桑崎山



 

所在地飛騨市山之村
アプローチ神岡より伊西トンネルを越えて山之村へ
駐車場所標高970m
桑崎山標高1728m
標高差単純758m
沿面距離往復10Km(GPSデータより)
登山日2018年3月24日
天 候晴れ
同行者単独
コースタイム 駐車場所(45分)取り付き(35分)尾根(1時間35分)頂上<休憩50分>(30分)林道(20分)県道(35分)駐車場所
登り2時間55分+降り1時間25分=歩行4時間20分
歩行4時間20分+休憩50分=合計5時間10分





 

 普通の大人は雪が熔けていくのを喜んでいる。だが、若い頃から雪が熔けていくのが寂しかった。日が長くなっていくのが悲しかった。何故かは解らない。大人になりきれていないのかもしれない。


いつもの漆山岳

 雪がすごい早さで熔けていく。雪山が逃げていく。晴れている日は逃せない。桑崎山に向かった。
 富山県の鍬崎山ではなく岐阜県の桑崎山だ。一文字違う。口頭で言うとよく間違われる。


伊西トンネル南側は雪が少なくて不安だったが

通り抜けたら雪があった

 神岡から山之村へと向かう。雪が少ない。例年ならもっと雪が残っているはず。不安になりながら伊西トンネルを抜けてみると雪は残っていた。
 「トンネルを抜けると雪国だった」


夕霧の駅の800mほど先で除雪は終了

ここから歩く

 伊西集落へと降りていくと燃料の残量警報ランプが点灯した。森茂まで行けば農協のガソリンスタンドがある。大丈夫。
 スタンドはやっていなかった。時間が早いのか?帰りに給油することにする。


森茂(もりも)牧場

 夕霧の駅まで行ってみると、その先も除雪されている。道路上に雪が残っているところもあるが四駆に切り替えて進む。除雪は800mほど先まで進んでいた。そこに車を駐めて身支度する。


昨年の秋のものか?

振り返れば後方に池ノ山

 広い県道484号線を行く。雪は堅く、つぼ足でもごぼらない。だが念のためスノー・シューズを持ち込む。1700mを越える頂上の雪質は分からない。午後の雪質も分からない。


ここから取り付く

ピンクのテープがあった

 山吹峠まで行って尾根をたどるとアップダウンがある。手前から取り付くのが桑崎山の攻略法だ。
 最初のカーブで左に入る林道があった。ちょっと迷ったが沢筋だったので入らなかった。最後のカーブで歩きやすそうな小さな尾根があった。ここから取り付く。


左に小さな沢があり杉の植林がある尾根を行く

 この尾根は小さいが明瞭で、すぐ左に小さな沢が続く分かりやすい尾根だ。ところどころにピンクのテープも下がっている。左側が杉林で右側が雑木林というのも分かりやすい。


右側にも杉の植林地があった

真冬のような雰囲気

 独立峰の登りは難しくない。登りやすいところを登ればいいだけだ。全ての雪面は頂上へと続いている。危険な所を避けるだけでいい。


いきなり急登となる

右側に御嶽山、乗鞍岳が見えてくる

 なだらかに続いていた小尾根が急登に変わる。ここから雪山らしくなった。大きな木を避けながら登る。木に近づきすぎると穴があいていて踏み抜くことがある。


乗鞍岳


御嶽山


白 山

 標高1500mあたりから尾根が広くなってくる。降りで左側(南側)に間違えてしまうと金木戸川へ降りてしまう。テープを取り付けながら登った。


笠ヶ岳も見えてくる

後方に神岡町の小萱

 標高1600mから広い雪原となった。右側に御嶽山、乗鞍岳、笠ヶ岳が見わたせ、後方には白山も見える。絶好の登山日和。独り占めするには贅沢過ぎる。こういう時は仲間と同じ空間を共有出来たらと思う。単独登山唯一の欠点。


標高1600mあたりで、いったん、なだらかな雪原となる

 登山中はなるべくGPSを見ないようにしている。自分のいる位置が正確に分かってしまうと面白みが半減してしまうからだ。
 頂上が近いのか、遠いのか? そういう不安、期待が登山のわくわく感に繋がる。


頂上が見えてくる

右側に見える乗鞍岳と御嶽山

 頂上が自分の目で確かめられたとき、頂上近くの木の大きさで距離感をつかむ。斜度や雪質から登頂までの時間を計算する。そういうのが雪山の楽しみのひとつとなる。


笠ヶ岳

 12時10分、頂上に立つ。最近は13時過ぎに到着しているのが多いので今回は早い到着になる。
 頂上近くの枯れ木が目印になっていた。古いテープと木で作った看板が下がっている。木の看板は半分に割れて文字部分はなくなっていた。


頂上(1728m)は冬景色

ここが頂上らしい

 近くにブリキの標識があった。「森林開発公団」とある。1988年にどこかの機関(国の)に吸収された公団だ。もう30年以上前に付けられたものになる。登山道のない桑崎山に「火の用心」の標識を取り付ける意味があったのだろうか?


1955年から1988年まであった公団

頂上の看板は割れてなくなっていた

 天蓋山に比べると人気のない山のようだ。登山道もなければ田部井淳子さんの頂上標識もない。だが、優劣は付けられない。こちらの方が面白いかもしれない。


テープを巻く

 今回は百円ショップで買ったテーブル(?)を持ち込んだ。縁があるのでストーブやカップが落ちない。有力なアイテムとなるか?


ランチ・タイム

新しいテーブル(108円)

 13時、頂上を後にする。雪がくさっていて歩きにくいので途中からスノー・シューズを履いた。半分滑りながら降った。


下山方向に見えるのは白山

 急降を降りきって右に見えていた林道に入る。何処に続いているのか気になる。右に入って間違えても県道に出るだけなので心配はない。


尾根を降りきってこの沢を渡り

林道をたどる

 県道に出たのは朝方見かけた林道と取り付いた尾根の中間だった。県道からははっきり林道とは見えないので分からなかったようだ。


2回目の渡渉

ここで県道484号線に出る

 ひたすら県道をたどる。一度スノー・シューズを脱いでみたがゴボルのでまた履いた。


県道を下る 正面は池ノ山

 14時25分、駐車場所に戻る。予定より早く戻れたのは夕霧の駅から800mほど車で入れたからだった。往復で1.6Kmの短縮になっている。


池ノ山と森茂牧場

 以外に時間がかかっているのがテープによるマーキングだ。木を選んで、ストックを外して、手袋を脱いで、テープを出して、切って、木に縛って、テープをしまって、手袋をはめて、ストックをつかんで歩き始める。1分かかっているとすると20カ所に付ければ20分のタイムロスになる。
 実際、仲間と行っているときなど、テープを巻くたびに離される。


ベニヤが剥がれて出てきたのは「山之村牧場」の文字

夕霧の駅に戻る

 冬季休館中の「山之村牧場」。人里離れたところで、ちょっと都会的な雰囲気を持った施設を見るのが大好きだ。頑張って欲しい。


冬季休館中の山村牧場

 帰りに寄った山之村の農協スタンドはやっていなかった。ガス欠の警報が鳴った時にゼロにしたメーターはもう15Kmを指している。伊西トンネルに向かう途中で点滅が始まった。ガス欠する前に神岡まで戻れるか?
 トンネルを過ぎてからの降り、エンストしたらブレーキが効かない、ハンドルも重くなる。コースアウトして落ちないようにゆっくり走った。
 なんとかスタンドにたどり着いたとき、メーターは28Kmを指していた。今日の核心部はこれだった。