんが少なくても部屋は定員通りに詰めていくようだ。空いている部屋も 多いのに、6人部屋に6人。 (男性3人と女性が3人) |
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6時の夕食まで布団の上で1人、ウイスキーでくつろぐ。つまみは柿の種。 そういう時間の過ごし方は嫌いじゃないし、退屈でもない。音楽と本があれば、さらにいい。 |
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夕食のメイン・メニューはハンバーグと鯖の味噌煮。残してしまった。 明日のことを考えてご飯だけはお茶をかけて飲み込んだ。そのまま就寝。 |
5月7日 |
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所在地 | 松本市安曇上高地 | |
上高地 | アプローチ | 平湯温泉からバスで上高地へ |
涸沢標高 | 2295m | |
前穂標高 | 3060m | |
河童橋標高 | 1505m | |
標高差 | (+)765m (−)1555m | |
沿面距離 | 10Km | |
登山日 | 2013年5月7日 | |
天 候 | 晴れ | |
同行者 | 中嶋 | |
コースタイム |
涸沢ヒュッテ(1時間15分)X・Yのコル<休憩20分>(5時間30分)前穂頂上<休憩10分>(1時間45分)岳沢ヒュッテ<休憩40分>(1時間30分)河童橋 歩行10時間+休憩1時間10分=11時間10分> |
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目が覚めてみると10時。皆、寝ている。朝までうつらうつらとしながら過ごした。 4時20分、起床。荷物を全部フロント前に持って行って準備をする。寝ている人に対する配慮。 |
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朝食は6時からなので待っていられない。前日に売店で買ったカップ麺で朝食をとる。 天気はいい。夜通し吹いていた風だけが心配だ。 |
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ハーネスをつけ、アイゼンをはいて、5時15分、出発する。 ウインド・ブレーカー(雨具)は上着だけ着る。これは失敗だった。強烈に寒かった。 |
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雪面は凍っていてアイゼンの歯がよく効く。キュッ、キュッという音が気持ちいい。 |
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X・Yのコルに向かってショート・カットしたのが失敗で、急斜面のトラバースになってしまった。 途中でストックをピッケルに代える。リュックを背負うとき、バランスを崩しそうになって怖かった。 |
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もし、滑り落ちたら...すごろくの、「振り出しに戻る」だけじゃすまないだろう。 衣服は裂けて肌が雪面にすれ、やけどをおう。 |
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6時30分、X・Yのコルに立つ。風が強い。 シェルターが作ってあったのでそこでガチャ類を装備する。 残置ハーケンは雪に埋もれているかもしれない。今日の主役は、多分、カムだ。 |
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X峰を見ると稜線に雪がついている。想定外。アイゼンをはいたまま行けということだ。 雪と岩のミックス・クライミング。持ち込んだアルミのアイゼンは歯が丸くなっている。不安だ。 |
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シェルターを出る。右からの風が強い。ザイルを結ぶ。 だが、中嶋の指示はスタカットではなく、コンティニュアス。それは道ずれザイルでしかない。と、思う。 |
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コンテの法則1。相手が落ちたら、その反対側の斜面へ飛び降りる。50mザイルだとかなり落ちてしまう。 その余裕もなく、一緒に落ちていくかもしれない。やっぱりコンテは嫌いだ。 |
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W峰は大きな岩もなく、難しいところのないピークだった記憶がある。 だが、雪がついていると全然別物。初めての雪稜と思った方がいい。 |
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オーバー・グローブを持ち込まなかったのも失敗。リュックに入りきらなかったのだ。 手が、無茶苦茶痛い。手を襟から体の中に入れて温める。特にピッケルを持っていた右手が痛い。 |
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W峰のピークからV峰をのぞむ。登行差は110m(?)。圧倒されそうになる。 |
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遠く眺めながら弱点を捜すが取り付いてしまえば分からなくなるだろう。 実際に取り付いて岩場で判断するしかない。無雪期に登ったときの記憶が頼りだ。 |
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先の丸くなったアルミのアイゼンが岩に通用するのかも心配だ。 だが、行くしかない。行かないと帰れない。追い込まれた気分だった。 |
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涸沢ヒュッテを出るときの気温がマイナス4度。横からの風が強く、体感温度はさらに低くなる。 風が強いと注意力も散漫になるのが怖い。 |
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V峰の核心部は2カ所あった。チムニー状のところを直上するところと、、オーバーハング気味の鞍部を左上するところだ。 この左上するところで左足のアイゼンが滑って、ひやりとした。 |
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V峰を抜けてとりあえず一安心。と、思ったがU峰を見て、がっかりする。 今日は、簡単なところはないらしい。 |
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寒さで二人とも体が震え出している。早く頂上に立ちたい。U峰は50mザイルを目一杯出して、1ピッチで抜けた。 U峰の降りの懸垂下降は雪の着いた左側から巻く事が出来た。かなりの時間短縮になった。 なんでもない本峰もザイルで確保して登る。 |
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12時20分、前穂頂上に立つ。X・Yのコルから5時間半の登攀(格闘)。 風が強いので頂上はそのまま通過。明神岳側の稜線をたどって風のないところを捜す。 |
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登り切って一安心できないのが今日のルート。標高差800mの奥明神沢の急な雪渓の降りが心配だ。 1時間45分をかけ、岳沢ヒュッテまで慎重に降った。 |
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14時15分、岳沢ヒュッテに到着する。今日の山行きはこれでほぼ終了。 ガチャ類をはずし、ハーネスをはずし、アイゼンをぬぐ。何でもないこの時間がとても濃い。ビールが美味い。 |
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夏道をはずれて岳沢沿いに降る。途中で雪が切れてきて夏道を探した。 沢沿いに残っている赤府は撤去しないと迷ってしまうと思う。 |
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16時25分、河童橋到着。終バスには十分間に合う時間だった。 雪と岩の世界から、いきなり都会に放り出されたようで、落ち着かなかった。 |
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後日談: インナーグローブだけで5時間半、トップを務めたら両手の指先が軽い凍傷になった。 少し赤紫に変色して腫れている。痺れと痛みで、キーボードを打つのが辛い。 |