烏帽子岩左稜線 (小川山) |
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所在地 | 長野県南佐久郡川上村 | |
アプローチ | 廻り目平キャンプ場 | |
登山口標高 | 1570m | |
標 高 | 1985m | |
標高差 | 単純415m | |
沿面距離 | 片道3Km | |
登山日 | 2016年5月28日 | |
天 候 | 曇り | |
同行者 | 山岸、中嶋 | |
コースタイム | テント場(55分)取り付き<登攀準備15分>(8時間25分)20P<休憩30分>(50分)テント場 歩行1時間45分+登攀8時間25分+休憩45分 =合計10時間55分 |
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高いところに登りたいと思うのは人間の(男の)本能だろう。社長や総理大臣という地位も高いところであって、そちらを目指す人間もいる。 だが、そういう意味ではなく、ある種の人間には単純に高いところに登りたいと思う気持ち、岩壁を見ると登ってみたいという衝動があるのだと思う。私の個人的な事で言えば、それは子供の頃からあった。 |
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廻り目平キャンプ場の周りは岩場だらけで700本のコースがある。ボルダリングのコースがほとんどである。その中で烏帽子岩左稜線はX級、A1、全長500m、全20ピッチのロングコース。 数年前から候補にあがりながら見送られていた。今回、中嶋(勢)の強い信念で実現することとなった。 |
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金曜日の夕方出発。キャンプ場に着くのは真夜中になる。深夜のキャンプ場でバタバタするのは気が引けるので、手前の「道の駅こぶちざわ」でテントを張って仮眠する。早朝に「廻り目平キャンプ場」に入り、テントを張りなおした。 |
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5時40分、テン場を出発。烏帽子岩に向かったのは山岸、中嶋(勢)と私の3人。洋平、中嶋(大)、堀岡は金峰山に向かう。 取り付きへの道が分からず、いったん渡渉した右岸から左岸に戻る。再度渡渉して取り付きを見つけた。踏み跡を35分たどり、取り付きにたどり着く。 |
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ボルダリングとホンチャンの違いのひとつにリュックを担ぐか担がないかがある。20ピッチもあるのでリュックの中には食料や水が入っている。さらに取り付きまでの登山靴も入っている。簡単な雨具や薬なども入れている。 |
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3人で登る登攀スタイルをいろいろ検討した。ザイルを2本使うシステムを考えていたのだが、アッセンダーを使って1本で出来る方法を考えついた。 トップとラストがザイルを結び、中間がアッセンダーで登る。これならザイルが1本ですみ、時間も短縮できる。 結果、8時間半で登り切ることが出来た。 |
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烏帽子岩は残置ハーケンが少ない。威力を発揮したのはカムだった。と言うよりカムがなければ登り切れなかった。カム様様だった←ダジャレ(^_^) |
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烏帽子岩左稜線で感じたのは、あまり登られていないということ。岩がザラザラしている。登られている岩はツルツルしている。コースを外すとザラザラしているのですぐ分かる。だが、ここはどこもザラザラしていた。 |
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岩登りで大事なことは気持ちの持ち方だ。登れないと思ったらそこで終わり。もう絶対に登れない。それに危険度が増す。 自分を信じたとき、意外な力を出すことが出来る。自分でも不思議なほど登れることがある。 |
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最近、ホンチャンをやるためにジムに通うのではなく、ジムが目的になっている人達がいる。ホンチャンじゃなくボルダリングだけで和気あいあいと満足している人達が多い。それはそれでいいのだが、なんとなく寂しい。 |
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ボルダリングとホンチャンとは別物である。ホンチャンはルートを決め、プロテクションを取り、ザイルを伸ばす。 ボルダリングで落ちるのは普通のこと。だがホンチャンのトップで落ちるのは本当に危ない。10mぐらい落ちる事もまれではない。落ちるかもしれないという状況になって、足が震えたことは何回もあった。幸い、トップで落ちたことはまだない。 |
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15ピッチ目あたりから2回の懸垂下降を入れる。今が何ピッチ目だとか、正しいルートはどこだとかの感覚が消えていく。判断力が鈍っていき、頂上を目指す事だけを考えるようになっていく。冷静な判断が出来なくなっていく。頭の片隅に「まずい状況だ」という意識はかすかにあるが、修正が効かなくなっている。 |
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ついに最終ピッチを視界に捕らえた。18ピッチ目のガレたクラックが見える。そこを行くらしい。その上の19ピッチ目と20ピッチ目はどこを行くのか分からない。 |
![]() 中央下18P目のガレたクラックを登る |
18Pのクラックは幅が80cm〜1m20cmぐらいで難しくはない。ガレていたので落石を起こさないように注意した。登り切って18ピッチ目を切る。 |
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残るは2Pだけ。はやる気持ちを抑えて気を引き締めなおす。18Pを登り切った右側にエスケープルートがあった。20Pのとりつきに懸垂下降の支点がある。20P目を登れなくてエスケープルートへ降りたのだろう。 |
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20P目のワイドクラックの上部はホールドが見あたらない。途中まで登れても降りられなくなりそうだ。残念だが左から巻いて頂上に立った。とりあえず全20Pを完登。アドレナリン全開の幸せな浮遊感を堪能する。 |
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20P終了点から右側のガレ場を降り、裏烏帽子岳への踏み跡をたどる。50分でテン場に戻った。金峰山組はもう下山していて宴会を始めていた。 |
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この日の廻り目平はイベントがあった。車の停められないところまで車を停め、テントを張れないところまでテントを張っていた。平山ユージも来て講演をしていたらしい。残念ながら見ることは出来なかった。 |
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廻り目平キャンプ場は区画が決められていないので、皆、適当な場所を選んでテントを張っている。直火も出来る。有料なのだが自己申告制で支払い済みの札もなく、全部を管理出来ているとは思えない。おおらかなキャンプ場だ。 |
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