錫杖岳縦走 |
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所在地 | 岐阜県飛騨市 | |
登山口 | アプローチ | 新穂高温泉への途中にある槍温泉から |
登山口標高 | 965m | |
標 高 | 2168m | |
標高差 | 単純1203m 累積1500m(GPS) | |
沿面距離 | 周遊9.2Km(GPS) | |
登山日 | 2013年3月24日 | |
天 候 | 晴れ | |
同行者 | 中嶋 | |
コースタイム |
駐車場(5分)槍温泉登山口(1時間30分)錫杖沢出合<休憩13分>(1時間50分)コル<休憩17分>(1時間18分)錫杖岳南方<休憩10分>(35分)錫杖岳北峰(15分)コル<休憩5分>(45分)錫杖沢出合(1時間20分)槍温泉登山口(5分)駐車場 7時間30分+休憩45分=8時間15分 |
前回(2週間前)のリベンジ山行。およその見当はついて、日帰り可能と判断した。 ザイルを持ち込んでの速攻に計画を変更する。 |
中尾温泉入り口の駐車場に車を停める。泊まっていた車は2台だけ。 身支度を終え、6時13分、出発する。テント装備はもっていないのに、ザイルやガチャ類で重い。 |
槍見館横の登山口は雪がなくなっていた。途中、所々に残っている雪が凍っていて歩きにくい。 |
クリヤ谷の徒渉点も大きく割れていた。落ちないよう、踏み抜かないように慎重に渡る。 |
錫杖沢出合手前の小さな沢がさらに大きなデブリとなっていた。雷の次に怖いのが雪崩だ。 茶色い色が付いているので底雪崩のようだ。 |
7時48分、錫杖沢出合に到着。ここでハーネスをつけ、アイゼンをはく。 8時、出発。前回の2時間遅れだが、予定通りだ。 |
雪は堅く、雪崩の心配はない。歩きやすいデブリの上を歩く。 足が重いのは2日前の「夜のピクニック」のせいかもしれない。(子供みたいな理由なので書けないが、真夜中に11kmを2時間半かけて歩いた。追い越していくのはタクシーと代行だけだった。) |
錫杖岳前衛峰にはいくつものルートがある。 今年は「1ルンゼ」を狙ってみたい。 |
沢の上部は斜度がある。雪が堅いのでアイゼンは効くのだが、いったん滑ったら止まらない。 ストックをピッケルに変えた。石突きは刺さらないのでピックを使う。 アイゼンの前歯2本だけでアイスクライミングのような格好で登った。 |
烏帽子岩は、登攀の対象になっているのだろうか? 面白そうな岩だが、アプローチが悪すぎる。 半日の登攀を終え、ビバークし、翌日の登攀になるとしたら、それなりにハードルが高い。 |
9時50分、コルに出る。とりあえずほっとする。だが、核心部はこれからだ。 ガチャ類をハーネス装着して、10時7分、出発。 |
コース上には前回の足跡がかすかに残っていた。それをたどる。 前回の撤退地点まできて前方をのぞむ。対岸は融雪がすすんで岩が出ている。凶か?吉か? |
西斜面はまだ雪が堅く、アイゼンの片側の歯だけで雪面をトラバース出来る。慎重に岩場まで回り込んだ。 岩場には残置された古いザイルがあった。だが使えるような状態ではなかった。 |
雪と岩のミックス登山ではアイゼンで岩を登るのが常識なのだが、アイゼンの歯が丸い。 岩をかんでくれないので安心して力を入れられない。 |
腕力が頼りの登りとなってしまった。2人とも登り切ってほっとする。 だが、その先も予想通りに核心部が続いていた。 |
コースが分からない。無雪期に何処を通ったのか記憶にない。 たとえ、記憶があったとしても、積雪期の最善のコースは無雪期のコースではない。 どこもダメそうなので稜線へのコースを選ぶ。 |
稜線上の青森トドマツに巻かれた青いテープを見てほっとする。 ほっとした瞬間に右足が痙ってしまい、10分ほど時間をロスしてしまった。 持ち込んだ水は300mlの温かい紅茶だけ。水分不足になってしまったのかもしれない。 |
ひょいと出た稜線の先に高いところが見当たらない。南峰ならピッケルがあるはず。 4m程先のピークの先端に黒いピッケルが立っていた。11時25分、南峰。 残り少ない紅茶を少しだけ飲む。あとは雪を入れて増量をはかる。 |
南峰から先も核心部が続く。北峰まで約150m。その途中に二つのニードルがある。 南峰から眺めた限りではどこからも行けそうにない。「敗退」の2文字が頭をよぎる。 |
行き詰まったら戻ればいいのだが午後から錫杖沢を降るのは怖い。 なんとしても行く。そのためにザイルを持ち込んでいるのだ。 |
南峰の先はすっぱり切れ落ちているので少し戻って左側(笠谷側)から巻く。 無雪期は灌木や笹に捕まって降りられるところも積雪期は無理。何度か行き詰まって戻ったりした。 |
ザイルを出そうかと思ったところもあったが、出さずにクリアしていく。 雪の積もった稜線も雪庇の心配があり、ぎりぎりのところを歩いた。 |
12時10分、北峰(錫杖岳本峰)に立つ。振り返えって眺めた稜線上に焼岳や乗鞍岳が浮かんでいた。 抱き合って喜びを分かち合いたいところだがセクハラになりそうなので我慢する。 |
北峰からコルまでが最後の難関(?)。先が見えないので懸垂下降を覚悟してザイルを出す。 降り始めてみると、きれいな斜面が道のように続いていた。雪質も新雪状態。 滑ってもすぐ止まれるように樹木のあるところを歩く。スピードが出る前に木に当たれば「痛い」だけで済む。 |
コルからクリヤ谷への沢は東向きなので雪が腐っていた。広い斜面には樹木がない。 樹木がないのは雪崩が多発しているからなのだろう。少しずつ右へ方向を変える。 |
斜度が緩んできた下の方は大きなブナの樹林帯となっていた。とやんばしさんに見せたいくらい、きれいだ 右手には前衛峰がシルエットとなってそびえている。さらに右に方向を変えて降った。 |
クリヤ谷はところどころ雪が切れていて水流が見えた。水を飲みたかったが降りられない。我慢する。 谷沿いは踏み抜いて落ちないように雪の厚そうなところを選んで降った。 |
13時15分、錫杖沢出合まで戻る。テントを張ったところはそのままの形が残っていた。 錫杖岳を振り返えり、振り返りながら降る。 |
地図には徒渉点の少し下流に「穴滝」が載っている。見られるとしたら今がチャンスだ。 登山道を少し谷川に降ると滝が見えた。灌木が邪魔をしてすっきりとは見えないが全体像は分かった。 落差は10mほどありそうだった。 |
難しい山をやった後の浮遊感のような幸福感は脳内にドーパミンが多量に放出されるからなのだろう。 麻薬、たばこ、アルコール、パチンコなどの依存症もドーパミンによる快感が原因らしい。 登山という「正」の方向のドーパミン依存症(?)でよかったと思う。 14時40分、駐車場に戻った。 |