大窓〜池ノ平山



池ノ平山北峰よりのぞむ池ノ平山南峰と後立山連峰

所在地富山県立山町、宇奈月町
白萩川
取水口
アプローチ馬場島から白萩川をたどる
登山口標高976m
標   高池ノ平山北峰2561m 池ノ平小屋2040m
標高差単純1585m 累積(+)1841m 累積(−)777m
沿面距離9.6Km(GPSデータより)
登山日2014年10月10日
天 候晴れ
同行者中島
コースタイム 白萩川取水口(35分)高巻ピーク(2時間50分)東仙人谷出合<休憩10分>(2時間55分)大窓<休憩10分>(1時間25分)大窓の頭(1時間10分<登攀15分含む>)池ノ平山北峰(40分<登攀20分含む>)池ノ平山南峰<休憩10分>(1時間)池ノ平小屋
歩行10時間+休憩1時間5分=11時間5分



白萩川の取水口から池ノ平小屋までのルート図
 

 大窓から池ノ平山を越えて北方稜線から馬場島に戻るルートは7年前にやった。
 前日、室堂の山岳警備隊に電話をすると北方稜線は凍っていて危険なのでやめてくださいと言われた。
 大窓から池ノ平山もだめだと言われた。だが、これだけはやめるわけにはいかない。


大窓から池ノ平山南峰まで踏み跡はあるがハイマツの藪こぎや岩場もある
 

 7年前は中島を誘ったのだが、今回は逆に誘われた。このコースが面白かったようだ。
 前回は文山と長瀬がいた。今回は2人だけなのでプレッシャーがかかる。


白萩川取水口
 

6時5分出発
 

 上市町の役場に車を1台デポして(ごめんなさい)馬場島に向かう。白萩川の取水口6時5分出発。
 コンクリートの防壁の裏から取り付いてトラバースや急登を繰り返す。
 登山地図には載っていないバリエーションルート。スタートから気が抜けない。


夜半の雨で水量はやや多い?
 

雷岩
 

 峠みたいな暗部を越えて白萩川に降りる。取水口から白萩川をたどってもいいと思うのだが靴をぬらすかもしれないので、いつも高巻きをしている。


遠くに中仙人谷をのぞむ
 

徒渉を交えながら白萩川を詰める
 

 降り立ったところからは、そのまま白萩川の左側(右岸)をたどる。
 小窓尾根を越えて池ノ谷に降りるときは雷岩のあたりで左岸に渡らなければいけない。


一瞬ガスがひいて中仙人谷の全景が見えた
 


大窓は支沢が多く、視界が悪いとルーファイが難しい
 

 遠くから見る大窓は1本の単純な沢に見えるが実際にはいくつもの支沢を持った複雑な谷である。
 視界が悪いとルーファイが難しい。


東仙人谷、中仙人谷、西仙人谷の出合が近づく
 

 春の仙人谷でも感じたことだが、沢の分岐で迷ったら、なだらかな方を選んだ方がいい。
 急な方は支流の可能性が高い。それさえ分からないときはちょっと休んでガスが引くのをまとう。


雪渓の向こうに見える中仙人谷と西仙人谷
 

今回の計画立案者「中島」
 

 東仙人谷と西仙人谷の間に雪渓が残っていた。にわかに崩れるとも思えない。
 ちょっと怖いがこの下をくぐる。他のルートは時間がかかりすぎる。


東仙人谷出合と西仙人谷出合の間の雪渓
 


西仙人谷から流れ落ちる滝
 

 無雪季に西仙人谷から小窓を目指したことがあった。この滝は左側から巻いたのだがその先が核心部。
 細く切れ込んだ谷に雪渓が立ちはだかっていて突破出来ず敗退した。
 後日、残雪期に西仙人谷から小窓経由の池ノ平山日帰りでリベンジを果たす。


下方に見えるのは西仙人谷から落ちる滝
 

ガスがかかっていると心まで萎えてくる
 

 大窓経由の池ノ平山は三つに分けて考えると解りやすい。
 第1ステージは白萩川取水口から中仙人谷の取り付きまでの沢歩き。第2ステージは中仙人谷取り付きから大窓のコルまでのガレ場。第3ステージは大窓のコルから池ノ平山南峰までの岩場と稜線歩き。


