夫婦山縦走



夫婦山男峰頂上

所在地富山市八尾町
小井波
登山口
アプローチ八尾町から久婦須川沿いに桐谷集落へ向かい小井波に入る
登山口標高464m
標   高784m
標高差単純320m 累積550m(GPSデータより)
沿面距離4.3Km(GPSデータより)
登山日2018年1月15日
天 候晴れ
同行者単独
コースタイム 登山口(1時間5分)女峰尾根(50分)女峰<休憩5分>(10分)松瀬峠(50分)男峰<休憩5分>(10分)林道峠<昼食休憩35分>(25分)登山口
歩行3時間30分+休憩45分=合計4時間15分



女峰北東稜から取り付いて男峰南壁から降った
 


夫婦の間に祖父がいるのが面白い
 


 
 

 夫婦山の地図を見ていてふと気づいた。女峰北東稜から取り付き、女峰、男峰を縦走し、男峰の南壁を降って一周すれば面白いのではないか? そうすればほとんど行かない女峰にも登れる。


八尾町宮腰(本法寺のあるところ)の橋の上から望む夫婦山
 

 いつも登っていて飽きてきた山でもコースを換えると面白くなる。小佐波御前山は黒川(東側)から3つのコースを見つけ、登った。面白かった。今回は夫婦山だ。


小井波集落入り口からのぞむ夫婦山(男峰と女峰)
 

 小井波集落は離村が進んで今は誰も住んでいない。豚舎があるだけだ。
 集落に残っている記念碑が二つある。「道路改修記念碑」と「耕地整理記念碑」。どちらも大きくて立派だ。往時の村人の喜びが偲ばれる。
 今、その道路は豚舎のためのものになり、耕地は耕す人もなく荒れ果ててしまった。
 少し離れた場所にある「猿丸太夫之塚」は忘れ去られて、訪れる人もいないのではないだろうか?


道路改修記念碑(以前は小井波峠にあった)と耕地整理記念碑
(2012年12月21日撮影)


小井波集落入り口に車を駐めさてもらう
 

正面の男峰東稜は以外と危険だった(2015年1月)
 

 集落の(豚舎の?)入り口に車を駐めさせてもらう。広く除雪してあるのは登山者のためというより、豚舎への道路の確保のためのようだ。どちらにしても「ありがとうございます」。


前日(日曜日)のトレース
 

林道から登山道へ トレースは林道沿いに南へ消える
 

 10時、駐車場を出発する。天気はいいが、風が強いのがちょっと気になった。
 豚舎の外れでスノーシューズを履く。除雪された雪の壁を越えて雪原に入る。目の前に現れたのは舗装道路のような立派なトレースだった。
 ちょっとがっかりするが、気を取り直してトレースをたどる。


女峰の東面は岩壁
 

 そのトレースも林道沿いに左に消えていた。男峰の南壁から登るつもりなのだろうか?
 林道から先にトレースはない。夏道をたどった後、右にコースを変える。杉林の間に少しだけ顔を出したのは女峰の岩壁だった。さらに右にコースを変え、少し降る。


女峰北東稜に取り付く
 

ラッセルは膝下ぐらい
 

 斜面が比較的なだらかな所を選んで取り付く。ラッセルは膝下ぐらい。鞍部(コル)は見えないが標高差はそれほどない、どうにでもなるはず。


左後方に男峰を見ながら行く
 

女峰北東稜にでる
 

 10時50分、あっけなく稜線にでた。女峰北東稜には頂上と627mピークの間にコルが二つある。それよりも少し上(南西側)にでたようだ。GPSは標高630mをさしていた。
 風が強いのでウインドウ・ブレーカーを着る。


北東稜は予想通りの細尾根
 

 ここから左にコースを変えて女峰頂上を目指す。予想通りの細尾根だ。細尾根は灌木が邪魔になる。
 急登ではその灌木に助けられる所もあるが通れないくらい密集している所もある。一長一短である。


急登は灌木を利用しながら行く
 

かるい雪庇もある
 

 下から見えた女峰の岩壁のすぐ横を行く。岩壁の左側に男峰が見え、さらに右奥に戸田峰が見える。いい感じだ。


女峰東面の岩場(多分この向こう側)が左側に現れてくる
 


登るにつれ男峰は見えなくなってくる
 

 北東稜の急登を避けたければ右の沢に逃げればいい。灌木も少なく斜度も若干なだらかなようだ。沢は直接頂上に向かっている。だが雪崩には注意。


女峰頂上近くからのぞむ男峰 遠くは戸田峰
 

夫婦山女峰頂上(740m)
 

