雄 山



 

所在地富山県立山町
室堂登山口 アプローチアルペンルートの室堂へ
登山口標高2430m
標   高3003m
標高差単純573m
沿面距離周遊5Km
登山日2017年6月14日
天 候晴れ
同行者単独
参考コースタイム
山と高原地図(昭文社)
室堂(1時間)一ノ越(1時間)雄山(40分)一ノ越(50分)室堂
登り2時間+降り1時間30分=歩行3時間30分
コースタイム
 
室堂(30分)登山道をはずれる【標高2560m】(1時間25分)雄山<休憩35分>(5分)ローソク岩<休憩5分>(20分)登山道に戻る【標高2510m】(20分)室堂
登り1時間55分+降り45分=歩行2時間40分
+休憩40分=合計3時間20分



頂上直下の雪渓を登り、山崎カールから降った
 


 
 


アイゼンがなかったので最後は左の尾根に逃げた
 


 
 

 雄山神社社務所裏の雪渓を降ったことは2回ある。2回とも足スキーで降った。
 足スキーとは登山靴だけで滑り降りる方法で、ピッケルを使ったグリセードーとは別物である。


室堂ターミナル屋上から外に出る
 

 この雪渓を登ることを考えたことがなかった。何故思いつかなかったのか解らない。だが、思いついたらすぐ実行。行くなら雪渓が残っている今しかない。


とりあえず一ノ越方向へ向かう
 

振り返って望む大日岳と室堂平
 

 目的地が雄山なら急がない。8時半に家を出る。立山駅前の「したか」でおにぎりを買ったり、バスセンターで手伝いをしたりしていたら、10時のケーブルカーになってしまった。


登山道を離れて雄山に向けて直登
 

 11時半、室堂ターミナルを出発する。時間が遅いからか登山者は少ない。そして雄山方向へ向かう登山者は誰もいなかった。
 軽量化をはかり、持ち込んだ食料はおにぎり1個とバナナ1本。水分はホットコーヒー300mlとノンアルコールビール350mlだけ。


この雪渓はドラゴンと呼ばれているらしい
 

 頂上直下は40度以上ある。キックステップはそれなりに疲れるのでアイゼンをはくことにする。
 リュックから出したアイゼンを見てびっくりした。アイゼンは冬靴用のワンタッチのものだった。履けない。
 ここまで来て引き返すわけにはいかない。頂上に向けて雪渓に取り付く。危なくなったら左右どちらかの尾根に逃げればよい。


右側に竜王岳と浄土山
 


左側に大日岳と室堂平 雪渓の斜度は40〜45度
 

 頂上が近づくにつれ角度が増していく。キックステップはつま先が入らない。登山靴のインサイドで蹴り込んでいくが、靴底の半分ぐらいが入る程度。時々ズルッと滑りかけて、ひやっとする。
 Tシャツ1枚だと滑べり落ちた時に腕を擦りむいて火傷をしたようになってしまう。念のため、長袖のシャツを着込んだ。


滑り落ちた場合のことを考えて長袖のシャツを着た
 

 頂上まで残り50〜60mというところで左側の尾根に逃げた。アイゼンもピッケルもない状態で45度の斜面を滑り落ちたら止める自信がない。


社務所はすぐそこ
 


雄の雷鳥
 

雌の雷鳥
 

 何故、左側に逃げたのかというと、右側には登山道があるからだ。登山道を歩いても面白くない。
 この左側の尾根は初めてかというと、そうでもない。実は2011年に末端から藪漕ぎをしながら登ったことがあった。今回が2度目である。


頂上が近づくにつれ、登山道も近づく
 

 13時25分、社務所の裏を回り込んで頂上に出る。2人組のパーティーが降りていくところだった。他には誰もいない。
 風が強いので石垣の東側(黒部ダム側)に降りてノンアルコールビールで乾杯(?)。 つまみはコンビニで買ってきた北海度チーズ。


頂上の雪はだいぶん減っていた
 

ノンアルコールビールで簡単にランチ
 

 


北鎌尾根独標、前穂、槍ヶ岳、奥穂、西穂
 


鷲羽岳、水晶岳、赤牛岳、乗鞍岳
 


御嶽山、笠ヶ岳
 


黒部五郎岳
 

 14時ちょうど、頂上を後にする。山崎カールの最上部は雄山直下である。社務所の横からカールへと降りた。
 山崎カールは滑降禁止になっていた時代があった。最近はどうなっているのだろう? 厳しい規制は行われていないようだ。


山崎カールとカール上部のローソク岩
 

 登山靴とストックだけでカールを滑り降りる。ピッケルなどで体重を支えながらバランスを取るグリセードーとは違う。完全に両足だけでバランスを取る。ストックは補助に過ぎない。
 「足スキー」というのも自分たちでつけた名前だ。上部の急降はザラメ雪の下に、凍っているところがあり、怖かった。


ローソク岩まで足スキーで滑り降りる
 


上から見ると細いのに
 

下から見ると三角形
 

 山崎カールの上部にローソク岩と呼ばれている岩がある。上から見ると細く見えるのでローソクという名前の由来が解る。だが下からみると三角形でローソクには見えない。ボルダリングに面白そうな岩だ。


簡単にボルダリング出来そうだ
 


山崎カール南側のこの尾根は2011年に踏破済み
 

 山崎カールから眺める風景は角度が違うせいかいつもと違う雰囲気がある。
 山崎カールは距離があるだけじゃなく広い。すり鉢状の斜面は人口のゲレンデのようだ。山スキー野郎には物足りないかもしれない。


この角度、この高さから望む大日岳は初めてだ
 

 カールのモレーン部分から左にトラバースして登山道に戻る。高度を落とさないようにしないと雷鳥平に降りてしまうので、視界が悪いときは注意が必要だ。
 14時50分、室堂ターミナルに戻る。15時のバスに乗って16時に立山駅に戻った。


雪の大谷入り口
 

雪の大谷をターミナル屋上から望む
 

 面白いところだが誰にでもお勧め出来るコースではない。視界が悪いときの単独行は危険。アイゼンとピッケルも持ち込んだ方がいい。


右の雪渓から登って山崎カールを降った
 

 山崎カールは、1905年の山崎直方氏の立山実地踏査によって発見されたものである。
 1945年に立山の山崎圏谷として国の天然記念物に指定された。
 日本のカールは山の東面に多いのだが山崎カールは西面にある数少ないカールのひとつである。