西仙人谷の滝と白萩川
 

 西仙人谷出合の滝を右に見ながら中仙人谷に取り付く。第2ステージの始まりだ。


10m、20m先を見ながらコースを決めて行く
 

 10m、20m先を見ながら歩きやすいところを選んでいく。行き詰まってから戻るのは体力だけじゃなく精神的にも辛い。


深く切れ込んだ中仙人谷
 

 途中、いかにも右の沢が本流のように見えるところがあるが左の沢を選ぶ。
 岩場を直登するか右側から小尾根を回り込むようにして左の沢に入る。


ここは右に入らず左にコースをとる
 

ここから右の藪に入り、踏み跡をたどる
 

 沢通しに行ってしまうと左側にずれてしまい、草付きのトラバースを強いられ藪こぎも強いられる。
 前回はここで失敗した。岩につけられた赤いサインを見逃さないように右の灌木帯に入る。


しっかりとした踏み跡とペンキのマーク
 

モリブデンの鉱石を運んだ索道の石垣
 

 灌木帯に続く踏み跡はしっかりしていて、見失う心配はない。
 灌木の間に戦時中、モリブデンを運んだ索道の木塔(鉄塔ではない)跡の石垣がいくつも残っている。


最後のガレ場を登り切れば大窓のコル
 

大窓のお地蔵様
 

 コル手前で灌木帯を抜けてガレ場となる。ここを登り切れば大窓のコルである。
 池ノ平小屋へ持ってきたお土産の重さがこのあたりから効いてくる。足が上がらなくなってきた。


大窓からのぞむ白萩川
 

 12時35分、大窓のコル到着。計画より遅れている。10分の休憩で大窓の頭へ向かう。
 いよいよ第3ステージである。


大窓から北方(白ハゲ方向)をのぞむ
 

大窓から南方(大窓の頭方向)をのぞむ
 

 踏み跡の解らない笹藪を越えた後は解りやすい踏み跡が続く。
 尾根筋を離れて右側に行くがすぐに尾根に戻る。腕も使っての登りになるので足への負担が減り、助かる。


小窓尾根のネコノミミ
 

大窓の頭よりのぞむ白ハゲと毛勝三山
 

 かすかな踏み跡しかないハイマツの藪こぎを終えたところが大窓の頭だった。
 池ノ平山北峰をのぞむ。その後ろに見えるのは剱岳。振り返れば白ハゲと毛勝三山。


大窓の頭からのぞむ八峰、チンネ、小窓の王、小窓の頭
 

 池ノ平山北峰は見た目より難しくない。左側から巻いていけば頂上に出るはず。


大窓の頭からのぞむ池ノ平山北峰と手前の小ピーク
 

 難しいのはその手前の尖塔。左から巻いてちょっとした壁を登る。
 3mほどなのだが登れない人には登れない。誰も登れないとここを突破出来ない。


この尖塔は左から巻いてクラックを登る
 

北峰から南峰をのぞむ
 

 北峰からのぞむ南峰は岩で出来た屏風のようだ。岩が嫌で(怖くて)左側のルンゼに逃げるともっと危険。
 ここは岩を突破しよう。中央の壁が前回登ったコースだが右のスラブも登れそうだ。左側に見えるカンテ状の岩も登れそうな気がする。


南峰には岩壁が待っている(中島撮影)
 

 今回は右側のスラブ状のところを登った。フットホールドもハンドホールドも間隔が遠いが届く範囲。
 最後は危うい草付きを掴んで登り切った。前回はフリーで登った中島がザイルを要求してくる。
 ハーネスを付けていない状態での確保は意外に難しい。慣れていないだけか?


16時、池ノ平山南峰に立つ
 

南峰からのぞむ後ろ立連峰
 

 16時、池ノ平山南峰に立つ。第3ステージ終了。だが、ここから池ノ平小屋まで1時間以上の降りが待っている。
 なだらかな稜線のようなところから急な沢状の降りとなり、広い草原となる。
 最後は灌木帯の登山道をたどって池ノ平小屋。


池ノ平山南峰より北峰をのぞむ
 

 15時10分、池ノ平小屋に到着する。菊池さんに前回借りたヘルメットを無事返す。
 小屋締め前に返さなければいけなかったのだが、選んだ今回のコースはちょっとヘビーだった。


白馬旭岳、白馬岳、杓子岳、白馬槍ケ岳、唐松岳、五竜岳
 

 小屋ではすでに夕食が始まっていた。名古屋モンロー会のテンコさん達も食事中。
 彼女たちとは前日に立山駅で顔を合わせていた。小屋への予約も頼んでおいた。


夕食は小屋のスタッフと一緒に
 

小屋には名古屋の典子さん達もいた
 

 夕食は2回戦目で小屋のスタッフ達と一緒にいただく。個人盛りはクリームシチューだけ。
 食後の団らんの前に寝てしまったのは、いつも通りだった。