 岩壁の上を通り、少し右に曲がり、11時45分、女峰頂上(740m)に立つ。
 女峰頂上は灌木で視界はよくない。富山平野側がすこし刈り開けてあるだけだ。葉の繁ったグリーンシーズンは最悪だろう。


新湊大橋と火力発電所の煙突
 

 5分の休憩を入れて松瀬峠へと降る。頂上は広く、降る方向を見極めるのは難しい。視界が悪い時は磁石と地図が必携だろう。
 もっとも松瀬峠からの往復なら登りのトレースをたどればいいだけなのだが...吹雪いてトレースが消えたら?


松瀬峠へと降る
 

松瀬峠(左へ降りれば小井波で右は東松瀬)
 

 松瀬峠へ降りてみるとトレースがない。昨日も今日も誰も来ていないようだ。踏み荒らされていないのがうれしい。
 小井波からも松瀬からもトレースのない松瀬峠を縦断する。ちょっとした快感である。


松瀬峠を縦断して振り返る
 


男峰への急登へ向かう
 

松瀬峠から男峰への登山道はイメージが暗い
 

 松瀬峠からは通い慣れた(?)いつものコースである。最初の急登を登り切り、岩の間を通り、大岩を左から巻く。
 何故かこの区間が嫌いである。イメージが暗い。大岩の下に雪のない穴(風穴?)がいくつかある。以前はここに熊がいるようで怖かった。


途中の大岩は左側から巻く
 

昨年の暮れにつけた目印は雪の下
 

 岩の左側は雪が少ないときは歩きにくいところだが、雪が沢山積もると普通の道(?)になるようだ。歩きやすかった。
 年末に付けたピンクのテープが雪の下になっていた。高いところに付け直す。


大岩の左側は難所
 

最後の核心部は雪が積もって歩きやすくなっていた
 


男峰から女峰を振り返る
 

 12時50分、男峰の頂上に立つ。トレースのないきれいな頂上はいい。単独ラッセルで頂上に立った者にとっての最高の贈り物である。


こんな風景が大好き
 

自分のトレースを振り返るのも好き
 

 お腹がすいていて、喉も渇いている。ランチタイムとしたい。だが、風が強くて落ち着ける場所が見つからない。
 スコップを持ち込んでいたが風を避けるためだけに穴を掘る気にもなれない。南側のコルに向かって降った。


トレースのない男峰頂上(784m)へ
 

 こちらもおおまかなコースは読めるがピンポイントでコルに降りるのは難しい。円錐形の広い斜面はちょっと方向を間違えただけで、とんでもないところへ降りてしまう。
 ワンポイント・アドバイス:視界がきけば鉄塔を目指して降り、最後は少し左に曲がればコル。


富山湾の右に僧ヶ岳、駒ヶ岳、毛勝三山、...
 

 10分でコルまで降りる。ここにもトレースがない。あの「コンクリートで固めた側溝」のようなトレースは何処へ消えたのだろう?
 そういえば、ストックの跡は1人分しかなかったし、ワカンの跡もあった。どこかの高齢ハイキングクラブ?

 この降りでスコップを灌木に引っかけて落としてしまった。コストコで買った安物なので見つけた方にプレゼントします。そのままお持ち帰りください。青色のアルミ製です。


これの青色バージョンです
 


頂上は風が強かったので南側のコルまで降りランチ
 

以前、田があったと思われるような地形(隠し田?)
 

 コルからジグを切った林道をショート・カットしながら降る。途中で尾根に入り登山口を目指す。最後の小さなピークは左から巻いた。
 そこに棚田の跡があった。今は杉林になっているが間違いなく田の跡だ。隠し田だったのだろうか?


最後は豚舎の横へ降った
 

 14時5分、駐車場所に戻る。ランチ・タイムを入れても4時間ほどで一周できる。おまけに女峰にも立ち寄れる最高のコースを見つけたようだ。
 女峰北東稜の最低コルから登り、最後の小ピークを右から巻けばもっときれいな円を描けるかもしれない。次回はそれを狙おう。


理想のコース図
北東稜は最低コルから登り最後の小ピークは右から巻く