奥大日岳 |
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7月9日 |
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今年も池ノ平小屋の小屋開けの季節がやってきた。たいしたことは出来ないがここ数年、携わっている。 まず先着者がドアと窓のパネルを剥がす。(最近、私の仕事となっている) その後、宿泊棟と管理棟の間の屋根を架ける。だいたいこれが初日の仕事である。女性軍は部屋の掃除と寝具などの整理をして、とりあえず寝られる準備をする。初日の宴会の準備も大事な仕事である。 小屋開けの最大の仕事は水源地を掘り当てて小屋まで水を引くこと。これが済めば、心置きなく帰ることが出来る。 |
今年は雪が少なく、いつもの阿曽原から仙人谷の雪渓を詰めて小屋へ入るルートはとれなかった。仙人ダムから雲切新道のルートも仙人谷の橋が架かっていない。室堂から剱沢を降ってのルートをとることとなった。 |
9日、小屋の管理人佐方さんほか5人で立山ケーブルカーで室堂に向かった。雨が降っている。8日に立山に入った4人のメンバーは当日から降り出した雨で剱御前小屋で停滞している。剱沢ルートも剱沢の二俣に橋が架かっていないので渡れないらしい。 |
午前中に剱御前小屋に着いた。この日も先着の4人は停滞。集まった10人でお昼から宴会モードに入っていった。最近、日の明るいうちからの宴会がつらい。 |
7月10日 |
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所在地 | 中新川郡立山町 | |
室堂乗越 | アプローチ | 前日に室堂から入山して剣御前小屋で一泊 |
登山口標高 | 2750m | |
標 高 | 970m | |
標高差 | 単純△1800m 累計500m △2300m | |
沿面距離 | 14.7Km(GPSデータより) | |
登山日 | 2016年7月10日 | |
天 候 | 晴 | |
同行者 | 伊藤、中嶋(勢)、堀岡 | |
参考コースタイム 山と高原地図 (山と渓谷社) |
剣御前小屋(1時間)新室堂乗越(2時間)奥大日岳(2時間)大日小屋(1時間50分)大日平小屋(2時間)登山口(20分)称名滝バス停 9時間10分 | |
コースタイム |
剣御前小屋(1時間5分)新室堂乗越<休憩10分>(1時間55分)奥大日岳<休憩10分>(1時間40分)大日小屋<休憩50分>(1時間30分)大日平小屋<休憩20分>(1時間10分)登山口<休憩10分>(10分)称名滝バス停 歩行7時間30分+休憩1時間40分=9時間10分 |
真夜中の2時頃にいびきで目が覚める。いびきはなかなかやまない。誰だろうと起き上がるとやむ。横になると始まる。そんなことで朝までうつらうつらしていた。 犯人はだいたい分かっているが確信は持てないので発表できない。 |
翌、10日は快晴。だが、池ノ平小屋に行っても翌日に帰るだけ。たいした働きは出来ない。酒を飲むだけの、ひやかしにならないよう、帰ることにした。 |
池ノ平小屋に向かう6人を見送った後、6時半、奥大日へと向けて出発する。剱本峰を往復する案や、そのまま室堂に帰る案があった。 剱岳往復は遊びの要素が強すぎて6人に申し訳ない。そのまま帰るのはもったいない。で、大日岳を縦走して帰ることにした。 |
立山の魅力のひとつが地獄谷だ。実際に歩くと地球の鼓動が分かる。噴煙を上げながら硫黄の煙突を作り上げていく鍛冶屋地獄。ガスをボコボコと吹き出す池。道脇の流れは手を入れると温たかい。そのまま堰き止めれば露天風呂が出来上がってしまう。 残念ながら亜硫酸ガスの濃度が濃くなり、数年前から立ち入り禁止となってしまった。 |
いつもバスの車窓から見ている風景とは真逆である。頭の中で分かっているつもりでも、実際に見る風景は別物だ。奥大日岳までの登山道を歩くのは40年ぶり2回目である。 |
40年ほど前の弥陀ヶ原ホテル勤務時代、休日に(家に帰らず)室堂から奥大日岳を日帰りしたことがあった。今は亡き「じゅうちゃん」(あだ名)と一緒だった。彼は若くして自らの命を絶ってしまった。何を考えていたのか? 何を見ていたのか? 彼を好きだった仲間達の心に穴を開けたまま逝ってしまった。 |
13年前、奥大日岳を称名川から日帰りした。そのときは室堂に抜けるか戻るかでちょっと迷った。室堂へ抜けた方が早かったし楽だった。(アルペンルートは職場なので乗り物は全部無料だし...) まだ、かけ出しの頃で土地勘も距離感もなかった。称名川へ戻った。 |
中大日岳という名前の山は昔はなかったと思っている。いつの頃からかそう呼ばれるようになり、標識が立ち、地図にも載るようになった。すべての山も最初は名前がなかったのだからいいのだが... 2501mの大日岳のすそ尾根に早乙女岳(2050m)があり、その先に前大日岳がある。標高は1779m。この山も最近名前がついたのでは? |
今年の目標の一つが大谷滝の滝壺に立つことだ。まぼろしの滝だと思っていたのに中大日岳から見ることが出来た。ちょっと以外。滝壺付近は雪渓に覆われて見えないが落差は50m以上ありそうだ。 |
11時30分、大日小屋でランチ・タイム。ビールはこんな時のためにあるんだと思われるほど美味しい。カップ麺の「正麺」もグッド。ゆったりと50分を費やす。 休んでいる間にガスが湧いてきて大日岳も、剱岳も消えていった。 |
ピークハンターではないのでガスのかかった大日岳はパス。大日平へと向かう。ガスが引いた瞬間に見えた大日平と弥陀ヶ原高原は圧巻。 標高1000m〜2000mにかけてのなだらかな溶岩台地。それをえぐった深さ200mの峡谷。自然は時々、意思を持っているかのように面白い物を作る。 |
大日平山荘には入り口の土間に飲料用の自動販売機が置いてある。それが違和感なくぴったりと納まっている。表のベランダを覆っている大きなパラソルも山小屋らしくない。こういうミスマッチな雰囲気(遊び心)は大好きだ。 |
14時10分、大日平山荘を出発。称名のバス停15時55分発のバスを目指す。標準コースタイムは2時間20分だから間に合わない。でも大丈夫。1時間12分で登山口まで降り、バス停まで(車道)10分。 |
今年の春、称名滝の左岸が崩れた。一番上から大きく崩れているのが見える。称名滝は1年に1cmづつ後退すると言われているが、実際には数十年おきにメートル単位で後退しているようだ。 |
称名滝まで往復する時間はあったのだが気が乗らなかった。疲れていたのだ。バス停に向かう。レストハウス称名でいただいたソフトクリームが美味しかった。 |